16. エルフの依頼と北の森の歌

フレアは驚いてひび割れた声で叫んだ。


「が、ガングラードだよ?」


私はあたりを見回しながら話した。


「ん? えー、これは、そうだね」


突然終わってしまった冒険に、

私は力が抜けてしまい、何も言うことが思い浮かばなかった。


シャーリンが言った。


「ローレン、ここは魔法使いのギルドを訪れた時の、あの路地ですよね?」


私はシャーリンの言葉で目が覚め、再びあたりを見回して言った。


「あ、そうか。そうだよ。あそこに見えるのが、魔法使いのギルドだよ」


シャーリンが少し暗い顔で聞いた。


「これからどうしましょうか」


フレアが話した。


「私たち、もう休めるんだよね?」


私とヘルはギルドに行って【北の森】のことを話すことにした。

そして、シャーリンとフレアーはまずバルダーの神殿に戻り、

後にオードの家で再び集まることにした。


ヘルはいつものようにギルドの前にいて、

私だけが中に入ると、慣れ親しんだ腐った臭いがした。


「おお!こんなところでまた会えるなんて!

皆さんが消えた時、私も一緒に行きたかったのですが、

私はやることがあったので、一緒にできませんでした。

その後、どんな冒険をしたのか、ぜひ聞かせてくださいね」


私は驚いて話した。


「バグナ?」


受付員は私を見て鼻をつまみながら話した。


「ローレン、バグナと会ったことがあるんですか?

さすが、バグナですね。

北の森の話はバグナから聞きました。この臭いものと一緒に」


彼は受付の後ろに置かれた魔法の布で包まれた物を指しながら話した。


「この革、ローレンの素晴らしい腕前で、

まったく傷ついていない最高級品になりそうです。

裕福な人たちはこのような珍しいものが好きです。

匂いは僕たちがどうにかしないといけないんですが。

魔法の布で包んでも、こんなに外に匂いがこんなに抜け出てきますね」


バグナは私を見ながら話した。


「そして、これらの不思議な材料なら魔法使いはもっと高く買うでしょう」


「うっー、バグナ、にー、においがー」


私は思わず顔をしかめてバグナから遠ざかった。


バグナは手を鼻に持っていきながら話した。


「そうですね。いくら洗っても匂いが消えませんね。

まあー、仕方ないですね。

ハハハ。これでオードの家の従業員たちは私を

つかまえたくても近づくこともできないでしょう。

さて、私はこれで失礼します。

あ!ローレン!オードの家に来ると信じています。

あなたたちの冒険をぜひ聞きたいです!」


バグナが去った後、受付員は受付台の奥から振り返りながら私に言った。


「さて、これがローレン、あなたの《グレムニル》です」


受付員は私の金貨を手に取り、裏面を確認してから金色の皿に乗せて私に差し出した。


この金貨はシードホートの魔法学校を卒業する時にもらうもので、

魔法使いギルドで情報を得るために使うことができる。


依頼を受けて仕事をしなければ再び金貨を返してもらえない。

金貨の前面にはシードホートの紋章が描かれており、


『質問の地、種を撒けば帰ってくるのは

質問の実だけ、真理を知ることができない』


という文句が書かれている。


『質問の地に種を撒けば、

帰ってくるのは質問の実のみ、

我らは真理を知ることができない』


という文句が刻まれている。


私は返してもらった金貨をじっくり見てからカバンに入れた。

その時、ギルドの扉が開いて騒々しい音が聞こえてきた。


「うっ、くっ。臭い! 久しぶりに来たらこれは何だ!

あれ、ゴミの臭いがすると思ったら君だったのか。 ローレン!」


この嫌な声は、私より数年早く卒業した不快な魔法使いの声だった。

私は鼻をつまんで話した。


「ああー、相変わらず臭い場所に現れるね、 クソバエ」


彼は私に腹を立て、いつものように呪文を唱えながら攻撃しようとしたが、

受付員の魔法道具で言葉を封じられた。


その間に私はギルドを出て、ヘルと一緒にオードの家に向かった。


道を歩きながらヘルにギルドでの出来事を話し、さっき会った《クソバエ》を

吹き飛ばせなかったことを悔しく思いながら、手を上げて空を眺めた。


「そういえば、あの日はこうやって吹き飛ばしたよね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


地響きと共に天井に突き刺さっていた人が落ちた。


この魔法は私の手の動きに合わせて、私に向かってくる力の方向を変えてしまう。

力に自信のある人は、この魔法にかかると何が起こったのかも知らずに、自分の力で跳ね飛ばされてしまう。

呪文の使い方はまったく実用性がなく、長い間誰も使わない魔法だった。

偶然、魔法書でこの呪文を発見した私は、

ノーブルの助けを借りながら呪文を手振りに変えた。

そしてこのように相手の動きに合わせて速攻で使えるようになった。


(あー、これは使えうな、ん?)


落ちた紙を拾おうとしたが、

いつの間にか私に近づいてきたエルフが私の首に剣を向けた。


その瞬間、私の後ろから巨大な山に響き渡るやまびこのような音が聞こえた。

それは身体を動かすことも拒むこともできないような声だった。


「剣を取りなさい」


私の首に剣を構えていたエルフは後ろに下がって剣を下ろした。

私はその声に動くことも振り向くこともできず、体がこわばっていた。

声の持ち主が一歩私のそばに近づくと、青い草の香りが広がった。

彼はゆっくりと紙切れを拾い上げながら私に話しかけた。


「そうだね。人間の子よ、君が《忘れられた魔法》と呼ぶものについて何を知っているのか」


目を上げると、そこには私が目を覚ました部屋で私を取り囲んでいたエルフの一人が私を見つめていた。

私に剣を構えていたエルフに出した声とは違う、柔らかい声に私の体が動けるようになり、心も溶けたようだった。


そして、私は自分が知ってる《忘れられた魔法》について心躍らせて話した。

話を終えた私は、自分の知識に驚くエルフの姿を期待して彼を見た。


しばらく時間が止まったような沈黙が流れた後、彼はゆっくり話した。


「時間の下に沈んで、ずれて見えるものがあるように

君が述べたことは正しいが、間違っている」


彼の言葉を聞いて、何とも言えない違和感が胸に広がった。


エルフは私の目をじっと見つめながら質問した。


「人間の子よ、君は声を聞くことができるか?

自分で見ることよりも、周りのすべてから聞いた方が、より正確に見ることができるのだ」


私は何も答えられずにいると、彼は手に持っていた紙を見せながら続けて話した。


「忘れられた魔法か…

私たちはその日を忘れていない。

私たちにはまだ昨日のことのように生々しく、

その日初めて死を見て、

悲しみと闇が私たちの中に入り込んだ。


しかし、恐怖は私たちに与えられていないものだ。

永遠の時間の中で、恐怖を知っていたら死だけを考えるようになるだろう。

その日から私たちは、このように見聞きしたことを書き残すことにした」


エルフが渡した紙はエルフたちの言葉で書かれていて、

私はエルフ語を一つも知らなかったので読むことができなかった。


エルフは私に紙を渡した後、そばに倒れている人間に近づいた。


倒れている人は濃い銅色の肌をして、巨大な体をしており、

あちこちに黒いあざがあった。


「人間の子よ、

君が私たちの森に入ってきたものを見過ごすわけにはいかない。

彼らが自分たちの命でその代価を払ったように、

君はどんな代価を払うのか?」


エルフの言葉に私は何も返事できずにいた。

彼の目は巨大な鹿のようで、穏やかだけど何か強いものを感じさせた。

その目で私を見つめながら話す彼は、まるで私の心の奥深くを見透かしているかのように感じられた。


「私たちは無意味にあなたの命を奪うことはない。

しかし、あなたが命をかけて私たちのためにしてほしいことがある」


私は初めて彼に答えた。


「いいですよ。

依頼ですか? 冒険ですか?

私は覚悟ができています。

何でもやらせてください」


彼は私を見て微笑みながら話した。


「人間の子よ、君が言ったように、我々に人間は魔法書を託した。しかし、その魔法書は君が知っているようなものではない。

残念ながら、今その魔法書はこれらの侵入者によって奪われた。

その魔法書の力は非常に強大であり、我々エルフはそれをいくつかに分け、兄弟たちの村で守っていた。

きっとこの侵入者たちは他の部分も狙っていることだろう。

君は我々の兄弟の村に行き、魔法書が無事かどうかを確認し、この知らせを伝えてくれ」


私に剣を構えたエルフを指しながら話した。


「こちらは【ソーガドレルフ】、ヘルだ。

彼が君を助け、守ってくれるだろう」


それがヘルとの初めての出会いだった。


私たちはエルフの村々に向かって昼夜を問わず歩き、また歩き続けた。

私たちがエルフの村に到着した時には、すでにすべての村が《魔法書》を奪われ、村は傷を負っていた。

その事実を伝えるために再びヘルの村に戻り、長老に報告した。

そして、長老は私たちに《魔法書》を探してほしいと頼んだ。


こうして、私とヘルはエルフの町を離れ【ガングラード】に向かった。

それは《魔法書》や《黒い門》に関して何でもいいので情報を得るために魔法使いのギルドに行くためだった。

そして、頭の痛いことを控えて、しばらく休むために立ち寄ったオードの家で今日までのすべてのことが起きた。


これらはすべて《魔法》のようなものだ。


私が初めて《魔法書》を探すために、【へーニル】に来た時は、

こんな冒険をすることになるとは想像もできなかった。


私の《一歩》が多くのことにつながり、

私ができなかったこともできるようになった。


(しかし、私の知識の範囲が狭すぎったよ。もっと色々知る必要がある)


私は冒険中に少しずつヘルからエルフ語を学び始め、

長老が私にくれた紙に書かれた文を読み始めた。


まだ正確に全て理解できていないがその紙に書かれたものは

【世の中が作られた話】が書かれているようだった。


私は紙をカバンの中にしまい込み、暗い水面下でうごめいて

上がってくるものをじっと見つめていた。


閉じ込められているところから抜け出そうとするもがきで、

互いにぶつかって崩れながら上がってくる数多くの空気の滴は、

どこに来てどこに行くのか一つ一つついて行ってみた。


フレアは私のソーダのそばで私と同じくソーダを見ながら話した。


「ローレン、それでこれからどうするの?」


私はソーダを見ながら話した。


「シードホートに行くよ」


シャーリンはシチューにパンをつけて食べながら話した。


「私もついて行きます。 ヒルダを探します。

子供たちにも話しました」


フレアが話した。


「シャーリン、そんなにあなた勝手に神殿を出てもいいの?」


「そうですね。私が従うのはバルダーです。

彼の子供がいなくなったんですが、探さないと。

誰が何と言いますか?」


私はソーダを飲みながら話した。


「シャーリン、あなた いくら考えても

【アルダフォード】から追い出されたでしょう?」


シャーリンが話した。


「追い出されるなんて。

私は何も悪いことをしていません。

ただ、決められた道を進んでいないだけです。

怪我をした人を治癒するのに誰でも治癒するなというのが話になりますか?

バルダーの使者は戦うなという法は誰が作ったんですか?

私は戦いますよ」


シャーリンは話の後、ますますたくさん食べ始めた。


次の冒険を楽しみにして、これが【最後の食事】のようにみんな腹いっぱい食べた。


そして、【ガングラード】での【最後の夜】は深まり、

バグナによって《北の森のオオカミの話》が夜遅くまでオードの家で歌われた。

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