いいわけ――いいわけしていいわけ?

私はプロ作家ではない。


若くして某文学賞を受賞し時には天才とまでおだてられた世間知らずが、この私だ。


初めて本が出た時は嬉しかった。沢山の大人に囲まれて、自分はきっとこの世界で仕事をして生きていくのだと思った。


だが、そうはならなかった。


めちゃくちゃいろんな事があったけれど、結論として、本は三冊しか出なかった。


途中、師匠にも巡り合った。先輩にも巡り合った。


私の尊敬するおばちゃん先生は世の中のステレオタイプ的師匠ではなく、かといって「俺の背中を見て真似べ」という感じでもなかったが、まぁ良くも悪くも天才肌な作家だった。


天才肌なのは私の尊敬する先輩もそうで、彼女は若くして賞を受賞し、しかも続けざまにホップステップジャンプしたのですげー女流作家扱いとなり、私はその過程を見せられていくうちに「これが本当の天才か」と否応もなくワカラセられた。


ワカラセられた私はその辺でようやく、自分がまがい物で運が良かっただけなんだと世の真実を理解し受け入れることとなる。


まぁ、何が言いたいかというと。


今年もカクヨム大賞一次落選した。


自慢じゃないが、私は一次で落ちる確率が低い。


十作出せば半分以上は必ず一次選考を突破し、二次三次、運が良ければ最終選考まで至る。


とはいうものの、相性の悪い公募というのは事実あって、そこは何度応募しても一次選考で落とされる。カクヨム大賞はそのひとつだ。


応募している作品は、小説家を名乗る人々が見れば閉口するような、いわゆる情景描写など微塵もない小説作法を完全に排除した小学生の日記のような駄作である。


しかしこれは、その界隈では主流なのだ。いいわけでもなんでもなく、そういうものがウケている。私もそれらに倣いちゃんと若者向けに作っている。


きちんと駄作になっている。


なのに選考を通過しない。


知名度の問題か。


もっとロビー活動をしなければいけないのだろう。

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