第3話
「楓先輩って弟さん居たんだね」
楓お姉様と別々の車両に乗ったあと、最初に口を開けたのは紗綾だった。
「そうだね、すっごいかわいかった」
楓お姉様の弟さん、奏音くんはアニメからでてきたんじゃないかというくらい理想の顔をしたショタだった。あんな子テレビでも見たことがない。
「しかもマナーもしっかりしててお姉様って呼んでくれるって何?人生二週目?」
「ほんとにね」
年上の女性をお姉様と呼ぶのは実家のマナー教育がしっかりしている学生のみで、あまり一般的ではない。しかも男子がマナーに気を使うなんてもっと一般的ではない。
「もしかして私に気があったり???」
「そんな漫画みたいな妄想やめたら?」
「とかいいながらむっつりの京華さんはどうお思いで?」
こいっつ....
「いや確かにかわいいなとか思ったけど私身長高いから相手にされないよどうせ」
「中3で166cmでしょ?高校生なったらもっと伸びるだろうし...いやでも身長高い女が好きな人もいるらしいじゃん」
「それマイノリティだよ」
はぁ...私は奏音くんにどう思われてるんだろう。
***
「ごめんね私の後輩が気安く話しかけちゃって」
「いや全然、むしろ嬉しかったよ」
すこしこわかったが恐らくいい先輩方だったしこれからもお付き合いできればいいなと思う。
「てか、姉さん後輩さん達には態度が変わるんだね?」
「なんか後輩できたときにできた先輩キャラであろう!と思って私の先輩のマネしてたらこんなふうに...」
なるほど、それにしてもよく三年も続いてるな。
姉さんならどこかでボロが出ていてもおかしくない。
「話は変わるけど男性専用車両ってこんな英国の電車みたいな個室なんだね」
「テレビでもなかなか見れないから驚きだよね」
イメージがつかめない人はハリーポッターの電車を近代化させた感じだと考えてくれればいいと思う。
「そういえば学校では楓姉さん?楓お姉様?楓さん?」
「ん〜...どれもいいなぁ...でも気品高い感じが良いからお姉様って言ってくれる?」
「わかりました。楓お姉様」
「えへへ」
気品高いとは真逆の顔をしている姉さまを横目に俺は窓の外を見ていた。
少し街から離れビルなどが少なくなっていく。こうみると100年経っても景色があまり変わらないこの世界は技術がこれ以上進化できなかったのか、男がいないから進化が鈍化したのか、俺にはわからない。
「奏音はどんな部活入る予定なの?」
「うーん、今は特に何も考えてないな。ピアノちょっとやってたから吹部も入りたいけど運動部のマネージャーとかもやってみたいな」
「へえ〜」
姉さんはバスケ部のためマネージャーになりたい的なことを言ったが、正直吹奏楽にいきたい。前世吹部だし。
「バスケ部きてくれたら嬉しいけどなぁ〜?」
「考えとく」
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