第57話 ヒロインたちと温泉だと……? ジーク視点 幕間

【ジーク視点】


「クソ……どうして爵位がもらえないんだよ」


 俺はガッカリしながら、寮の部屋に帰った。

 原作のシナリオなら、ジークは「騎士爵」をもらえるはずなのに……

 オリヴィアに言われた——「シークさんは何もしてないない」と。 


 (酷すぎるだろ……っ!)


 ヒロインのセリフじゃない。 

 優しいオリヴィアが、あんなこと言うはずない。

 

「アルフォンスに洗脳されたに違いない……!」


 アルフォンスか洗脳魔法でオリヴィアを操って、俺の爵位を奪ったのだ……


 (なんてヤツなんだ……アルフォンス)


 俺の想像を超える、悪党だ。

 紛うことなき悪……


「わかった……アイツの目的は——」


 俺から主人公の座を奪うことだ。

 自分が主人公に成り変わる……

 それがアルフォンスの真の目的。


「俺が主人公なのに……ふざけるなっ!」


 俺は絶対に主人公の座を奪わせない……っ!

 この世界の主人公はジークであり、この俺だ。


 ——ドンっ!


 俺は部屋の壁を拳で殴った。


「はあ、はあはあ〜〜っ! アルフォンス……絶対にお前を潰してやる!」


 拳に血が滲んだ……


 (イライラする……あっ!)


「今日のレギーネちゃんをチェックしよう!」


 俺は水晶を取り出す。

 今日のレギーネちゃんを見るのは、俺の楽しみだ。

 いろいろなレギーネちゃんを堪能したい……


「監視魔法、アクティベート……っ!」


 俺の監視魔法は、結界をすり抜ける。

 レギーネちゃんがどこにいても見守るために、強力な監視魔法を使っている。

 これもすべてレギーネちゃんのためだ。


「な、なんだ……この湯気は……お風呂か?」


 レギーネがお風呂にいる……


 ——ゴクリっ!


 俺は生唾を飲んだ。

 水晶の前に正座して、全力で待機する。


 (レギーネちゃんの御神体を拝める……っ!」


「あれ? 他にも女の子が……?」


 他のヒロインの声がするが……


 (これってまさか……?)


「温泉イベントか……っ!」


 温泉イベントは、全ルート共通で発生する。

 リーセリア、オリヴィア、レギーネと一緒に温泉に入るのだ。


 (俺が1番楽しみにしていたイベント……)


 この世界に転生した時からずっと、夢見ていた温泉イベント。

 3人のヒロインと温泉であんなことやこんなことを——


 だが、しかし。


 主人公ジークが楽しむはずの温泉イベントが、


 アルフォンスに奪われている……っ!


「嘘だろ……あり得ない!」


 アルフォンスが3人のヒロインに囲まれて、チヤホヤされて……

 ジークの代わりに、レギーネちゃんの裸を。


 ——ガンっ!


 俺は水晶を拳で叩く。

 床に水晶が転げ落ちた。


 (ふ、ふざけるな……っ!)


 俺は怒りで身体がブルブル震える。

 アルフォンスに奪われてしまった。

 主人公の大切なイベントを。


 だけど——


「オリヴィアの胸……デカいなあ。すげえいい……」


 オリヴィアとリーセリアの巨乳を見る俺。

 うん……いい乳してるな。

 しかし、俺が1番好きなのは——


「レギーネの貧乳、美しい……やっぱりこれぐらいの大きさが俺の好みだ!」


 未発達な若い果実。

 最高だ……


 (早くレギーネちゃんを食べたいな……っ!)


 ——ジュルリ。


 俺は思わず舌なめずりしてしまう。


「よし。今日もレギーネちゃんで楽しむか!」



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