第41話 いつかまた未来で

 お待たせしました……!

 体調を崩し、モチベーションもなかなか上がらず(言い訳)こんなに遅れてしまいました。完結目指して頑張りますのでどうかこれからもよろしくお願いします!


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 ライトハウス内の一室、セーマと男は向かい合って座っていた。


「さて、セーマ君。メカドに行くんだったな」


「はい」


「メカドについては以前言った通りだ。ドールがあること、逆にカークスが無いこと。後はそうだな……あの国は鎖国状態みたいになっている。立ち入れないわけではないが、ライトハウスのような戦艦は厳しいチェックを受ける。残念だが、君をメカド内まで運ぶことはできない」


「いえ、近づいてくれるだけでもありがたいです」


「君がメカドに付いたら、どうにかしてアストレアを隠した方が良い。アストレアがどう扱われるかわからないからな。最悪の場合解体されて研究材料になる可能性もある」


「それは嫌ですね……」


「まあ少し立ち寄って補給する程度なら山にでも隠せばいいだろう。……そういえば言ってなかったが、俺たちが知っている情報はあくまで数年前の話だ。今はどうなっているかわからないからな」


「はい。でも僕は何も知らないので数年前の情報でもありがたいです」


「メカドまであと数時間だが、ゆっくりしてくれ。何かしたいことがあるなら遠慮なく言ってくれよ」


「ありがとうございます」


 ―――――

 ―――

 ―


 セーマはカークスの格納庫に来ていた。


(アストレア……いつ、どこで、誰に作られたんだ? 一体何のために?)


 アストレアを見ながらセーマは考える。


「あ! パイロットのにーちゃん! そこで何してるの?」


 突然セーマに声がかけられる。セーマが振り返ると、そこには五歳ぐらいの少年が立っていた。


「えっと、君は?」


「ぼくはユーマだよ! にーちゃんは?」


「僕はセーマだよ。よろしくね、ユーマ君」


「よろしく!……ところで、これがセーマにーちゃんの乗る機体?」


「そうだけど、どうしたんだい?」


「すごくかっこいいね、これ。ねえ、ちょっと乗せてよ!」


「いいけど、あまり触らないようにね」


「わかった!!」


 セーマとユーマの二人は一緒にコックピットに乗り込んだ。


「すごーい! 中ってこんな風になってるんだね!」


 セーマはユーマがはしゃいでいる様子を眺める。同時にユーマがアストレアを動かしてしまわないように気を張っていた。


「これ動かないの?」


 しばらくコックピットの中を観察したユーマは、セーマに問いかける。


「動くよ。でもね、今アストレアはお休みしてるんだよ」


「そうなんだ……」


 ユーマは少しがっかりしたような表情になったが、何かを見つけたのか、コックピット内の一点を見て固まった。


「どうしたの? ユーマ君」


「セーマにーちゃん、隙間に何か落ちてるよ?」


「え?」


 ユーマの指し示す場所をセーマがのぞき込むと、確かにそこには光沢のある何かが落ちていた。セーマはそれを手でつかみ、拾い上げる。


「うーん、これは一体……」


 セーマがつかんだのは、ひし形の金属が付いているペンダントのようなものだった。


「なんだったの? 見せて!」


 セーマは表面を少し拭いてからユーマに見せる。


「これ、キレイだね! まるでお星さまみたい!」


「星……確かにそう見えるかも。ユーマ君、良かったらあげようか?」


 その言葉にユーマは悩む仕草を見せる。


「うーん……いや、ぼくはいいや。だって、セーマにーちゃんの機体で見つかったんだもん。それに、お守りみたいだからにーちゃんが持っておくべきだよ!」


「そっか。ありがとう、ユーマ君」


「どういたしまして! ……そういえば、セーマにーちゃんはどーしてたたかってるの?」


 突然の質問に、セーマは少し固まる。


「どうして……か。実は、僕もあまりわかってないんだ」


「セーマにーちゃんは何でたたかっているかわからないの?」


「うん。恥ずかしいことにね」


「ぼくのおとーさんはね、家族を守るためって言ってた! セーマにーちゃんは守りたい人とかいないの?」


「守りたい人か……」


 セーマはニベ公国にいる家族を思い出す。


(思い返せば、今までいろんなことがあったなぁ)


 家族との平和で幸福な時間。アストレアとの出会い。初めての戦闘。ビーサムの皆との出会いや別れ。ナグルファの人たちとの生活。戦争という最悪な時間の中にも確かにあった大切なもの。


(大切なものを守るために戦う……か。僕だけじゃただの理想だけど……アストレアがいてくれたら……!)


「ありがとう、ユーマ君。僕の戦う理由が見つかったよ」


 その言葉を聞いたユーマは、満面の笑みを浮かべていた。


 ―――――

 ―――

 ―


「色々と、本当にありがとうございました」


 ライトハウスはメカドに十分に近づき、セーマはアストレアの中で出発の準備を完了していた。


『いいんだ。こっちも面白いものを見せてもらったからな。次合う事があるか分からんが、元気でな』


「はい。皆さんもどうか元気で」


『カークス用出入口開放。“アストレア”ロック解除。……短い間だったが、充実した時間だった。君の未来に光があらんことを。ライトハウスは君の活躍をいつも見守っている』


「いつかまた未来で。……アストレア、セーマ・バランサ。行きます!」




 アストレアとセーマは、ライトハウスから飛び立ったのだった。

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