だから夢を見る

ももぱぱ

第1話 だから夢を見る

 ある日の朝、龍は思った。


「自分の姿を見てみたい」


 龍が住んでいるのは街からは遠い山の奥。


 そこに自分の姿を映してくれるものはない。


 今までそんなこと考えたこともなかったのに、突然自分の姿を確かめたくなったのだ。


 なにせ、生まれてこのかた自分の姿を見たことは一度もない。


 もしかしたら自分は龍ではないのかもしれない。


 身体や手足は龍に見えるけど、肝心の顔は見たことがない。


「何か自分の姿を映してくれるものを探さなきゃ」


 龍は飛び立った。


 自分を映してくれるものを探しに。


 日が上り、太陽が真上に来ても龍は探し物を見つけることはできなかった。


 それでも諦めることはできない。一度見たいと思ってしまったら、願いが叶うまで心の中のモヤモヤが消えないからだ。


 もうすぐ日が落ちようとしたその時、龍は眼下に大きな湖を見つけた。


「あそこなら、自分の姿を映してくれるかもしれない」


 龍は湖目掛けて急降下して、湖の縁へと降り立った。


 湖の上に身を乗り出し、おそるおそる水の鏡を覗いてみたら……


 そこで目が覚めた。


 ファンタジー小説ばかり書いているから、こんな夢を見るんだな。

 

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