新人育てて二十年、とある教え魔のオッサン王になる「君たちはもう何にだってなれるっ!」「せ、先生っ!」

@piyopopo2022

第1話 プロローグ

「あんのう…… オラ、成人(せいぜん)してぇ、ギルドば登録できる年んなっただぁ」


 受付に今年成人の入所希望者の少年少女が現れ「じょっぱれ青森の星」ぐらい訛りまくった言葉で受付に申し出た。


 翻訳魔法を使えない受付嬢は、スマイルゼロ円の笑顔で、受付前ラウンジに我が者顔で陣取っている老人の一団を手で案内した。


「あ? そういうご案内でしたら、こちらのお爺さんの一団が詳しいですよ、ギルド公認の教育隊で、新人冒険者さんなら卒業まで懇切丁寧に無料で教えてもらえますし、武器や防具も貰えます」


 怪しいし面倒すぎる案内は一切職務放棄して、冒険者引退した教え魔のオッサンに丸投げ。この手の若いのは言葉が通じないと逆切れして「田舎もん舐めんなっ!」と逆上して殴りかかって来るので始末に負えない。


 その周囲にはボ-イスカウトの年長の指導者みたいな少年が数人取り囲んでいる、一人前みたいな格好はしているが、ストレングス弱目で魔力も大してない。


 行儀は良くて何でも言う事を聞いても、要領が悪くて真面目過ぎて卒業見送りと言うか、引き留められて指導的立場として新人を教育するよう仰せつかっていて、外に出して一人でクエストを受けたりすると、幸運値が低くて即死するのが見えてるので出せない連中。


 今更弟子工になって、10歳かそこらの小僧の下について、鍛冶や木工を覚える訳にも行かない。


「お? 新人さんか、いらっしゃい、いらっしゃい。このギルドで教育担当させて貰ってる(自称)オッサンだよ。まずは採取クエストでも受けて貰って、魔物と遭遇したら仕留める。そうして訓練して行って、一次職レベル30ぐらいになって、一人でもやって行けるようになったら卒業だよ」


 贈呈品の新人祝いの品、防具や武器を渡して、裸足の子には靴も与える。初心者にはひのきのぼうと皮鎧と相場は決まっているが、ヘルメットも付いている死なせないための重装備。全員タマネギ剣士なので女の子でもヘルメット装備できる。


「やんだオラ、靴はかして貰えるなんてぇ、はずめてだぁ」


「刃物にこん棒、皮の防具までぇ」


 ちゃんとした家なら、成人前にナイフだの何だのもらえるが、農家では鍬一本持たせて貰えない。


 草取り専用の鎌など無く手作業で千切る、鍬も他の農機具も共用、鉄製の器具など無い。


 皮の防具で中古なので剣道着ぐらい臭い匂いがしみ込んでいる、でも農家出身なので動物臭や臭いのは平気で、自分達も夏場以外は水洗いしないので、おしんの子役みたいに一か月髪は洗わない、石鹸も無く数か月風呂に入っておらず臭い。


 スタイルがいい美人が何人も水浴びして、キャッキャウフフするサービスカットとかは無い。


 ペリーヌ物語の産業革命後のフランスみたいで、女だらけの下宿屋並みに臭過ぎて住めないほどで、本場イギリスではロープを張った上に身を投げ出して寝る宿屋があり、工場に出かける前には赤ん坊にジンを飲ませて騙らせてから出るので、乳幼児の死亡率が青天井。


 でもオッサンの教育隊なら、小遣い銭か飯代まで貰えて出先なら食事支給。クランの中で寝泊まり自由、スカウトの少年が魔物でも仕留めたら分前まで貰える。


 どうせ食い扶持から外れた農家の次男坊から八男坊、嫁に行き遅れたか売春宿に売られるのを嫌がって、都会に働き口を探しに来たが、面相も悪く気立てが悪いのでブスーとして、人から嫌われるタイプなので針子にも雇われず、動物にまで嫌われるので牛飼いにも採用されなかった女達。


 残酷な世界なので男女の力は同等ではなく、女性に筋肉は付かないので荷物持ちや運搬作業、アクア様みたいに城壁作りなどの土木作業は不可能。


 ビキニアーマー着て露出狂仕様で、ケツや太腿放り出してプルプルさせている美人とかいない。


 ポリコレじゃなくても寸胴で骨格からデブなのに貧乳。ウェストくびれて無くて腹は出て、ケツだけはデカくて頑丈な安産型だが、性格悪すぎて金が優先で自分勝手すぎて物理法則すら通用しないので、男からは見向きもされない性悪。


 村で人気の二枚目が自分の所に夜這いに来たんだと言い出して、結婚相手に指定したが嘘がバレて村を追放されて、都会に来たがどこでも使い物にならない。


 魔物魔獣に食われて死んで来いと扱われた、余り物あぶれ者の奴らだが、アフリカと同じでIQにすると60~70程度。識字率も低いのでとても知能が低く、全く使い物にならない契約社員とか、工場ですら使い物にならない作業性IQ50程度、ADHD、ASDまで完備している馬鹿。


 それでも相手してやるのは教え魔のオッサンぐらいで、受付ですらエンガチョ。まず訛りが強すぎて言葉通じない所から開始しないといけない、細かいニュアンスが通じないので「田舎もん舐めとるんかぁ!」で必ず揉める。


「刃物も渡しておくけど、自分を斬らないようにな、剣とか渡すと必ず自分の足先を斬ってしまう。解体用とでも思ってくれ、刃筋を通さないとこんなもん簡単に曲がるし折れる」


 曲げて見せてやり、鋼(はがね)でもない、ゴブリン辺りの死体から取り上げた、元冒険者所有の安物の刃物。アマゾンで千円から二千円で売っているような安物は簡単に割れた。


「何度も何度も折って覚えて、解体中にも折れるから、自分の手を斬らんように注意してくれよ」

 

「はあ」


「はいぃ」



「防具は付けられたかな? 書類は出したし、クエストも受けた。じゃあ出発しようか」


「はいぃ」


 よちよちヨタヨタして防具を付けるのにも一苦労。アイドル声優みたいに水着のブラの取り付け位置を間違えて、それでもぴったり合ってしまう貧乳で生き恥。


 皮鎧を着込むのに90度回転しているが、特に注意しないで、文句付けると拗ねたり怒ったりするので、笑顔で流して出発。


 全員農民出身で文字は書けなかったので代書、魔道具で魔法力を測るまでもなく魔力ゼロ以下。魔法適性無しで属性無しスキル無しレベル無しで無い物づくし。


 それでも「レベルを上げて物理で殴ればなんとかなる!」が信条のオッサンなので、レベルを上げて知能も上げて、魔法力やMPが付くならそうしてやって、神聖力や信仰心が付いて治療魔法に目覚めるのなら、治療院にでもやって働き口を開拓してやる。


 卒業生の中に本当に大聖女になった奴までいて、治療院どころか教会にスカウトされて、奥の院に入って大聖女として君臨していたり、聖女職見習いとしてレベル上げにやってくる卒業生もいる。


 高校ドロップアウト組みたいに仲間になじめずに、不文律とか文字化されていないがルールや決まりが存在するのも理解できないで抜ける奴も出てくる。


 ソッチは「夜の授業」「夜間学校」に行かせて教育してやり、闇社会で夜の仕事か悪所の黒服として働かせたり、マフィアやヤクザの卒業生もいるので顔が効いて組にストレ-ト入学したり、駅前留学したりイスラム武装組織みたいな恐ろしいカクメイ組織に入学する奴もいる。



 まずギルドを出ると目付きと決意が違う奴らが合流する。孤児院の奴らで、年長の奴は食える野草や薪、キノコやら売れる薬草売れる高級キノコを探しに同行する。


 スカウトの連中が研修生と一緒に護ってくれる上に、雨などで実入りが少ないとオッサンが小遣いをくれるし、オッサンやら周囲の連中が見付けた野草や薬草は渡して貰える。


 全員背中に背負った籠が一杯にならないと帰って来ない。その籠も買えないので風呂敷かボロ布に包んで道中ボロボロ落としていたが、オッサンに貰った物を代々受け継いでいる。


 城門と城壁を出るともっと目付きがキツい連中が合流する、今度はスラムの小僧共。


 スリや泥棒で生計を立てていたが、オッサンに捕まったり衛兵に捕まって、手首を落とされそうになっている所を救われて、以後は現金収入を得られるように回収クエストの一員に入れてもらう。


 売れる物はギルドか商人に売って貰い、小物ならオッサンが買い取ってくれる。


 そのまま雲を掴んで天にまで上り、大商人になって絵物語に語られるまでになった卒業生がいるそうだが、それは今ではホラ話の一つとして扱われている。


 道中聞かされるホラ話には、大ネタ中ネタ小ネタがあり、まるで「やしきたかじん」さんのコンサートのように、しゃべくり満載で笑いを取りに来ている。「歌うたう間はトイレ休憩やで~」と言って、本当にオバハン共がトイレに行ったそうだが「ちょちょちょ、待たんかいっ!」と呼び止め、お笑いトークの時は緊張しないそうだが、本職の歌を歌う時は盛大緊張して歌えなかったといわれている。



「オッサンが新人の頃、フェンリルの子供を拾ってなあ……」


 スカウトに連れて行っている少年達は聞き飽きているネタなのだが、新人の研修生は事実だと信じて聞いているので、ある意味滑稽。


「怪我している子と話してると(動物魔獣とは会話できない)、何でも産後の肥立ちが悪いお母さんが殺されてしまって、その敵を討ちたいって言われて、一緒にケルベロスの奴を討ち取りに行ったんだ(人類ではケルベロスに対抗することはできない)」


 それでも罠に掛けたり、プレデターでも殺せるレベルの木の幹で作った罠に追い込んだり、全身に泥を塗って赤外線が見える目から逃れたり、インディアンの部族の青年がナイフで胸に傷を刻んで対抗しようとして一本橋の上で殺されたり、激闘の末に自爆させてキノコ雲が出たりして帰還したらしい。


「その時のフェンリルの子供がこいつだ」


「ワンッ!」


 最後に薄汚れた小汚い白い大型犬がフェンリルだと紹介されて、流石の農民揃いの少年少女もどっと笑いだして、オチがついて下げが決まってちゃんちゃん、という幕切れ。


 よくある城砦に入るために小型化していて、従魔の証も胸に着けているので大型犬に見えるが、巨大化すると十メートル越えのフェンリルで、見ると誰でも腰を抜かすレベル。


 制圧の吠え声を聞かされると全員耳を押さえて丸まって脂肪、巨大化して本気オーラを出すと魔獣でも寄って来れない。


 子猫を育てているとサーベルタイガーに成長してしまって、「お約束とはこの事か?」と云うレベルの落ちなのには気付いていない一同。


 当時の出来事を知っている連中なら、その薄汚れた小汚い大型犬がフェンリルで、魔獣を城砦に連れて来たと勘違いされて「スタンピイトだああああっ!」になったり、「魔王軍の手先かああああっ?」となったのは記録されている。


 洗髪入浴嫌いで、洗い始めると「きゃううう~~~ん、ひゃいいいいいん!」と情けない声で鳴き始めるのは全員知っている。


 後に兄妹とも再会して、身内なので遠吠えして呼ぶと危機を察知して現れる。数十年経過しているので、子連れ孫連れ曾孫までいる。そこまで長命な大型犬はいない。


 本人も「ラスカル、森に帰ってお嫁さんを見付けるんだ」という悲しいお別れをしたが、子作り種付けすると帰って来たらしい。


 尚、名前はラスカルと言う。ストローを口にくわえてミルクを与えたり、「ヒアッ、ヒアッ」と鳴いて、金網付きのケージで飼われたりした、模様。



 お次のネタは、小国の市街地にお忍びで来ていた少女がお姫様で、お家騒動で暗殺されそうになり、街中でも救ってやり暗殺団を返り討ち。


 隣国と結んでいた王子が騙されて攻め込まれて、燃え盛る王城からお姫様を救い出して、小脇に抱えて攻め来る騎士を千切っては投げして国外まで連れ出した中ネタ。


「その知り合った女の子というのがお姫様でな、護衛を解かれたら、あれよあれよと言う間に黒フードの暗殺団に取り囲まれて、俺が全員切り伏せて助けてやった訳ヨ」


 それでも大恋愛の後に思いを遂げて結ばれて結婚したというのが、今でも家にいる小さい相撲取りみたいな小柄なデッブデブのオバハンで、昭和のお母さんみたいに七、八人子供産まされて、背中が曲がっていて股関節とか膝も崩壊寸前の、ブサイクすぎる漫☆画太郎先生の漫画に出て来るぐらいの化け物みたいなババア。


 それもスカウトとか卒業生を家に連れて行くと「また事前に相談もしないで客連れて来て、この宿六がっ!」と怒鳴りつけてくるのが姫だと聞かされて、流石のスカウトの少年でもゲッラゲッラ笑いだしてしまう下げが入ってオチが付いた。


 普通姫様になんか平民が手出しすると、白鳳将軍任命前のグリフィスさんでも地下牢に連れて行かれて拷問三昧の新生活が始まって、手足の腱まで切られて、何なら今でも吊るされたままという処刑フルコースのはずだが、そうなっておらずに姫様というのがデッブデブのオバハンと言う事でオチが付いた。


 本当に小国への旅先で出会って、大恋愛の末に結ばれたのだが、笑いを取ることが優先。


 姫に聞かれて「何偉そうに言うとんねん、責任者出てきたらどないするんや?」と聞かれると「かあちゃん堪忍」で人生功労の漫才みたいな下げが採用される。


 姫の事を母とも慕う弟の王子を王様に据えてやって、姫は平民として王城を逃げだして、勝手気ままな生活をしているという結末。


 フェンリルと呼べば現われるドラゴン付きなので小国程度なら無双。それも返却前に卵が孵化してしまい、オッサンを親だと思っている息子と娘なので無双。


 農家出身の少年少女も、このオッサンが大ぼら吹きだが、面白い上に落ちまで付けてくれるので、安心して聞いていられる、ぐらいの評価に落ち着いた。



 魔の森


 この世界に無防備で魔の森に入る人間はいない。


 それでも食料不足で子供を食わせるために命懸けで入り込んで、小刀一丁だけで豊富な野草やキノコを狩ったり、子供か母親が病気で、何が効くのか知りもしない薬草を取りに来る父親母親は後を絶たない。


 そこで魔獣にエンカウントして人生終了、食われて死んでしまって台無し、子供も母親も病死というのが普通の結末。


 それでもオッサンの周囲にいると高レベル冒険者に守って貰えて、孤児院の年長の者でも、スラムの少年連中でも食える物と燃料用の乾いた薪が探せて、売れるキノコに高級野草も取れる。


 どれが食えるキノコで野草なのか、毒入りではないのか、どれが高く売れるのかまで教えてもらえる。


 薬草の知識まで伝授されて、見付かった薬草にどういった効能があるのか、どう処理して飲むのか塗るのか煎じるのか擂り潰すのか、薬効の許容量まで教えてもらえる。


「え~、この薬草は熱さましだ、普通の時に飲むと体の熱が落ちて毒にもなる。外が熱いからって飲まないように。熱い時には水にでも入って身体洗え、魔の森の中ではやらんようにな」


「はいぃ」



 そうこうしていると魔物にエンカウント、周囲で野草を探している少年少女を狙ってゲイオークが現れた。


 もし少年が捕まると孕み袋として使われ、唾液が発情成分を含んでいて、救出されても快楽堕ちさせられていて、ゲイオークなしでは生きられない体にされてしまう恐ろしい敵。


「ピーーーーーーッ!」


 スカウトの少年が笛を吹いて警戒態勢、普通ゴブリンとかスライムから開始のはずだが、魔の森でも結構な所まで入り込んでいるので、ちょっと初心者にはレベルが高すぎる連中まで出る。


 そこの所は心配無用、オッサンの職業は忍者頭領(グランドマスター)と言って、天井に逆向きで立てるし次元の彼方に隠れて魔法攻撃を無効化できる。


 更に春花の術((C)白土三平)も使えて「フフフ、風下に立ったウヌの負けヨ(サラサラ)」まで出来る。


「ウン、ちょっと強いのが来たな。でもこうやって次元の彼方に隠れて、匕首で喉笛かっ切ってやったら簡単だ」


「おお~~」


 農家の少年少女も、オッサンの実力行使を見せられて、相手が高レベル冒険者なのを見せつけられた。それも普通存在しない三次職の忍者頭領。


 これでも忍者なので「夜間学校」の講師として出動すると、奴隷販売業者や麻薬販売業者が始末される所を生徒に見せてやり、地下牢で捕らえられていたラフタリア狸さんなどの獣人を救い出し「おやっさん、カッケー」となることもある。


 ゲイオーク三匹を倒した。少年少女はレベルが上がった、レベルが上がった、レベルが上がった、30ゴールドを手に入れた。


 初心者の少年少女は同じパーティメンバーとして加入しているので、オッサンが倒してもレベルが上がる。


 更に奇跡の指輪とか一粒300メートルの腕輪とか、国宝レベルの経験値倍加アイテムを貸し出されているので、凄まじい勢いでレベルが上がる。


 オッサンを信用しないで初期訓練に参加しないのは自由だが、初期装備や防具に違いがあり過ぎるので受付嬢もオヌヌメしない。


 尚、軽い呪いが掛けてあるので、自分で装備解除して「無くした」と言って売ったり逃げるのはムリ。買取屋とギルドにもバレているので、頭悪いのが盗んで売ろうとすると犯罪奴隷落ち。


 村人レベル50ぐらいになると、大聖女であろうが騎士サムライの二次職も目指せる。レベル20~30ぐらいで卒業というのは、一次職を極めて二次職になってからという意味でもある。


 もうそうなるとべテラン冒険者レベルで、食いっぱぐれもなくて結構な高級クエストでも受けられる。ダイハードでアンブレイカブルなので、ドラゴンフェンリル巨人にでも遭遇しない限りは死なない。


 冒険者としてのイロハはここで教えてもらえるし、携行食料や水の確保、テントの設営から馬や馬車のレンタルまで、全部教えてもらえる。



 本日は卒業イベントなんかもあって、一次職高レベルから二次職に到達した者は卒業。


 身代わりの指輪や奇跡の指輪等の装備返還、オッサンは年取って涙もろいので、もうこの辺りで結構ウルウル来ている。


「さあ、これでもう君たちは何にだってなれるっ!」


「せ、先生っ!」


 講師のオッサンの方が泣いてしまっているが、生徒の方も感激して泣き始めている。


「君はどの職業(ジョブ)になりたい?」


「俺は、サムライになりたいですっ!」


 生徒もユルユルの体でキンニクも無かったのが、レベルも上がってムッキムキでカッチカチの体に。


 オッサンのクランハウスで一食一万キロカロリー食わされ、大山倍達館長みたいにもう食べられない練習生にも「お代わりしなさい」。羽生選手みたいに溶けたアイス一皿飲まされたり、野球部みたいにドンブリ三杯お代わりさせられ、小国の姫でデッブデブのオバハンが相撲部屋のおかみさんかちゃんこ番みたいに食わせる。


 実家のお婆ちゃんに「お腹すいてないかい?」と話し掛けられたら最後、何皿もお代わりさせられてスーパーサイズミー。更にデザートまで出て来て、お婆ちゃんの家で食べさせられる「かりんとう」などの古いタイプのお菓子を山ほど食わせられる。とどめにデブのお母さんにポテサラどっさり入れられて「モーア?」と聞かれて脂肪。


 知能も上がって、馬鹿丸出しの青っ鼻垂らした田舎者だったのがシティーボーイで「ガイアが俺にもっと美しくなれ、と言った」ぐらいに。


 オッサンも鼻水垂らして少々汚いが、ガッツリ抱き合ってハグ。


 ここまでして貰って全額無料というのは、先述の雲を掴んで天にまで上った大商人というのが全額バックアップ。商人もこのイベントが大好物なので来賓として来ていて一緒に泣いている。


「君はどの職業(ジョブ)になりたい?」


「大聖女になりたいですっ!」


 もう聖女化が決まっていたのか、教会からスカウトが来ていてストレート入学。「読者モデルからギャルの神になる」系統で、大聖女になって奥の院に入るというのは神。


 地下アイドルからB級C級アイドルになったり、「ふしだら~ふしだら~(パンパンパン)」とかハメ撮り動画が流出して急遽卒業、AV落ちするのとは訳が違う。


 最近では絵師でも風呂の壁画絵師にでも芸能プロが付いていて、ゲーマーの「たぬかな」でもアイドル売りしようとする。でも失敗するとAV落ち。


 若い頃の上沼恵美子とマッハ文朱がスタア誕生で歌手デビューしようとすると、芸能プロが看板上げてスカウトする勢いで教会に入信。


 貧しい平民でも大聖女になると下にも置かない待遇で、魔力無しの修道女の付き人が何人も付いて、奥の院で聖女達と一緒に茶会や語らいなどもする。


 新入りの方が性能が高いので「ギリィッ!」なんかは多数ある、がイビられる前に教会でも性能が高い方を優遇するので、ババアで低スペックヒール程度しか使えない方が地方に追い出される。


 見習い聖女なら救急治療室にブチ込まれて修行させられるが、そんなもんブッチギリでマジ大聖女なので即戦力。


 貴族家や王家に招かれて解呪や治療三昧、一日に寄付金として金貨百枚でも稼げる(本人の懐には入らない)百円工女にもなれる。


 もう卒業生オッサン来賓オイオイ泣いて、盗んだバイクで走り出さないでも、校舎の窓を割って回らないでも冒険者としても何でもやって行ける。


 錬金術師とか魔道具作る奴は「儂がいつでも店持たせてやる」高待遇なので、魔道具師が振り向かないでも貴族の子息に見初められなくても、大通り商店街か脇にそれた所で店を持たせて貰える。


 一同で卒業ソングなど歌って最高潮、もう使い物にならないチンピラでクズでカスとは違い、少尉任官されたみたいに鬼軍曹が「サー」を付けて敬語で話しかけてくれる。


 もう「ママのベッドの染みになるはずだったクズ」ではなく「俺の家で妹をファックしてよし」ぐらいの待遇。


 大商人も「吉本やのに松竹みたいや」の泣き笑い、藤山寛美や娘さんの舞台でも見ているよう。



 毎月新人が入って来て卒業していくので、この都市だけでは受け止められず、王都や他の都市に行ったり、故郷に錦を飾る者もいる。


 モンクから聖騎士になって、王都の正教会で神聖騎士、十二使徒にまでなった者までいるという。


 それも小ネタの内で、オチはないが、出世して教会内で神聖騎士コースに入って、そいつも神。


 夜の店から頭角を現して、暗殺ギルドの頭領になった奴がいるとか、住所の無い悪所でオーランドからヤクザの親分で神になった奴がいるとか、とにかく「レベルを上げて物理で殴る」に成功した連中がいる、らしい。

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