第37話

「はぁ〜...」


 生徒会からやっと開放され、帰路につく。

 姉さんや二条さんは生徒会としての仕事があるようで一人で帰ることになった。


「おっ、奏音じゃないか」


 後ろを向くと裕翔がいた。


「裕翔じゃん。どうしたの?」


「告白断っててこんな時間になってしまったよ」


 告白を断る...モテ男は大変だな。俺に告白なんて来たことないからちょっと嫉妬するけど。


「奏音こそなんで?」


「部活体験だよ」


 半分ウソだけどまぁいいか。だってあんなこと言えないもんな。


「奏音、部活入るのか?」


「まぁね。青春だよ青春!」


 前世では回収しきれなかった青春を今回は回収していくのが目標だし。


「ふーむ...あのさ」


 裕翔が重そうに口を開く。


「どうしたの?急に神妙な面持ちになって」


「奏音...人生二週目だったりするか?」


「は?」


 予想もしていなかったことばがとびでる。


「いやちがうかったらいいんだ。で、どうなんだ?」


「に、二週目だけど」


「やっぱりか」






***





「二週目って言ってもこの一条奏音としては一回目だけどね」


「あぁ。俺も二週目なんだ」


 頭の中にはてなが広がる。


「元々100年くらい前、2020年くらいに生きていたんだ」


「えっ、僕も!」


 すっげ、そんな偶然あるんだ。


「ゲーム機で言えばドンテンドーボタンらへんだよな?」


「そうそう!」


 なんだろう、独り立ちして会社入ったあとに同期が同郷だったとき以上の感動がある。


「俺、奏音にあったとき最初結構カマかけてたんだぜ?」


「へ?」


「ほら、前に奏音に趣味聞かれたとき『特撮系、特にマスクライダーやハイパーマンが好き』とか言っただろ」


「だったね。めずらしいな〜って思ったの覚えてるよ」


「今、それらないんだぜ。男が集まらないから」


「え?そうなの?」


 今世で一切話しを聞かなかったのはこれが原因か。


「しかも、最近で荒れてる中学校なんてほぼないしな。レディースも学校に行くと静かな場合が多いんだよ」


「最近の常識が中々頭に入ってこないんだよね。三つ子の魂100まで的な。というか、それならなんで入ってきたの?」


「え?金持ちの美人なお嬢様に監禁されるのが夢だからお嬢様学校行ったらできるかなって思って」


 おっと性癖おばけだったか」


「心の声出てるぞ」


「あぁごめんごめん...てか告白一杯されてるんでしょ?金持ちのヤンデレお嬢様いた?」


「いやぁ...中々俺に合う人がいなくて」


「あ、金持ちヤンデレ美人お嬢様であればいいわけじゃないんだ」


 欲深いやつめ。


「ぼくも彼女ほしいな」


「奏音ならすぐできるだろ」


「いや?ラブレターひとつももらったことないし」


「は?」


「え?」

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