第24話

「「「「「いただきます」」」」」


 一ノ瀬さんのお姉さんが着替えてきたのでごはんをいただくことに。


「酔って介抱してもらった上にご飯もいただいちゃってごめんね」


「ぜんぜん!」


「男性なのですからお気になさらず」


 いやそういうのは関係ないんだけど、って言いそうになったけどまた常識が疑われそうだしやめとこ。


「そういえばお姉ちゃんと奏音、桜って初対面だっけ?」


「そうそう。奏音くんとも桜ちゃんともはじめまして」


「ですね。はじめまして、1-Aの一条奏音です。いつも楓お姉様がお世話になっております」


「同じく1-Aの天野桜です」


 若干テンプレ化してるけどしょうがないか。バレないバレない。


「こちらこそいつも妹がお世話になってます。高等部1-Aの一ノ瀬綾瀬です」


 ウルフの髪型と言い方がかっこいい頼れるお姉さんみたいな感じ。

 若干下着姿が目尻に写ったことは生涯通して秘密にしておこう。


「桜ちゃんは今をときめく子役さんよね」


「そんなそんな、めっそうもない」


「謙遜せず。今やどこのチャンネルでも毎日一本はでてるじゃない」


「いやぁ〜...綾瀬さんも中学三年生ながらに投資で高額納税者リストに乗ったすごい方じゃないですか」


「それは元手が多かっただけよ」


 なんか姉さんは綾瀬さんのことを『頼りない』『こどもみたい』『Aに副教科だけで残ってる狂人』だとか言ってたけどすごいかっこいい人じゃん。


「綾瀬さんってすごいかっこいい方ですね」


「そう?」


「なんかサバサバした感じで憧れます」


「ありがと」


 俺は華音とメイドさんの『やれやれ』という顔をあとから理解することを今はしらない。







 ***






 あれから桜が撮影ということもあり11時にお開きとなった。

 ちょっと姉さん怒ってたりするかな...いやちょっとじゃないか。がっつり怒ってるだろうな。


「ただいま〜」


 あ、返事が帰ってこない。やばいめっちゃ怒ってる。


「姉さん?姉さーん」


 リビングに居ない...部屋か。

 普段なら行かないけど今日は俺が悪いし行ってあげよう。


「姉さん、入るね」




 姉さんは部屋の隅に三角座りをしていて顔を下に向けている。

 これ怒ってるんじゃなくてヘラってるんだ。バッド入っちゃってる。


「姉さんごめんね。昨日h「もういい」」


 あぁめんどくさいぞこれ。前世のメンヘラ彼女を持ってるTくんはこんな気持ちだったのか。


「ごめん。姉さん大好きだよ」


「いい」


 言ったことないけど本名で呼んでみるかぁ。かわいいかわいい姉のため。家族でも下の名前で呼んでくれたら興奮するってネットで見たし。


「楓、大好きだよ。だからこっち向いてよ」


「えっ?もう一回言って?」


 ケロッとしてんなぁ。

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