【SF短編小説】「未知への憧憬：地球から遠く離れたカロンにて」

4章：形状の変容と新生命体サラの誕生

　長い知識探求の時間が経ち、アレックスはついに、その生命体が複雑な思考パターンと人間に近い形式を模倣し始めていることを理解しました。彼はひとつの大胆な実験を始めることを決心しました。

「私の身体にある情報、つまり私のDNAを君に提供する」

　アレックスは生命体に囁きました。

　アレックスは自分自身から採取した細胞と共に生命体に接触しました。

　一瞬、二体は静止し、次の瞬間、生命体の形状が激しく変容し始めました。

　一つの腕。

　二つ目の腕。

　そして日本の足が形成され、体は人間の形状を取り始めました。

　そしてその中央にはアレックスの女性体としての形状が現れました。

　スタンドに配置された細胞カルチャーを利用して、彼はその生命体に彼のDNA配列を追加で提供しました。そしてそれは、未知の生命体が自身と同等に人間の形状を採り、その存在が結晶化した瞬間でした。

　ほんの数分の間にこの生命体は、彼の女性体としての形状を持つ美しい少女に進化しました。

「なんて美しいんだ……」

　思いもよらぬ生命体の変化にアレックスは陶然とした様子で呟きました。

「サ、ラ……」

　次の瞬間、女性体は鈴が転がるような涼やかな声色で発声をしました。

「なんてこった、きみはもう喋れるのか!?　……サラ？　それが君の名前なのかい？」

「サ、ラ……」

　アレックスの問いに、彼女は自身の名前を反復しました。

　刹那、サラはゆっくり生命体は立ち上がり、アレックスを見つめました。その眼差しは人間のものと何も変わらず、アレックスの心はその衝撃に耐えきれずに震えました。

　この新たな存在、サラは、彼女がアレックスの女性体としての形状を獲得したことを象徴していました。

「これは驚きだ。FAI (Friendly Artificial Intelligence) の先端を行くものと言えるかもしれない」

　アレックスは、その出来事が科学的にどれほど重要であるかを総指揮官に報告しました。

「君は彼女を人間として評価するのかい？」

　ラダの声には無視できない疑念が潜んでいました。 「

「もちろんです」

　アレックスは、自分自身を通じて生命体が何を学び、どう進化するかを見守ることを決めていました。

　彼の最初の計画が彼女、サラの創造につながった瞬間、アレックスは自分が歴史を作り出したことを知りました。

　しかし、彼の目の前に広がる未知の道はまだ彼を待っていました。そして彼がこの新生命体、サラに接触し、大切に教え、育てることになるその道程は、未だ長いものであることを彼は理解していました。