第37話

 手早く死体を片付け、馬は逃がし、死体となっている馬は適当に動物を召喚して食わせた。

 冒険者連中の死体は後で身包みを剥がすので扱いは丁重にした。

 フィリアなる冒険者については魔法で眠らせ、袋詰めにして担いで移動した。


「ねぇ、その、『銀牙』のフィリアはどうするの?」


 あなたは自分たちの犯行の一部始終を見られているので生かして返すわけにはいかないと返した。

 しかし、生け捕りにしてしまったので、苦しめて殺すのは忍びない。

 しかるべき方法で、苦しむことなく死なせてやると伝えた。


「そう……お願いするわ」


「…………」


 サシャが微妙な顔であなたを見ていた。

 絶対嘘だ……と言わんばかりの顔であるが、あなたは嘘を言ったつもりはない。

 たしかに安楽死と言うには程遠い死なせ方だが、苦しみを与えるつもりはない。

 ただ、あなたがハッスルし過ぎた結果、死んでしまうだけのことである。


 あなたは野営していた場所で始末をつけるので、先に町に戻っていてほしいと2人に伝える。

 ついでにそのまま死体を処理し、絶対に誰にも見つからない場所に隠してくるとも。

 そのため、2~3日ほどかかるかもしれないので、宿の滞在費をサシャへと渡した。


「はい。では、先日も泊まっていた宿に逗留しますので……」


「そうね、私もそこに宿を取ろうかしら?」


「あ、いいですね。では、行きましょう」


 立ち去っていく2人を見送った後、あなたは『セイフティテント』と言うマジックアイテムを設置した。

 袋詰めにしたフィリアをテントの中へと連れ込み、袋から出してやる。


 20代手前くらいの年若い女性だ。艶やかな金髪と肌艶から豊かな生活を送っていることが伺える。

 実に食べ応えがありそうな美女と言えるだろう。あなたは昂る獣欲を思う存分に発散できる喜びに打ち震えた。




 2日ほど経ってもフィリアは健在だった。やはり冒険者として鍛えていると違うのだろう。

 思うさまに楽しむと死ぬというのも、相手が一般人であればの話である。

 どちらかと言うと致死率は低い。そもそも、同性とは言えただの性交で死ぬこと自体がレアケースだ。


 あまり強いとは思わなかったが、肉体的な強靭さはかなりのものがあるようだ。

 欲求不満からくる昂る獣欲も既に解消され、無理矢理責め殺そうとまでも思わない。

 それこそ1年にも及ぶ禁欲の後だと、あなたと同格のペットたちでも死ぬことがあるのだが。

 あなたと同格のペットが死ぬことから分かるように、無理な性交であなたも死ぬことがある。

 精々が1週間に満たない禁欲の後であるから無事だったというのもあるのだろう。

 とは言え、息も絶え絶えと言ったフィリアの様子からして、割と瀬戸際感はある。


 さて、どうしたものかとあなたは頭を悩ませた。

 物理的にトドメを刺すか、あるいはこのまま責め殺すか。

 少し考えた後、あなたはフィリアに提案をした。


 つまり、先日の出来事に関しては全て口をつぐみ、あなたのペットとして生きていくか。

 あるいはここで短い生涯を終えるかだ。その場合、快楽と共に息絶えさせてやるとも。

 フィリアは一も二もなくあなたのペットになることに同意を示した。




 あなたはフィリアを連れて意気揚々と町へと戻っていた。

 その後ろでフィリアは陶然とした顔であなたに付き従って歩いていた。


「あの、お姉様」


 フィリアはなぜかあなたをお姉様と呼ぶ。妹がいる身なので、姉として呼ばれるのには慣れているが。

 しかし、外見的な年齢はあからさまにフィリアの方が上なのだが。

 まぁ、そう言う行為の関係として、いわゆるところのタチ側がお姉様と言われることもままあるが。


 単純な話、あなたはそう言った行為が抜群に上手い。


 言葉すらおぼつかない幼女に性的絶頂を覚えさせる熟練の手管がある。

 老衰で死の間際にいる老婆を大洪水にさせるだけの老練の手管もある。

 性別が女ならゴーレムにも粉をかけ、アンデッドだろうが躊躇なく抱く。それがあなただ。


 そして、あなたは自分の欲望を満たすことも大好物だが、相手を満たすことも大好きだ。

 いわゆる凄腕のタチであるあなただが、自分は服一枚脱ぐことすらなく相手を乱れさせるだけで満足するような部分も持っている。


 そんなあなたが、何の遠慮もなく自身の持つ技術全てを用いてフィリアを抱いたのだ。

 相手がノンケだろうが、容赦なくレズビアンにしてしまう。それがあなたである。


 要するにフィリアはあなたに堕ちていた。


「お姉様は、一体なぜ私たちを襲ったのでしょうか……?」


 依頼されたからである。それ以上の理由などありはしない。


「それだけ、ですか」


 殺すことに理由が必要なのだろうか。あなたには分からない理屈である。

 無差別に殺すことが上等とは思わないが、選んで殺すことも上等だとは思わない。

 結局のところ、殺しは殺しである。冒険者など、所詮は死肉漁りの下賤なのだから。


「そう……ですよね」


 ところで服屋があるが、服など買っていこうかとあなたは提案する。

 ペットになった以上、その世話を十分に焼いてやる責任があなたには存在する。

 一般的に言えば相当甘やかされているサシャと同じ待遇を与えるのは当然と言えよう。


 その、サシャのことが少々ばかり気になるが……まぁ、仕方ないだろう。

 本来ならフィリアをペットにするつもりはなかったのだが、生き残ってしまったのだから。

 まぁ、あなたにしてみれば、フィリアと言うペットには面白みというものがない。


 種族は純粋な人間で、能力で言えば単純な魔法使い。それも回復に特化したタイプだ。

 仲間を支援するタイプの冒険者のそれであり、特に珍しくもなんともない。

 美人で体付きも豊かで楽しめるが、所詮はそれまでの話である。


 長い冒険者生活の中でフィリアとよく似た適性のペットを育てた経験は無数にある。

 フィリアより豊満な者も居たし、フィリアより美しい容貌の持ち主だっていた。

 戦闘力と言う点ではさほどの意味がない。鍛え抜いたら究極的にはすべての能力が極まって平凡になる。

 そう考えれば、獣人と言うオンリーワンの個性を持つサシャに比べ、比率が劣るのは致し方ないことと言える。


 しかし、これからはフィリアとサシャの2人がいる。満たされない欲望もそれなり以上に満たせるだろう。

 特に、フィリアは多少手荒に扱っても問題ない。肉体が頑強で、体力も十分にある。

 これから夜が楽しみで楽しみで仕方ない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る