第二話 運命のステータスカード発行!!
うちのクラスは二時間目に呼ばれたので、朝からここで待たされている担任の
生徒は全員外で待機なのに、教師連中はダンジョン内で優雅に過ごしてた筈なのにな。
あれか? 給料前でダンジョン内にあるカフェが使えなかったのか? ここは基本的にダンカ払いだし、現金が使える場合でもダンジョン内での飲食は高いからね……。美味い店も多いんだけど。
元々今日一日ステータスカードの作成と冒険者に必要な知識の説明だけなんだし、ゆっくりやればいいのにな。
「三組~。全員地下一階に来たか?」
「はい先生。事前登録組も含めて全員集まっていま~す」
俺達のクラスは全員で三十人。そのうち事前登録組が五人いてそのうちの二人が三色持ちだ。
この何色持ちというのはステータスカードの色の事で、冒険者として発行するステータスカードにはこの色による絶対的な格が存在する。
調べてみれば分かるんだけど全体の三割程度の人は単色で、単色っていうのは赤・青・黄・白・黒の五色のうちどれか一色だけを引き当てたステータスカードの事を指す。色的には三原色と白黒って感じだけど、赤だと火属性系の力が強いって感じだね。青が水属性で黄は地属性系。
白が回復系とかそんな感じで、黒が身体強化系だったかな? 赤・青・黄の三色は属性違いだけで、覚えるスキルとか魔法も似たようなものらしい。
そしてそこまで珍しくないので割と見かけるのが二色。赤と青で紫とか、赤と白でピンクとかさっきの五色のうちの二色での組み合わせだね。男なのにピンク色のカードだ~!! なんて言う奴はいない。ピンクは割と当たりの部類だからだ。
この基本五色の中で、白と黒は組み合わされる事がほぼ無いって話だね。極稀にいるらしけど。
結構レアなのが三色以上の色を持つ人たち。パステルな紫とか緑。赤と黄色と黒で茶色なんて人もいる。
色が多いほど強いというか、レベルアップ時に貰えるスキルポイントやステータスポイントが多いから、複合色の人は単色の人の数倍強い。
そして滅多に見かけないのが四色。これは金や銀といった特殊な色が混ざった状態で、ステータスカードに
実際にステータスカード発行時にいきなりラメ入りなんて一万人に一人以下って言われてるから滅多にお目にかかる事は無い。当然結構長い私立深淵学院の歴史の中でもこのカード発行時に四色を引いたのは、わずかに一人しか存在しなかったって話さ。
そして最悪なのが灰色。一般的に白と黒の組み合わせと言われているが、実際にはかなり威力の低い回復と身体強化しか使えないので白や黒単色と比べてもかなり役に立たないんだ。
しかも色が多ければ多いほどレベルアップに必要な経験値が増えるらしく、灰色は普通の二色よりも何故かさらに成長が遅いという話だった。
この灰色は四色持ち以上にレアで、日本に数人いるかいないかとまで言われている。っていうか、今灰色カード持ちの奴って世界中の冒険者の中でも誰いるのか?
世界中で毎年結構な数の冒険者が生まれるけど、世界レベルで灰色ステータスカードは数年に一人出ればよく出る方らしい。
ここ数年は出たって話も聞かないしな。
「せめて二色。出来れば三色……」
「三色は無理だって。確かに単色と比べたらステータスやスキルの伸びはデカいけど、その分レベルアップに必要な経験値が必要なんだぞ」
「そうはいってもよ、計算すると単色レベル百と三色のレベル二十五辺りがほぼ同じくらいのスキル能力なんだぞ。ステータスも含めたら下手すりゃレベル十の三色にレベル百の単色が負けちまうんだぜ」
「レベルの上限は五十だぞ。という事で現実はもっと残酷だ」
「単色の時点で詰んでんじゃね?」
「そんな事より自分が何色かが重要だろ。確率が低い割には単色が一番多いらしいけど、流石に単色は避けたいな」
単色の当たり順は白・黒・青・黄色・赤と言われている。
白は回復系の魔法が使える為、単色でもかなり重宝されるっていう話だ。パーティに一人白系カードってのは合言葉らしい。
「それじゃあ、未登録者出席番号順にステータスカードの発行に向かえ~」
出席番号一番の
こうすると石板が光った後でステータスカードが出来上がるって寸法だ。俺もステータスカードを発行するのを見るのは初めてだけどさ。
ステータスカードがどんな仕組みなのかはわかっていないし、誰が考えたのかさえ極秘とされているんだよね。噂ではダンジョンが見つかった時からこの設備があったらしいし、神が作り出したっていう噂まであるから……。
石板の発光パターンが安定して来た。
左手を置いてる石板が青く光ってるから、かわいそうだけど青単かな?
「相沢さんは青か。単色の中ではまだ当たりの部類なのか?」
「使い勝手がいいからな。できれば二色がいいんだろうが、流石にそう簡単に二色は出ない」
大体平均三割から四割が単色で五割が二色。だからもっと二色が出てもいい筈なんだけど、個人の資質次第なので偏る時は偏るんだよね。
そして残り一割ちょっとが三色で、極稀に四色といった感じになっている。
五色以上は存在しないと言われているけど、ステータスカード発行後に特殊な方法で色を増やせば可能って話だ。
こう聞くと二色はもっと出てもいい気がするけど、現実には単色の場合が多い。
「お、
「十人中単色五人に二色五人か。今年は単色の割合が多そうだ」
と思われていたがここから先はほとんど全員二色で、いつの間にかトイレに行っていた俺を除いて全員の登録が終わっていた。
発行時に居ないとだいたい後に回されるんだよな……。
っていうか、なんだこの盛り上がりは?
「おお、
「その三色ってことは、パステルオレンジ?」
「そうだ、蜜柑とも呼ばれる色だな。主に守備向きだけど攻撃能力もある大当たりだ」
それで盛り上がってたのか。
ゴールデンウイーク前にはパーティを組んでダンジョンに潜るんだけど、その時三色持ちがいるとかなり大きいからな。
「それで最後がお前って訳だ。四色を出したら英雄だぞ」
「流石に四色は無理ですよ。無難に二色でもいいんですが」
赤青の紫か、青黒の紺色でもいい。
パーティだと白混じりが重宝されるけど、黒持ちも攻撃力に関しては超優秀だからな。
「最後の
「それじゃあ、行きますか」
石板と透明なカードに手を置き、カードの色が変わるのを待つ。
先に石板が発光するからそれで大体の色数は分かるんだけど、なんか七色に光ってる時点で色々期待しちゃうんだけど。
マジで四色来たか?
「初めて見る輝きだな。まさか伝説の四色?」
「四色でもここまで光りますかね? でも、これは期待できそうです」
「光が収まってきた!! 来い、四色!!」
そこにある全ての視線が俺が右手を置いてるステータスカードに注がれる。そしてそのカードの色は!!
……何とちょっと
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます