前のエピソード――首は大事にせぇよ

※虫ネタです、苦手な方ご注意。（Gではない）

　自宅リビングの窓は、右側に網戸を持ってきて開放していますが、洗濯物を干す時は当然、網戸を左側に引いてから外に出ます。

　外に出るというか、家の中から身を乗り出して干すだけですが。

　さて、ある初夏の日。

　いつもどおり洗濯物を干そうと思って窓を開け、網戸をジャッ！　と左へ動かしたところ、パリーンッという陶器が割れるような軽快な音がしました。

　うん？　パリーン、とな？

　アパートの狭いベランダです、ガーデニングなどの趣味もなければ、置いてあるのはエアコンの室外機のみのはず。

　それなのに見ればコンクリートの地面には、何か茶色い物体が破損した状態で転がっているのです。　何か誤って置いたのかな、と思いよくよく見てみると、白いものがウネウネしているではありませんか。

　……は？　ナニコレ（珍●景）。

　それだけでなく、黄色と黒の縞模様の物体が、無残に真っ二つになってピクピクしておりました。――えぇ、ハチでした。８ではありません、蜂です（分かるわ）。

　どうやら窓の外側と網戸の境目に新居をお作りになっていたようで、そこへ勢いよく網戸を開いたものですから、根元からゴッソリ打ち落とされて割れた模様。

　おおおお……、どこに作ってくれとんねん。

　ってかアレって陶器みたいにそんな丈夫なんや。

　そんな感心している場合ではなく、これを放置しておくわけにはいかないのでホウキとチリトリ（劣化してほしくないので、玄関にあります）を持ってきて、掃除を開始。流石に室内から身を乗り出してだと効率が悪いので、靴も持ってきてベランダに降りて作業をしました。

　と、〝ブーン〟という音がして振り返ります。

　蜂でした。ちなみに蜜蜂とかカワイイもんじゃなく、アシナガバチでした。

　うおおおおおおお！！！！

　咄嗟に靴を脱ぐ余裕もなく部屋へ上がり、網戸をペシン！

　どうやら働き蜂が外での作業を終えて新居へ戻ってきたようですが、残念ながらアタイがブッ壊したのでそこにアナタの新居はございません、ごめんね事故なんだ許して怖いっ！！（錯乱）

　蜂もあれ？　と思ったんですかね、しばらく狼狽えた後（そう見えた）何処かへ飛んでいきました。あぁ、怖かった……と思いながら、再来を警戒しつつ再び掃除をし、恐る恐る洗濯物を干す。

　朝から大騒動ですよ、このアパートに住んで二年目のことです。ちなみに一年目は蜘蛛パニックでした。ベランダでは壁の角で女郎蜘蛛が家族を作り、室内では初めて見る巨大蜘蛛（アシダカグモ）に喚き散らし。実家はマンションの四階だったので、虫はあまり見なかったんですよね。十年以上住んだ今は「またいるよ……」とすっかり慣れました。ちゃんと驚きますが。

　それでこの蜂騒動には続きがありまして。この後日、見事に玄関外の入り口の柱に新居を再建されました。いや、住居周りに作らないでくれ～（泣）

　流石に困ったのでソロ～っと外出して薬局で殺虫剤を購入し、なんちゃって完全防備（普通の服にビニールカッパを着て帽子をしてカッパのフードを被り眼鏡マスク装着）をして出陣。しかし出た途端に近所のオジサンが外に出てて、格好が恥ずかしかったので扉を一回閉める（笑）二度目の出陣にて、スプレー噴射→即室内へ逃げる！　をして何とか駆除しました。

　殺虫剤って恐ろしいですね。スプレーして逃げていった蜂も、時差でポトリと落ちました。ごめんなさい、蜂さん。

　もう巣を作られるのは勘弁なので、柱から軒下まで予防のスプレーをして作業終了。疲れました……。

　ところでそういえば蜂って自治体で駆除してくれるんじゃなかったっけ？　と思い万一に備えて調べたところ、スズメバチは対応していましたがアシナガバチは対象外でした。なんでやねん、見た目変わらんやろがい。

　皆様も８には十分お気をつけください。