破滅エンド確定の悪役貴族に転生したので、天才皇女様に最強の闇魔法を教えてみた結果

軽井広💞キミの理想のメイドになる!12\

第1話 最悪のキャラに転生した……

「いったいどういうことなんだ……」


 俺は――鏡を見て、愕然とした。

 姿見に映っているのは成人男性だ。二十代後半ぐらいだ。


 黒髪に四角いメガネ。美形だが、目付きが鋭すぎる。

 上等で装飾過多な緋色の服は貴族であることを示していた。


「まさか……そんな……俺があの鬼畜メガネのクラウスに転生したというのか」


 ザクセン=バレンシュテット帝国の帝都ハーデルン。

 冬宮にある皇帝官房第三部。その長官室で俺はうなっていた。

 赤いクッションの椅子に腰掛ける。


 状況を整理しよう。

 目が覚める前、俺は会社で自分の席に座っていたはずだ。


 もちろん、それは日本の話。

 俺は更科才人。地味な中堅機械メーカーの経理部に勤める、ごく普通のアラサーのサラリーマンだった。


 独身、彼女なし。趣味はラノベを読むこと、アニメ鑑賞、そしてギャルゲー。

 

 俺は先週買った新作ギャルゲーにかなりハマっていた。

 タイトルは『蒼星烈火のアーデルハイト』。


 ギャルゲーなのに、アクションRPG風のゲームで、ストーリーも本格ファンタジーだった。


 おおまかに言えば、帝国で暴政を敷く皇帝を打倒するため、主人公と仲間のヒロインたちが立ち上がる。

 主人公は数々の困難を乗り越え、ついに革命を成功させ、意中のヒロインとの恋も成就させる……という話なのだが。


 戦闘システムがやたら凝っていて、やりこみ要素も大充実。7人もいるヒロインのうち、4人のルートは攻略したが、まだあと3人も残っているし、隠しヒロインもいるらしい。


 昨日も夜遅くまで没頭してしまった。今日も帰ったら、さっそく立ち上げて……。

 そんなことを考えていたら、眠くなってきた。


 今は昼休みで、コンビニ飯を食べ終わって少し眠いのだ。新人女子社員――星崎明日香さんがくすくすと笑いながら、俺の背後に回る。

 そして、耳元でささやく。


「昨日も徹夜でゲームですか? 更科さん」 


 距離が近くてどきりとする。去年まで女子大生をやっていた彼女は、小柄で童顔。22歳だが、女子高生にしか見えない。

 しかも巨乳。ミスキャンパスにも選ばれたとか……。


 そんな彼女が、その大きな胸が俺の腕に当たるか当たらないかというほど至近距離にいる。

 意識しない方が無理だ。


 俺は邪念を振り払う。


「まあね……ごめん。休みが終わるまで少し仮眠するよ」


「はいはい。あまり無理しないでくださいね。若くても過労死しちゃうことあるんですから」


「心配してくれてありがとう。まあ、俺は大丈夫――」


 そこで意識が途切れた。

 そう。会社の昼休みで仮眠していたはずだ。


 それなのに……。

 目が覚めると、西洋風の異世界にいたわけで。


 そう。ここは『蒼星烈火のアーデルハイト』の舞台となる帝国だ。


 まさか過労死して異世界に転生したというのか……。

 俺はうなった。


 しかも、俺はどうやら最悪のキャラクターに転生してしまったらしい。


 クラウス・フォン・ローゼンクランツ。

 『蒼星烈火のアーデルハイト』における悪役中の悪役。クズのなかのクズ。


 クラウスは帝国の内務大臣。高官であり、侯爵の称号を持つ名門貴族だ。

 その性格は傲慢かつ冷酷。出世と私利私欲のためには手段を選ばない。


 彼は暴君である皇帝のために、多くの市民を虐殺した。そのなかには主人公の姉もいるし、バッドエンドではヒロインを処刑することもある。

 ついでに悪役のくせに、めちゃくちゃ強い。ほぼラスボスといっても過言ではない。クラウスの使う闇魔法はゲーム中でも最も高い性能を持つ魔法の一つだ。

 

 そんな彼に、ユーザーのあいだでついたあだ名は「鬼畜メガネ」。

 誰もクラウスとは呼ばず、このあだ名が定着した。見た目だけはイケメンで、洒落たメガネが似合っているのが、ユーザーのさらなる反感を買ったらしい。


 クラウスはどのルートでも死ぬ。少なくとも俺が攻略した四人のヒロインルートでは、トゥルーエンド、グッドエンドとバッドエンドとを問わず、確実に悲惨な死を遂げていた。


 戦場で死ぬのや、主人公の復讐による殺害はまだ良い方である。

 敵対派閥に毒殺されることもあるし、革命で帝国が倒れた後に、市民にリンチされて死亡なんてことも。


 つまり、俺は誰からも憎まれる最低の悪役に転生し、しかも破滅エンドが確約されているわけだ。


「転生するなら主人公とか、ダンディな名脇役のカールとか他にも候補があっただろ……。なんでよりにもよって、鬼畜メガネなんだよ……」

 

 ともかく、状況を整理しないといけない。

 なんとか破滅せずに済む方法を探そう。そのためには悪役であることもやめないといけない。


 ところが――。

 両手を拘束された美人の女性が兵士たちに連れてこられたのは、そのときだった。


 20代前半ぐらいだろうか。茶髪に茶色の目。小柄で地味だけれど顔立ちは整っている。上等な服を着ているが、貴族ではなさそうだ。

 使用人だろうか。大人しく真面目そうな雰囲気だが、その瞳は怯えきっている。


「く、クラウス様……。こ、殺さないでください。私にはまだ幼い妹がいるんです……」


 転生していきなりクライマックス。

 なぜかこの男……鬼畜メガネは女性を処刑しようとしていたらしい。






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タイトル:破滅エンド確定の悪役貴族に転生したので、ツンデレ天才皇女様を俺専用のエッチ大好きな性奴隷に育ててみた結果 ~皇女様の姉もメイドも女師匠も俺に孕まされるようです~

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