第5話

「はぁ〜」


 学校入る前の楓に戻ってはるなぁ...そんな弟と離れたのが悔しかったんか?


「いつもの感じに戻ってるで、王子様」


「うっさい」


「離れて1分でそうなってるならこれからどうなっちゃうん」


「だってすぐ会える距離なのに会えないんだよ。こんなに悔しいことはないわ」


「けったいな人やなぁ...いやでも私も一瞬でメロメロにされたわ」


 あれは現世にいていいような男の子じゃない。ごきんとはんやしな。


「うるさい。私の奏音なんだけど」


「まぁまぁ、どうせいつかあんたから離れてしまうねんで?」


「次言ったら殺すよ」


 とてつもない殺気やな...でも確かに私にあんな弟が居たらそもそも外出させず軟禁しとくかもなぁ...


「分家に嫁がせて一生軟禁でもええねんで?」


「あぁ...それいいかも」


 よっしゃ!言質とったったで。


「そうなったら二条家は全面協力したるわ」


「いやいや、二条家は独占しそうだし九条家にでも...」


「あの家遠いやんか」


「二条家も遠いわ」





***





 姉さんと椛さんと離れて3分ほど先生に連れて周られ、応接間2と書かれている部屋に連れてこられた。


「申し訳ないがしばらくここに居てもらう。君が入学式にいるとパニックが起きかねないのでな」


「わかりました」


「ちなみに中にもう一人同級生の男が居る。仲良くしてやってくれ」


「え、あ、はい」


 マジ???男子いるの???


ガチャ


 うおほんとだ。久しぶりに男見た。


「どこでもいいから座っておいてくれ」


「はい」


「じゃあ私はこれで」


ガチャ


 先生が行って気まずい沈黙...


「きみ、なんて名前だい?」


 が流れると思ったが相手の男子が話しかけてきてくれた。

 うわこれどんなキャラで返そう、今の姿的にはショタって感じだし男子っていうより男の子って感じで返すか。家族は早熟と俺を見ているが、その他の人から見たら見た目と精神年齢が乖離してたらおかしいし。


「一条奏音だよ。君は?」


「日高裕翔だ。よろしく」


「よろしく」


 うっ...眩しい。これがイケメン陽キャか。俺も負けずに質問してみるか。


「好きなこととかはあるの?」


「特撮系、特にマスクライダーやハイパーマンが好きだな」


「へぇ〜」


 100年経ってもマスクライダーとハイパーマンはあるのか。しかし早起きしてこなかったせいで最近のマスクライダーもハイパーマンのことを知らないからその話広げづらいな...


「最近のマスクライダーってなにやってるの?」


「えーっとな...エックスライドだ。ちなみに奏音は好きなことあるのか?」


 いきなり名前呼び!ハイレベルすぎるぜ...


「あー...ピアノだよピアノ」


「ピアノ!すっげぇな。音楽に全く触れてこなかったからなんか楽器できるの尊敬するわマジ」


「いやいやそんなことないよ」


 そんな感じで会話は盛り上がった。

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