第12話 テクニカルな誘い文句
眠い目をこすり、重たい体に
「どうしたの?」
声の先にいたのは彼。彼が来たんだ。彼が近づいてくる。出迎えなきゃ。中にいれて上げなきゃ、暑いはずだから……。後ろから髪をさわられて急に目を
「どう? 見やすくなった?」
視界は太陽によって痛いほど明るく
「それさ、いつか貸してくれたヘアゴムなんだけど……」
彼は続きを喋らず口ごもった。
「ぼ、僕が使ったやつだとあれだよね」
最初の文字が異様に大きかったのは言うまでもなく彼自身もそう思いたくない証拠だ。彼は一度ポケットから取り出したタオルをその言葉を放つや
「タオル貸してくれないなら香くんで拭くからね」
そういって、私は彼に飛び付いた。あれ! 香くん、照れてる!
「ふふ、香くん可愛い」
彼の頬を人差し指で突いてやった。
「な、中、入ろ!」
私より先に彼がその言葉を発した。人に見られるのが恥ずかしいのか、私の対応にその場しのぎをするためか。どっちにしても可愛すぎる。そして中に引き込んだ。
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