R.I.P
メイルストロム
Monologue
興味のあるものしか、知ろうとしない、見ようともしない。それが私達人間です。
だからこそ、ヒトは幸せに生きられるのでしょう……ええ、そうです。私だってその一人
それ故にこの牧歌的な日々が、明日も変わらず続いていくと信じていたのです。日の出と共に目を覚まし、家畜の世話をして家族で食卓を囲う。そんなありふれた生活が、そこにあるものだと信じて疑わなかった。
けれど、それこそが
私達が愛した平和な日常は、本来続くはずのないものでした。
有史以来、人間が「平和な生活」を営めたのはたったの
そしてあるモノは言っていました。
人間界における「戦争」とは、自然界でいうところの「生存競争」と同義であると。故に「平和」な状態というのは、生物としてあり得ない状態だとも述べたのです。
私は──……その意見が間違っているとは言いません。
ですがただ一点、思うところがあるのです。
自然界における生存競争とは、多種多様な生命が生き残るための競争。決して同種族間で殺し合う事ではない。だというのに、私達人間は人間同士で争い滅ぼし合ってきました。
──……争う理由はその時々によります。
宗教的対立。異民族との対立。政権打倒。探せば他にも理由は出てきます。こんな些細な事がきっかけになったのかと、呆れてしまうようなものもあります。
そして、私が知った戦争の理由はその
まさかそんな理由で戦争を、内戦を引き起こしていたとは思いませんでした。きっと、戦場にいた誰もがそうなのです。争う理由、その原因がなんだったのかなんてものは、いとも簡単に忘れてしまうのですから。
そうして気付いた時には全てが失われ、燃え残ったモノは復讐の火を灯すのです。燻る彼らは振り上げた拳の落とし所を見失い、際限のない争いへと堕ちていく。
──それ故に思うのです。
もし私がこの事実を皆に伝えたら、一体
──故 ラズリー・バンディングの手記より一部抜粋。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます