いいですか、イケメンくん。俺はエロくありません!

黒田香鈴

プロローグ


 拝啓、中学生の頃の俺へ

 今のその平和な生活を大切にしてください。高校生になった俺は……

 「翼って、なんかエロいよね。マジ女みたいw実は女の子だったとかない?」

 イケメンな変態野郎にうざいくらいに絡まれています。




 俺がこんな変態に絡まれるようになってしまった原因は約三ヶ月程前にあった。

 中学校を卒業し、この先に待つ、青春ライフへの期待を胸に高校に入学した俺。入学式の当日にひょんなことから後に俺の悪夢となるイケメン(その時はただのイケメンだと思っていたが)加藤俊と友人となってしまった。最初の方は俺もその加藤も普通の友達として関わり合えていた。むしろ、こんないい友達ができるとは、と少し感動を覚えていたほどだった。

 しかし、最近学校でプールの授業が始まってから加藤が俺の体を見てはエロいだの、女みたいだの、男に対していうことではない事ばかりを俺に対して言うようになった。

 最初は単なる冗談だと思ったが、周りの奴らが少しずつ「こいつのそばにいると危ない」などと言って、加藤から離れていくのを見て、流石に俺もおかしいと思い始めた。

 そう感じるようになってからは、どうしても加藤と接する時に敵対心……とまではいかないが、警戒心を持つ様になった。

 何回も、不登校になるという選択肢が俺の頭をよぎったがそれだけは何としても避けたかった。高校を留年したくなかったし、何よりも不登校になると言うのは、まるで加藤に負けたと認めるようで我慢がならなかった。

 そんな俺でも限界を感じることはあった。ただ、学校のマドンナ清水彩綾しみず さあやちゃんを拝むため、どんなに学校に行くことが嫌になっても何とかして通い続けている。ただ、彩綾ちゃんも加藤のことがあまり得意ではないようで俺と話している時に加藤がくるとすぐに逃げてしまう。加藤のやつめ……俺の幸せな時間を潰しやがって………!!!

 このままでは本当の本当に色々と危ない気がする……!!いや、腐女子さん方はめっちゃ喜ぶかもしっれないけど、こっちからしたら普通に地獄だかんな???

 よし……こうなったら彼女を作って加藤という悪夢から逃げてやるっっ!!名付けて……“彼女出来たから近づくな大作戦”!


 こうして岡山翼の、加藤俊から逃げ回る日々が始まったのである……

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