第1話

体育のバレーで、野口のサーブを顔面にくらったところまでは覚えている。


気がつくと保健室のベッドの上にいて、時計の長針は四を指していて。


あれ、体育って二時間目だったよな。


せめて誰か起こしに来てくれても良かったじゃないか。


しかし、ベッドの横に置かれた俺の通学かばんを見て、そんなことはどうでも良くなった。優しいクラスメイトの誰かが用意してくれたのだろう。


ほっこりした気持ちでスマホを開くと、この状況を作り出した張本人である野口から長文で謝罪のメッセージが届いていた。


焦りと申し訳なさにあふれた支離滅裂な文面に、思わず ふっ、と声が洩れる。


直後、保健室の扉が控えめに開いた。

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