第10話 体験入部
(遠野視点)
新蒼京学園男子テニス部の最初のミーティングが始まった。
「今日は体験という形ですが、テニス部のミーティングを始めます」
「僕は山田大地。小学校の頃からテニスをやってきました。今後はここのテニス部で活動する予定です」
「今日はラリーをしてから、ポイント練習をしたいと思います。今日は皆さんよろしくお願いします」
そう山田が挨拶をして、皆が自己紹介を始めた。
「遠野悠馬です。小学校からテニスやってました。今日はよろしくお願いします」
「こんにちは、喜納佳明です。テニスは中学校の頃からやっていてます。スポーツをやったり、見たりすることが好きです、よろしくお願いします」
山田の次は勧誘を行なった俺と喜納が自己紹介をした。自己紹介は続き、
「与那嶺修です。小学校は陸上、中学校はテニスやってました。よろしくお願いします」
「国吉真斗です。テニスは初めてです。初心者なので教えてもらったら、嬉しいです。よろしくお願いします」
「宮城浩司です。中学校からテニスやってました。よろしくお願いします」
「赤嶺朝日です。小中はゴルフをやっていました。テニスはまだやったことないので、教えてもらえればありがたいです」
「坂田大輔です。小5まで野球をやっていて、小6からテニスを始めましたよろしくお願いします」
「阿西一雄です。小学校からテニスやっています。よろしくお願いします」
そう、俺と喜納が誘った2人の内の1人は阿西であった。もう1人は国吉さん。テニス部の噂は聞いていたらしく、テニス部を復活させて、学校のスターになるという野望を持って、体験に来たらしい。そして、女子人気を集める目的もあるのだとか(笑)。
全員が自己紹介を終え、ラリー練習を始めた。
コート半面を使ってのストレートラリー。初心者である国吉さん、赤嶺さんには皆が打ち方のコツを教えながら練習していた。赤嶺さんは、運動神経が良く、すぐにコツを掴み軽いラリーならもう出来るようになっていた。フォームも出来上がりつつある。スポーツの才能がある感じだった。国吉さんはまだ上手く打てていない部分もあるが、たまに俺達でも取れないような爆発的ショットを見せる時があった。もしかしたらこの人もとてつもない才能の持ち主かもしれない。2人に教えたり、ラリーの話をしている間にそれぞれが話をして、コミニュケーションを取りながら、徐々に打ち解けようとしている。
ラリー練習を終え、ポイント練習に入ると、経験者のプレースタイルが見えてきた。まとめるとこういった感じだ。
俺 オールラウンドプレイヤー
阿西 アグレッシブベースライナー
山田 オールラウンドプレイヤー
喜納 守備的ベースライナー
坂田 アグレッシブベースライナー
宮城 アグレッシブベースライナー
与那嶺 守備的ベースライナー(カウンターパンチャー)
まだ手の内を全て見せている訳ではないと思うが、プレースタイルは把握する事ができた。経験者とのポイント練習は白熱したラリーの応酬ですごく盛り上がって楽しかった。皆んなは同じ気持ちだっただろうか?
午後6時30分になり下校の時間となったため、ボールを片付け再びミーティングを始めた。
「今日は体験に来てくれてありがとう。皆んなと打ててとても有意義な時間になったと思う。明日まで体験入部の時間はあるから、テニス部に入りたい人は明日の今日の同じ時間にコートに集まってください。その時に入部届けの紙を渡します」
「あの…」
与那嶺が質問をしようとしていた。
「どうした?与那嶺?」
「入部届け、今日貰っても大丈夫?」
「!!」
「俺も貰いたい」
「僕も」
「俺も」
「俺もだぜ」
なんと今日、体験に来ていた全員が入部届けを貰うことを希望したのだ。皆んな今日の練習が楽しかったというのは一緒の気持ちだった。
「…じゃあ、今日、来た皆んなに入部届けを出す。明日、提出ね」
「分かりました」
こうして、体験に来た9人全員がテニス部に入る事になった。翌日の体験入部にも9人全員が参加したが、残念ながら新しい体験入部の生徒は現れなかった。他の人気のある部活に流されていったのだろう。テニス部は9人。団体戦をするには十分な人数が集まった。俺達は凄く嬉しい気持ちになったがすぐに次の課題に直面していた。
「もう1つ、やらないといけないことがある。」
「何だ山田?」
「顧問探しだ」
「あ…」
顧問がいないと、部活はできないという事を俺達はすっかりと忘れていた。テニスをすることだけに捉われていて、頭の中から完全にその事が消え去っていた。俺達はテニス馬鹿な人の集まりかもしれない。
こうして、顧問探しの旅が始まった。
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