第45話おっさん、ハーレムを断る
お嬢様と婚約した俺は、王都に来ていた。
副官のネーナも一緒だ。彼女は何故か一緒に来たがる。
「別にネーナ来なくていいよ」
と言ったら。
「放っておけるか!」
と、何故か切れられた。魔族はカルシウムが足りないらしい。
王都では、王様がお嬢様と俺との婚約を発表した。
王様は最後に俺が魔王である事を告げると、王城の前に集まった民衆から驚きの声が上がった。
『『『『ええええええええええええええええ』』』』
そういえば、王様、俺が魔王である事全然気にしてなかったけど、民衆はびっくりしたみたいだ。
何故か、副官のネーナが民衆をなだめた。
魔王が人間に害をなさない事や、魔物と魔族は何も関係無い事を説明した。
「ネーナ、goo job」
☆☆☆
今日は、貴賓室で、お嬢様と聖女ちゃんで久しぶりに話した。
聖女ちゃんは、以前助けた事にとても感謝していた。
いや、当然の事をしただけだから、気にしなくていいのに。
聖女ちゃんはいい子だ。副官のネーナも見習って欲しい。
それに、何故か副官のネーナも同席していた。
そんなさなか、聖女ちゃんが突然爆弾をぶっ込んで来た。
「おじさま、アリスちゃんに飽きたら、言ってくださいね。私、2号さんとして、頑張ります」
「あっ、ずるい、ミアちゃん。ちゃんと2号さんの承諾をおっさんにもらってからにするんだぞ!」
お嬢様......2号さんの存在を肯定するんですかい?
「ちょっと、アリスちゃん、ずるいよ。そんな牽制なんて! おじさま。アリスちゃんに飽きたら、私を滅茶苦茶にしてください。できれば、初めての時、3つの穴の初めて全部奪ってください! あー、もう、興奮する」
俺はびっくりした。いや、でも、俺はお嬢様に飽きる事なんてないぞ。
「あの、すまんがお前らはその歳で、なんでそこまで爛れた関係になるのだ? 特に聖女、お前、本当に聖女か? 聖女って清らかなものだろ? さっきの発言、ほぼくそビッチだぞ、いや、変態レベルだぞ」
何故かネーナが怒った。
「ネーナ、そんなに怒らないでくれ、ミアちゃんは優しい、いい子なんだ」
「いや、ただのビッチだろう?」
「だって、私もおじさまの事、大好きなんだもの!」
「ええっ!」
俺は驚いた。聖女のミアちゃんが俺のことを好きとかありえないだろ?
「はー、魔王様、どうされるのですか?」
「いや、俺、お嬢様一筋だから、すまねぇですが、ミアさんの期待には答えられないですぜ」
「珍しく、まともな意見が出た。ネーナは少し安心しました」
「きゃー、アリスちゃん愛されている! いいなー!」
そう言って嬉色の声で騒ぐミアちゃんの目に涙が浮かんだのが見てとれた。
俺は心が痛くなった。
☆☆☆
俺は、必殺のメラゾーマを放った!
お嬢様はそれをあっさり避ける。
そして、
『武技、シュバリエアーツ』
お嬢様の必殺技を俺は紙一重でかわす。
「ストー!ー!ー!ー!ー!プ!」
俺たちは些細な事から喧嘩をしていた。
そして、いつもの様にネーナが止めに入ってくれた。
「魔王様も奥様もおやめください。先日、魔王様が奥様の必殺技で、死にそうになったのをお忘れか?」
「そんな事あったっけ?」
ネーナはプルプルと震えたが、更に言う。
「じゃ、魔王様のメラゾーマで奥様が真っ二つになったのをお忘れか?」
俺は、思い出した。
「そういえば、そんな事あったな」
「そうです。あの時、私が気転をきかせて聖女のミア様を転移させて来なければ、奥様は死んでましたよ」
「いや、なんで、回復術士を呼ばなかったんだ?」
「はっ? 回復魔法を熟知している聖女のミア様がどう考えても適任でしょう」
「いや、ミアさん、戦いで回復魔法唱えた事ないぞ。あの時、初めて最上級回復魔法にチャレンジしたそうだ」
「は? じゃ、魔王様のパーティはどうやって回復してたんですか?」
「もちろん、お嬢様だよ」
「なんで、奥様が? 奥様は剣士職じゃないですか?」
「お嬢様はね、怖がりで気持ちが悪い魔物とか怖くて前線で戦えなかったんでさ。だから、いっぱい後ろからヒールかけてくれましたぜ。それにお嬢様、潔癖なとこもあって、かすり傷一つ無い様執拗にヒールかけてくれたな」
「な! じゃ、前線は魔王様一人で?」
「ネーナ、バカなこと言うなよ。最前列一人じゃ簡単に突破されるだろ? 前線は俺と聖女のミアさんでやってたんだ」
「聖女のミア様? なんで、聖女様が? 聖女様は後方で支援魔法や回復魔法で忙しいでしょう? 普通?」
「いえ、ミアさんは回復魔法とか好きじゃなくて、拳に魔力を込めて、魔物を殴り殺してたよ」
「そうなんだ、ミア様、戦士職なんだ、は、はは」
『聞いた事ねー!』
ネーナは何故か絶唱した。
「とにかく、夫婦喧嘩で、メラゾーマも必殺技も禁止です。いつかどちらか死にますよ」
ネーナはぷんぷんと怒って帰って行ったので、安心して俺達は夫婦喧嘩の続きをした。
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