修復魔術士の孫

立菓

故ケーラ・エヴァンズの経歴

 世界の最西端に、『ニシノハテ公国』という非常に小さな国がある。

 その公国には、広く名前が知られている、ある女性が居た。



 その女性は、食器や家具等の身近な物を修復する能力、つまり珍しい魔術を使うことのできる一族の出身である。彼女は、一族で最も魔力が強かった、とも言われている。

 その上、使い魔を使役する必要が無い程、とてもなく仕事ができる女性だったらしい。



 また、彼女はセイホク村との堺、セイナン町の端で、様々な物を直す〈修復屋〉を営んでいた。

 ケーラの孫が彼女の助手として、〈修復屋〉を手伝っていたそうだ。



 彼女の名前は、ケーラ・エヴァンズという。

 ケーラは、生前から公室の者たちだけでなく、公国の一般人たちからも『修復魔術士』と呼ばれているそうだ。


 彼女は、ニシノハテ公国の最高位、フェリクス・チップ・ウエスト大公のマンナカ城にある、巨大な大公の肖像画しょうぞうがも魔術を使って、何度も修復したという功績もあるらしい。



 ケーラは、七十五歳の時に老衰ろうすいで亡くなった。

 娘の嫁ぎ先に遊びに来ていた日に、夕飯をご馳走ちそうになった後に一服している時、そのまま静かに別世界に旅立っていったのだという。




 ……そして、〈修復屋〉を引き継いだケーラの孫が登場する、新たな物語が始まろうとしていた。

 ケーラの葬儀そうぎの後に、が新たな物語のヒロインになるのだ。

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