第五夜:金曜日の怪物

 金曜日の夜、僕は恐怖で眠れない。

 時計が0時近くになると、怪物のうめき声が聞こえてくるのだ。

「あぅ~~~~~っ!」

「ぎゃ~~~~~っ!」

 闇を切り裂き、天井がガタガタ揺れた。

 僕は、布団をかぶり怪物がいなくなるのをひたすら待った。しかし、あまりの恐ろしさに耐えられなくなり、金曜日の夜は、両親の部屋で寝かせて貰うことにした。

 すると、それから数週間、怪物の声は、ピタリと止み、ぐっすり眠れるようになった。

 怪物は、いなくなったと安心した僕は、両親の説得もあって、また一人で寝ることにした。

 しかし、それは甘い考えだった。金曜日の夜、今まで以上の大きな声で、怪物が暴れだしたのだ。

 僕は、泣きながら両親の部屋へ飛び込んだ。

 そこには、父に馬乗りになって、髪を振り乱し、奇声を発している怪物がいた。

 その怪物は、母だった。

(了)

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