オレの作ったチームなのにオレが解任てどういうこと?

@misaki21

第1話 ラフネックス

 バイトで忙しかったのでログインできなかったMMORPG『アールファンタジアオンライン』に久々にインすると、メールが二十通近く来ていた。

 何事かと開くと……。

『新しいチームをみんなで作ろうと思う。ひいてはきみにはマスターの座を明け渡して欲しい』

 ……は?

 このゲームでのチーム「ラフネックス」はそもそもオレが立ち上げて、地道にスカウト活動して大きくしたものだ。

 それを明け渡せ? こいつら、カイルン他が何を言っているのか、さっぱり意味不明だった。

 メールには続きがあった。

『きみのマスターとしての資質には少々問題がある。戦闘に参加しなかったり自由スペースを好き勝手にクリエイティブしてばかりだ』

 たしかに、オレはどちらかと言うと戦闘には消極的で、みんなとダベっているのが楽しい性分だが、だからマスターの座を降りろとは、あんまりではなかろうか。

『まて、話せば分る、結論を急がないでくれ』

 オレはカイルン他にメールを送信した。が、返信には『総意だ』とだけあった。

 なんてこった! 一年くらいかけて地道にスカウト活動をして育てた我がチームが、こんな理由で瓦解してしまうなんて。

 しかもカイルン他は別のチームを結成するらしい。つまり、オレだけ弾かれた?

 アールファンタジアオンラインはソロではかなり厳しいバランスなので、ここで一人になってしまったら、もうゲームを進めるのは難しい。

 どうしたものかと思案し、チーム解散に否定的なメンバーを寄せ集めることにした。

 デュー。チームのサブマスターとして色々とイベントごとを仕切ってくれていた、SNSでも交流のある一人で、実力もなかなか。

 ガロウ。オレがさぼっている間も延々とインし続け、レベルはカンスト。実力者の一人だがテキストチャットが苦手という弱点がある。

 タカポン。最近ラフネックスに加入した酔狂者で、あっという間にレベルアップしてオレを追い越した猛者だ。

 ラフネックスは幽霊部員も入れると二十七人なのだが、事実上この三人とオレの四人しかインしていない。

 と、次々と退団メッセージが届く。残ったのは前述した三人とオレだけだ。

 チームを抜けてしまってはどうしようもないので、この四人で新たなチームを結成することにした。

 名前は引き続き「ラフネックス」。ちなみにこのメンツで一番レベルが低いのはオレだ。カイルンが呆れるのも、まあ頷ける。

 オレは戦闘で倒せない敵や固い敵と遭遇するのがとても苦手で、雑魚ばかりを相手にしてきた。結果、大してレベルも上がらず、代わりにメンバー間でのコミュニケーションを重要視していた。

 他愛のない雑談やら。

 しかしやはりゲーム世界、上を目指す人間のほうが多いので今回のようなことになったのだろう。

 今度の「ラフネックス」では少しくらいレベルアップして強い装備を入手して、強敵に挑もう、そう誓う。

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