悪夢(ゆめ)十夜

ふゆ

第一夜:しあわせの鏡

 昔々、ある国に年増の女王がいました。

「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰だい?」

 鏡は、答えました。

「女王様、それは紛れもなく貴方です。」

 一方、森の中には、愛らしい娘が、働き者の小人達と暮らしていました。

 娘も昼間、家事を終えると、鏡に話し掛けていました。

「ねえ鏡さん、私ってイケてるでしょ。可愛いし、家庭的だし、ナイスボディだし。

ああ、早く王子様が迎えに来てくれないかしら。」

 鏡は、答えました。

「そうですね。いつか必ず願いは叶いますよ。それまでは、私が見守ります。」

 二つの鏡は、熟女と幼女好きでした。

 日々、適当な返事をしては、二人の姿を映し見て、昇天していたのです。

 とても、とても、しあわせな鏡でした。

(了)


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