第33話

「えっ...それ本当?」


「はい...」


 一条くんがいきなり職員室にきた。

 どうやら男子更衣室に盗撮カメラがあったようだ。


「怖かったよね...」


「すっごく怖かったです...」


 男子更衣室に盗撮カメラがあるのは他の先生が言うには数年に一回、秋頃に設置されそのまま数日後に発覚するらしい。

 しかし、今回は入学直後。しかも一条くんには言ってないけど一条くん関連だと吹奏楽部のマウスピース裏流し事件も昨日のうちに起こっている。


 私二年目だよ?担任一発目だよ?なんでこんなに不運が重なるんだろう...


「すみません、入学してまだぜんぜん経ってないのに迷惑をかけてしまって」


「一条くんが悪いわけじゃないから大丈夫だよ!」


 あ〜この申し訳なさそうな顔可愛すぎでしょ。ご飯三杯はイケる(意味深)。


「カメラは預かっておくわね。今度またなんか聞くことになるかもしれないけどその時はよろしく」


「わかりました。ありがとうございました」


 そう言って一条くんは去っていった。


「はぁ....」


「どうしたの?」


 学年主任の中村先生が話しかけてきた。


「なんか男子更衣室に盗撮カメラがあったらしくてですね...」


「へっ?はっ?」


「わかります。わかりますその反応。それでどうしようかと」


「はぁ...いやまあいつかは来るかなと思ってたんだけどね」


 中村先生は悟ったように言う。


「その盗撮カメラ、技術の片岡先生に渡してくるからもらえる?」


「え?片岡先生に渡してどうするんですか?」


「可能なら逆探知、不可能でも指紋採取とかできることはあるからね」


「なるほど」


 そういえば片岡先生、インターンで警視庁に行ってたとか前飲み会で言ってたしそこらへんのやつからなのかな。


「奏音くん、災難ね。これからももっと狙われるんじゃないかしら...」


「ですね...」


 あぁ神様、一条くんをお守りください。







***








「ごめんなさい!先生と話していて少し遅れました!」


 盗撮の報告をして俺はバスケ部の練習場所へと向かった。


「いや、大丈夫だよ。しかしバスケ部はどうやってもプレイヤーにはなれないよ?今日教えるのもマネージャーとしての責務だけだしいいの?」


 そう言ったのは確か...C組担任の山下先生だ。


「大丈夫です!」


「じゃあ説明していくね。まずマネージャーっていうのは――――」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る