8話
1週間かけて準備をした。
マロンちゃんと剣と拳で戯れ。
セリナをコマすべく優しい理解者を装い。
カイラが爆発しないように処理をし。
冒険に使うための道具類を買い集め。
今回の挑戦で到達するであろう3層『大瀑布』の情報を集め。
そしていよいよ迷宮へと挑むこととなった。
明日は最後の休養日と言うことにして、あなたたちは壮行会をした。
少し豪華な夕飯を食べ、酒杯を交わした。
その後、あなたはカイラの家を訪ねた。
夜にこっそりと、カイラの部屋の窓を直接訪ねる形でだ。
「……なにしてるんですか?」
そうしたところ、物凄い呆れたような顔をされた。
思った以上にセキュリティが強固だったのは誤算だった。
あと、カイラの強さも思った以上に誤算があった。
あなたはいま、カイラに拘束されていた。
カイラが操る、巨大な操り人形の手で握られているのだ。
操り人形は独特な様式の鎧の戦士を象っているようだ。
金属の小片を多数張り合わせた、ラメラーアーマーのようだが。
巨大な楯を肩に乗せたような形状は独特だが美麗に見えた。
頭部も独特の形状をした兜をしており、髭を生やした男性の顔を象った面をしていた。
「まぁ、私のあなたが頑丈でよかったです~……常人だったらぺっちゃんこでしたからね~」
カイラの言う通り、この操り人形の膂力はすさまじい。
強度もかなりのもので、ちょっとやそっとでは振りほどけそうにない。
本気を出せば拘束を解くことはできるだろうが、破壊しかねない。
見た感じ、この鎧は全面的にパペテロイが使われているように見えた。
こんなもの破壊したら、凄まじい額の弁償をしなくてはならないだろう。
それで揺るぐほど薄い財布ではないが、意味もなく弁償をしたいとも思わない。
操り人形、つまりはパペット。それに使う合金、アロイ。
パペット、アロイ。パペテロイ。なんて安直なネーミングだろう……。
「もう~、びっくりしたんですよ~? えい、えい」
カイラが可愛い掛け声で可愛くない圧力を加えて来る。
普通に痛いし苦しい。ダメージにまではならないからいいものを。
あなたに普通に痛いとか苦しいと思わせる時点でかなりの威力だ。
「まぁ、とりあえず中へどうぞ~」
そしてようやく中へと迎え入れてもらえた。
なかなかのハプニングだったが、無事に部屋に入ることはできた。
今後、カイラはうっかり怒らせないようにしようと思う。
負けはしないが、あの操り人形はなかなか厄介に思えた。
「それで? 私のあなた、今夜はいったい?」
明日1日、1日中愛し合うつもりで来た。
気が逸って少し早めに来たのだが、カイラがめっちゃ強かった。
あなたはそんな感じの雑な説明をした。
握られていたせいであなたは疲弊していた。
「な、なるほど~……あの、にぎにぎしたのはごめんなさい」
いや、それに関しては普通にあなたが悪い。
深夜にこっそりと忍んで来たら、侵入者と思うのが当然だ。
それはそれとしても、熱烈な歓迎だったので疲弊した。
なんかそう言う気分じゃなくなってしまったので寝たい。
明日の朝には復活していると思うので、それからということで。
「あの、えーと……その、小さくて申し訳ないんですけど……お、おっぱい揉みますか?」
揉む。
あなたは脊髄反射の速度で返答した。
そして、そっと突き出されたカイラの胸を優しく揉んだ。
シルク製のワンピースタイプのネグリジェの滑らかな触り心地。
その奥に感じる、小さいながらもしっかりと自己主張する膨らみ。
ぷにっとした弾力、カイラの低めの体温、カイラから香る独特の香り。
最高の感触にあなたは思わず笑みが零れ、先ほどまで感じていた疲弊が吹き飛んだ。
「……少しは元気になるかなと思ったら、思った以上の効果があってビックリしてます~」
カイラが困惑気味にぼやいている。
あなたも自分の現金さにちょっとびっくりしているくらいだ。
まぁ、回復したならそれでいい。さぁ、愛し合おうではないか。
「でも、ストレスがあったのはたしかだと思いますし~……今夜は何もせずに、一緒に寝ましょうね~?」
なんとここでお預け。
本来の予定通りの進行になったと言えばそうだが。
あなたはがっくりしながらも、禁欲だと思えば……と自分を慰めた。
ヤリ納め前の発散では少し貯めてからヤるので、その一環と思おう。
「さぁさぁ、私のあなたも着替えて。それとも寝巻がないなら貸しましょうか~?」
もちろん自前のものがあるので問題ない。
あなたは『ポケット』から寝巻を取り出して着替えた。
その後、カイラと共にベッドに入った。
単なる添い寝と言うのも悪くない。
「ふふふ……私のあなたと添い寝……気持ちいいですね~」
ぎゅうぎゅうと身を寄せて来るカイラ。
小さな体の感触が心地よい。
あなたはカイラに腕枕をし、眼を閉じた。
眠って目が覚めたら、あとは目くるめく愛欲の1日がはじまる。
まったく、楽しみで眠れないな!
「おやすみなさい、私のあなた」
ウキウキしていると、カイラがそう就寝のあいさつをした。
直後、カイラの体から力が抜けた。
同時に、すー……と深い寝息が聞こえて来た。
あまりの爆速就寝にあなたは思わず驚く。
いくらなんでも寝つきがよすぎないか。
なんか妙な魔法でも使ったのではないか。
だとしたら便利そうなので覚えたい……。
あなたはそう思いつつ、自分も眠るべく目を閉じた。
近くで誰かが身じろぎする気配で目が覚めた。
そこでは、カイラが身を起こしている姿があった。
「ふわぁぁ~……んん……んーっ!」
伸びをするカイラ。
小さいが上向きのツンとした胸がネグリジェ越しに見える。
朝日を浴びてうっすらと透けるネグリジェのエロいことエロいこと。
カイラの敏感な先端が透けて見える気がして、あなたは必死で目を凝らした。
「あらら~? 私のあなたも目が覚めていたんですね~。って、どこ見てるんですか、もうえっちですね~」
ツンっと額を指先で突かれた。
見た目は幼くすらあるが、どことなく年長者風を吹かせるカイラ。
この独特の言動と外見のギャップがあなたの情緒を狂わせる。
「さあさあ、起きて身支度して、朝ご飯にしましょう~? 朝ご飯は私が作りますよ~。何かリクエストはありますか~?」
あなたはカイラのおっぱいが飲みたいと力強く宣言した。
カイラの手料理、愛情たっぷりミルク。ごきげんな朝飯だ……。
それは冗談にしても、カイラによしよしされるプレイもしたいという気持ちが溢れて来る。
「もう、朝からえっちなんですから~……なにも出ませんけど、あとでたくさん吸わせてあげますからね~」
この包容力よ。気が狂いそうなほどに愛しい。
あなたはベッドの中で身悶えした。
後でたくさん甘えさせてもらうことにしよう。
あなたは甘えられるのも好きだが、甘えるのも大好きだった。
身支度を整え、起き出し、カイラが朝食の支度をはじめた。
この屋敷に住んでいる『エトラガーモ・タルリス・レム』のメンバーの食事を用意してあげているらしい。
さすがに食費は貰っているらしいが、1食銅貨2枚と言うから破格だろう。
軽食1食で銅貨1枚が相場と言うことを思うとやや割高かもだが。
上質小麦を使ったパンに、具沢山のスープ、新鮮なサラダ、そしてソーセージやベーコンと言った肉。
普通に考えて銅貨5枚分くらいの価値がありそうな食事で、銅貨2枚なら破格だろう。
「さぁさぁ、みんな朝ご飯ですよ~。あつまれ~」
食堂に設置してあった鐘をガランゴロンと鳴らすと、屋敷のあちこちからメンバーが集まってくる。
そして、見慣れないが面識のあるあなたの姿に皆が首を傾げた。
「前にお酒を奢ってくれたスーパーお金持ちの人だ!」
『エトラガーモ・タルリス・レム』のリーダーである剣士のリーゼ。
癖のない金髪を頭巾で纏めた少女で、服の上からでもわかる形のいい乳房。
あなたはいつかこれを思う存分に揉みしだいてやるつもりなのだが……。
カイラのブチギレスイッチがどこにあるかを把握しない限りは危険すぎて試す気にはなれなかった。
そのほか、チームの盾役であり、重戦士のリゼラ。リーゼとはいとこ。
北方生まれの弓使い、トキ。呪術師のチー。野臥せりのスアラ。
そしてヤンデレ治療師カイラ。実に個性豊かなメンバーが揃っている。
「剣の注文を請けていたので、その受け取りがてら遊びに来られたんですよ~。お得意様だから失礼のないようにお願いしますね~」
「へー、よっぽどいい剣注文したのか?」
「はい~。ソーラスの一等街区の建屋を全部買い占めてもお釣りが出るくらいの剣を~」
「金持ち過ぎるだろ」
トキが呆れたように返事をするが、まぁ、そのくらいだろう。
定価で金貨800万枚のところを、大まけにまけて金貨550万枚で買ったが。
それにしたって信じ難いほどの額だ。戦列艦を5個艦隊くらい揃えられる。
「そんなに金持ってるなら、ちょっとくらい私にお小遣いくれてもいいぞ?」
なんてトキが冗談めかして言うので、あなたは真面目腐った顔で頷いた。
そして、おっぱいを揉ませてくれたら金貨を1枚払おうと宣言した。
「……マジで払おうとしないでくれ」
ちょっと迷ったような顔はしたが、トキは冗談として片付けた。
まぁ、冒険者にとって金貨1枚はさほどの額ではない。
駆け出し冒険者ならともかく、今の彼女たちなら身を売るほどの額ではない。
「冗談はさておいて、朝ご飯にしましょうね~。さぁさぁ、食べた食べた~」
そこでカイラが促して来たので、あなたたちは朝食に取り掛かった。
カイラが愛情をこめて作ってくれた朝食だ。
料理にかかった手間の多寡は問題ではない。
そこに込められた愛の問題なのだ。あなたはそう思っている。
その愛があなたの妄想であっても、あなたが満足しているならそれが正解なのだ。
「ふふふ、美味しいですか~?」
とてもおいしい。
あなたが女の作ったものは別腹の狂人であることはともかく。
ごく普通に素材の質がよい。地味ながらも上等な味がする。
「あっと……お茶を淹れるのを忘れてました~。皆さん食べててくださいね~」
カイラがお茶を淹れ忘れたと言い出してキッチンに引っ込んでいった。
それを見送ると、リーゼがそっと近くに身を寄せて来た。
「あの、カイラと仲がいいんですよね?」
あなたは頷いた。さすがに仲間である彼女らほどではないかもしれないが。
それでも、カイラとはかなり仲が良いつもりでいる。
「……カイラのこと、知ってます?」
なにをだろうか。
「…………」
リゼラが周囲を見渡した後、あなたへと耳打ちをして来た。
「カイラとカイルさんって血縁があるらしいんですけど……その……」
その?
「……カイルさんは、カイラの……ま、孫なんじゃないかってウワサが……」
孫。カイル氏は少なく見積もっても15歳はいっているだろう。
すると、少なく見積もってもカイラは40後半から50くらいと言うことになる。
なるほど、あの包容力は年齢ゆえ。そして経産婦ゆえだったわけだ。
「納得……って顔してますね」
実際に納得しているし。
まさか、カイラがああも若々しい人妻だったとは。
実に最高だった。
「……あ、年齢は全然気にならないんですね」
あなたは頷いた。あなたの守備範囲は0から100歳までだ。
「もはや守ってないところがないですね。全域の守護者ですね」
100歳以上は守備範囲外だ。
まぁ、100歳以上の人間などお目にかかったこともないが。
もしお目にかかることが出来れば、その瞬間あなたの守備範囲はその分だけ拡張されるだろう。
「あー……そうなんだ……うん、あなたならカイラともうまくやっていけそうですね!」
なんだかよく分からないが、リーゼがそのようにあなたを評した。
もちろんあなたはカイラと今後も上手くやっていくつもりだ。
命を賭してでも上手くやっていかなくてはならない。
あなたはカイラが自害するところなんか見たくないのだ。
まずはこれからデートだ。
たっぷりと甘やかして、丁寧にエスコートをし。
それから夜にはやらしく盛り上がらなくてはいけない。
カイラが優しく甘やかしてくれるとのことなので楽しみだ。
デートの際に、他の女に目移りしないように気を付ける必要があるが。
それさえこなせれば、あとは勝ったようなものだろう。
あなたは夜のお楽しみタイムに胸が躍った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます