彼女が欲しいので誰彼構わず告白したら全員ヤンデレで無事詰んだ
minachi.湊近
第1話 一人目:佐伯姫花①
高校生にもなると彼女の一人や二人は欲しくなる…ん?二人と付き合ってたら浮気か。付き合うなら一人だ。
中学生の頃は恋愛なんて興味はなかった。人の恋愛には協力していたが、自分自身はどうでもよく今高校生になった今、こんなに恋愛したくなるなんて思っていなかった。
もし中学生の頃の自分にこのことを話したら信じてくれないだろうな。なぜ彼女が欲しくなったのかと言えば正直自分でもよく分かっていない。
周りにリア充が増えたから?妹から彼氏自慢をされるから?ラブコメアニメを見始めたから?
全部が理由になりそうだななんて改めて思う。まあ、理由がなんにしろ彼女が欲しいという気持ちは変わらない。
でも世の中そんなに甘くないのは明確なことで、彼女が欲しいと思ったからと言って彼女が出来るわけではないのだ。
自分から誰かに告白しなければ話は始まらない。
彼女が欲しいとはいうものの俺には特定の好意を向けている相手はいない。ただ彼女が欲しいという気持ちは日々昂る限り。
正直可愛い女の子であれば誰でもいいとさえ思っている。だから告白することにした。
既に告白の準備は整えてある。
俺はモテない。だから特定の一人に絞って告白しても振られる可能性の方が高いだろう。
俺の学年には七人の美少女がいる。各々が芸能人を凌駕するくらい美しく可愛い見た目をしていて毎日告白が絶えないと言われている。
一人一人キャラが違い、噂によればその七人が全員彼氏がいないとか。
絶好のチャンスだと思った俺は七人全員に声をかけ、今日の放課後告白する手はずになっているというわけだ。
「どうしたんだ将司。なんかテンション高くね?」
「そうか?気のせいだろ」
学年の七大美女に告白するということだけあって緊張していないといえば噓になる。振られる可能性の方が遥かに高いという状況なのにも関わらず、ドキドキすることは避けられない。
だって超絶美少女と付き合えるのかもしれないのだ。男なら誰でも興奮してしてしまうだろう。
「いや気のせいじゃないね。お前と数年友達やってきてんだ。間違ってるわけがねぇ」
まずい、確かにこいつとは小学生の頃からに親友である。名前は澤村。澤村には人情に厚いいい男なのだが、口が軽いという欠点があった。
もし澤村に放課後のことを話してしまったら瞬く間に学年中に話が広まってしまうだろう。そうなれば学年の男全員を敵に回してしまうことになる。それだけは絶対に避けなければならない。
すまない澤村。今回はちょっと嘘をつかせてくれ。
「そうだな、強いて言えば今日って購買のデザート発売デーだからかな」
「俺も楽しみにしてたんだけどお前もだったのか。分かるぞ、今日はプリンって感じだ」
「じゃあ俺もプリンにしようかな」
無駄にプリンを買うことになっちゃったけど、㊙情報だから仕方ない。もし誰かが彼女になってくれたら当分話さないけど、最初に話すのはお前だと約束するよ。
放課後になると教室は燦燦としてきた。体育部の生徒は各々の部活へ、文化部の生徒たちもそれぞれの部室へと向かうからだろう。
そんな中俺はみんなと同様部活に向かう…ことはなく、屋上へと向かっていた。
もちろん告白をするためだ。まず最初に告白する相手はうちのクラスのマドンナである
クラスの中心的な存在でありThe陽キャっていう感じの女の子。確か昨日も誰かに告白されて振ったとかなんとか。
多分振られると思っている相手第一号。
屋上へと続く階段を上り扉に手をかけた瞬間、ふと俺は耳を疑った。
扉の向こうから何か聞こえる…
「僕と付き合ってくれよ。幸せにするからさ」
「また君?もうやめてって言ったよね?ストーカーするなら学校に報告するから」
「ストーカーなんて酷いですよ姫花ちゃん。僕は君が好きだから」
「馴れ馴れしく名前で呼ばないでくれる?私にはえーっと、彼氏がいるんだから!」
「「え?」」
扉の手前側の俺と奥側のストーカーの声が重なった。
「え、嘘ですよね姫花ちゃん?」
俺もお前と同じ気持ちだよストーカー君。佐伯姫花には彼氏がいた?ならなぜ俺の呼び出しに応じた?あ、そうか。そもそも告白だということを分かっていないのか。
「う…嘘じゃないわ。これから幸せになるから邪魔しないでよ!」
「だ、誰なんですか。そいつは。きっと姫花ちゃんは騙されてるんだよ。僕が助けるから彼氏を教えて」
「い、嫌よ。また未公表なんだから」
内側からでも分かるストーカー君の泣きそうな声。面倒くさいが、佐伯さんは困っているしストーカー君を撃退しよう。
ガチャン!
俺は大きな音を立てて扉を開けた。
「おい、何してる!」
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