新迷宮発見編

1話

 あなたは久方ぶりの冒険に出立する。

 するが、さて、どうしたものかなとあなたはさっそく頭を悩ませた。


「あなた様、出立されないのですか?」


 クロモリが疑問気に言う。

 あなたはどこに行くか決めていないと答えた。

 そう、あなたは未だにどこに行くか決めていない。


 冒険出来るならそれでいい! そんな気持ちだ。

 10日ほど禁欲したあとに娼館に行ったことがあればわかるだろう。

 我慢した後なら、どんな娘でも物凄く可愛く見える。

 同じように、我慢した後ならどこに行っても楽しめる。


 しかし、どこでもいいにせよ、どこかにはいかないといけない。

 その、どこかってどこなんだよ、と言うことだ。


「では、とりあえず以前に冒険されたソーラスにでも出向いてはどうでしょう」


 さすがに踏破済みのところを冒険してもしょうがないのだが……。


「ソーラスは腕利き冒険者が集う大迷宮ですから。他の大迷宮に挑んだ経験のある冒険者、小迷宮をいくつも踏破した腕利きがいますので……」


 そこからよさげな迷宮の情報収集をしようと。

 なるほど、悪くないやり方と思える。

 あなたはそれで行こうと頷くと、ソーラスへと向かった。




 ソーラスのあなたたちの家。

 ソーラスの探索が終わったことで無用の長物となった家だ。

 もうちょっと使うかもと思ったが、なんせソーラスの探索が終わってしまったので。


 まぁ、この近隣にもいくつか迷宮は存在する。

 それらの迷宮に出向く時の拠点としては十分使えるので、しばらくは維持する予定だ。


 その維持のための整備もティーに頼んである。

 さすがに管理まではやってもらえないが。

 月に1度ほど様子見をしてもらい、破損部があれば修理してもらえる契約だ。


「うおっ! いきなり現れるなよ!」


 家の前に出現したところ、ティーにそう怒られた。

 偶然にも家の整備のために来ていたらしい。


「ソーラスの迷宮の探索も終わったってのに、どしたよ? あ、もしかして私と遊びに来たとか?」


 それはそれで大変楽しそうなのだが、今回は違う。

 次に探索する迷宮、その選定のための情報収集だ。


「ふーん。まぁ、酒場だのでヒマしてる連中に1杯奢ればいくらでも聞けらぁね。うちの連絡役に聞くのもありだけど」


 『トラッパーズ』のことだろうか。

 そう言えば本隊があるとは聞いていたが。

 その本隊はなにをしているのだろう?


「そりゃね、冒険者チームだもん。君もやってることだよ。分かるでしょ?」


 ……女漁り?


「違わい。迷宮探索だよ迷宮探索!」


 なるほど、そっち。


「ただ、うちは大所帯で、数を活かした戦いをしがちだからね。新しい迷宮を見つけて、そこを探索するってやり方してるよ。人数が人数だから分業化できる強みを最大限に活かせるのさ」


 なるほど、それはそれで面白そうだ。

 いずれはあなたも、この大陸の過半を占めるという熱気林を探索しようと考えていた。

 そこには未だ未発見の迷宮が無数に眠っているというウワサだ。

 ぜひともそれを発見し、探索してみたいものだ!


「よけりゃ、本隊に紹介するけど」


 あなたはちょっと考えて、それもありかなと頷いた。

 いずれは未発見の迷宮を探索するつもりではあるが。

 いきなり熱気林に突っ込んで探しだしても見つかりはすまい。

 既にやっている者たちにやり方を習ってから始めるべきだ。


 そう言う意味でも、その方向性で活動するのはありだ。

 あなたはできることならぜひ紹介してくれとティーに頼んだ。


「ああ、ほんとにやるの? うち変態多いよ?」


 こちらも変態は多い。問題ない。


「そう言う問題かな……って言うか、変態なんだ……」


 ティーが呆れたような顔であなたの引き連れた面々を見やる。

 クロモリは度の過ぎたマゾな上に、血液愛好者の変態である。

 『アルバトロス』チームはよく分からないが、少なくともカル=ロスはやや変態だ。


「ひどくないですか。私はそこまで変態ではないんですけど」


 あなたにはもちろん分かっている。

 カル=ロスはミルクが好物だ。あなたと同じく。

 そう、あなたと同じ性癖を持っているのである。


「……しょうがないじゃないですか! エルグランドには粉ミルクなんて便利なものはないんですから! 私は皆さんからお乳をもらって育ったんですよ! 性癖歪んでもしょうがないでしょ!」


「いや、授乳されてた時期の記憶なんて残らないでしょう?」


「私は5歳まで授乳されていました」


「5歳!?」


 カル=ロスの宣言に『アルバトロス』チームが驚く。

 ティーも驚いているが、クロモリは驚いていなかった。


「いや、5歳は……長すぎるでしょ」


「普通は1歳くらいまでじゃ?」


「いいえ。小児科学会は4歳までの授乳を推奨しています。5歳はたしかにちょっと長いですが、長すぎると言うほどではないですよ」


「ええ……なんでぇ?」


 それはエルグランドの水の悪さに由来する。

 単純な話、あの大陸ではどんな環境でも覚醒病汚染の心配がある。

 そのため、絶対に安全なものとして授乳期間が長いのが基本だ。


「あー、なるほど……」


「それで5歳まで……それは性癖歪みますよ、お母さん……」


 あなたは深く頷いた。

 でもしょうがない。それが母の愛なのだ。

 エルグランドはそう言う環境なのだから。


「だいたい、私のことを変態みたいに言いますけどね! 晶は女装男好きだし、アストゥムは常軌を逸した面食いだし、秋雨はマザコンじゃないですか!」


「世の男どもが汚らしいのがいけないんですよ! うちの男衆みたいに、可愛くて綺麗で強くなきゃ!」


「私はべつにそこまで面食いじゃないですよ。カル=ロスのお母さんくらい可愛くないと嫌ってだけで」


「私はマザコンじゃないですけど。お母様が命ずるなら死ねるだけです。女だって、己を知る者の為に死すのですよ」


 なるほど、全員それなり以上に性癖がアレである。


「あー、分かった。変態集団なのね、はいはい」


 あなたも知らなかったが、全員変態だったらしい。

 まぁ、そう言うわけで、変態の巣窟だという『トラッパーズ』相手でも問題ないだろう。たぶん。


「連絡役が来るまで、待ちだね。そろそろ来ると思うけど。来たら連れて来てあげるよ」


 そう言うわけで、あなたたちは待ちの姿勢に入った。




 待ちの姿勢に入ったあなたたち。

 ティーの下に来る『トラッパーズ』の連絡役。

 それが来るまでは、自由に行動していていい……。


 なるほど、ならば楽しむほかあるまい。

 さすがのあなたも妊婦を前に女遊びを抑えるくらいはする。

 そのため、アノール子爵領ではそこまで派手に遊べなかった。


「……あれで派手に遊んでなかったらしいですよ」


「まぁ、うちのお母様が好きにしていいとなったら、10人は食いますからね」


「1日1人ならセーフとか頭おかしいんですか?」


「浮気は数の問題じゃないでしょ、数じゃ」


「まぁ、うちのお母様ですからねぇ……」


 『アルバトロス』チームがそのようにあなたを表する。

 そんな中の1人、アストゥムの肩に手を置く。


「うえっ? あの、なんでしょう?」


 可愛いね、アストゥム。

 私とイイコトしない?

 あなたはそんな調子で声をかけた。


「む、娘の友人をナンパは、ちょっと……どうかと思いますけど!」


「ぐらっと来てますねこれ」


「うちのお母様、超絶に顔いいので……さすがにアストゥムのお母様には負けますけど」


「アストゥムのお母さん、顔面もゴッドだからなぁ……」


 『アルバトロス』チームとはなかなか遊べずにいた。

 やはり、カル=ロスが娘と言うことを思うと、少し気おくれする。

 義理の娘とは分かって居ても、無条件の思慕を寄せられると少し……。

 それに、常に同道している者たちなので、イミテルにはすぐにバレる。

 そう言うわけでまだ手を出していなかったが、ここなら問題ない!


「ところでお母様、晶のサイキックで追体験しましたよね」


 カル=ロスの質問にあなたは頷く。

 アキラそのものとなって追体験したアレ。

 アレは本当に凄まじかった……。


「私たち、全員が『ポケット』使えるの、知ってますよね」


 あなたは頷く。

 『四次元ポケット』を使えるのはカル=ロスだけだが。

 『ポケット』に関しては全員が使えるのを知っている。


「アレは私の経験を追体験したことで全員会得したんですよ。魔力量が足りれば、『四次元ポケット』も使えます」


 なるほど、そう言う理由だったとは。


「で、その追体験ですが……能力の会得には、訓練開始時からの追体験をすべて行うのが一番正確なんです」


 つまり?


「私が冒険者としての訓練を受け始めた、断乳して以降の体験……5歳から12歳までの7年間すべてを追体験しています。親元を離れて日本に行く前、お母様となにしたと思います?」


 手塩にかけて育てた義理の我が子。

 それが親元を離れ、どこか遠くに行く。

 なるほど、そんな状況、食べないわけがない!

 つまり、あなたとの初体験を全員が追体験している!?


「そう、実質的に全員お母様の手によって調教済みです!」


「ちなみに犠牲者1号はアストゥムです。ベッドグチャグチャになったの、カル=ロスのお母さんのせいですからね」


「結局あれマットレスダメになって捨てましたからね」


「私の恥をさらすな!」


 なるほど、楽しめそうではないか。

 あの続きを経験してみたくない?

 あなたはアストゥムにそう問いかける。


「したく……ないですけどぉ……?」


 明らかに嘘だった。

 ならばと、あなたはアストゥムを強引に部屋に連れて行くことにした。

 そう、これはあなたが無理やりやるのでしょうがない。

 そう言う言い訳にしてもいい。


「わ、わぁぁ……! よしてください! これから私はカル=ロスにどんな顔して話せばいいんですか!」


「気にしやしませんよ。友達がお母様の女にされてたなんて何回もありましたから」


「家庭環境が特殊過ぎる……」


「あ、お母様の女と友達になったこともたくさんありますよ」


「どっちにせよ嫌過ぎる」


 あなたはアストゥムを連れて、部屋に向かう。

 しばらく使っていなかった、やや埃っぽい部屋。

 ベッドカバーを剥がし、マットレスの上にアストゥムを寝かせる。


 そして、あなたはアストゥムに囁く。

 本当に嫌だったら逃げてもいいよ、と。


「に、逃げさせて、もらいます」


 そう言って緩慢な仕草で逃げ出すアストゥム。

 止めて欲しい感が背中に物凄く滲みでている。

 あなたはそんなアストゥムの背中に抱き着いて、耳元で囁く。


 おねがい……一緒にイイコトしよ……?


 甘えた声でのそんなおねだりに、アストゥムが体を強張らせる。

 ぐらついていることがありありと分かる。


「そ、そんなにですか? どうしても? どうしても私とイイコトしたい感じです? ど、どうしてもですよ?」


 どうしてもしたい。してくれないと泣いちゃう。


「い、いや、なんというか、そこまで言うなら……しょ、しょうがない、のかなぁ~……うん、しょうがない……ですよね」


 よし、折れた。

 あなたは勝利を確信した。

 興味はあるし、やってみたいけれど。

 常識として拒否ってしまう。

 そう言う状態だった。


 ならば、やってあげないと可哀想。

 そう思わせたならば、こちらの勝ち。

 必死のおねだりをするだけだ。

 ダメならば土下座するつもりだった。


 だいたいの場合、1時間も土下座すればイイコトさせてもらえる。

 今回はおねだりだけで済んで楽だった。


「じゃあ、その……いい、ですよ?」


 あなたはアストゥムをベッドに押し倒した。

 さぁ、楽しもう。ちゃんと優しくする。


「そ、そのう……よろしく、おねがいします……」


 あなたへと身をゆだねて来るアストゥム。

 まったく、可愛いではないか。

 実質調教済みとは言え、柔らかくほぐすところから……さあ、はじめるとしよう。






「うううう……体感してみても凄いとしか言いようがない……自分でやってもこんなすごくないのに……」


 丹念に丁寧に可愛がって、たくさん鳴かせて。

 アストゥムが満足するまで付き合ってあげた。


 とてもかわいかった。最高だった。

 よく鍛え上がった瑞々しい肢体。

 肉体のバランスもよく、ほどよいサイズの胸……。


 こんなに可愛い子があと11人もいる。

 これはもう存分に楽しまなくては損だろう。

 いずれ、人員を入れ替えるタイミングがあったら確実に狙わなくては。

 仲間ハズレにしてしまったら可哀想だし。


「って言うか、お母様に怒られたらどうしよう……」


 ぼんやりと不安げな声で言うアストゥム。

 まぁ、いざとなればあなたも説明しよう。

 その時、アストゥムの親に殴られるのも女たらしの責務と言うべきか……。


「そうですか……じゃあ、いざとなったら、その時はお願いします」


 問題ない、任せておいて欲しい。

 あわよくばそのままベッドに連れ込んで説得したいところだ。


 あなたはアストゥムと添い寝しながら将来の展望を描く。

 ティーが連絡役を連れてくるまでの間、楽しもう。

 カル=ロスとも、アキラとも、アキサメとも、イイコトがしたい。

 もちろん、クロモリともイイコトがしたい。


 待ちの時間ならば、いくらエロいことをしてもいい。

 まったく、おちおち休んでも居られないな!














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