第36話 ライトハウス

 恐らく書くのを忘れていたのですが、アストレアのセリフ(?)である〈〉の中の言葉は基本モニターに表示されています。が、セーマがヘルメットをかぶっている時、セーマの頭にも伝達されています。(伝われ)


 今更の補足

「」:人のセリフ

『』:スピーカーや無線など。(何かを介して放たれたセリフ)

():心の声

〈〉:アストレアのセリフ、モニターに表示される言葉

“”:機体名、戦艦名など

 現在これで書いています!(もしかすると今後追加されたり消えたりするかも)


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――


「アストレア、通信をつないで!」

〈了解。〉


『せ、セーマ君?どうしたの?』

 通信から女性の声が聞こえてくる。

「僕も出撃します!固定している装置の解除と扉の開放お願いします!」


『分かったわ。固定装置解除。“ライトハウス”のカークス出入口開放』


 アストレアを固定していたアームなどが外され、セーマが入ってきたときに使った扉が開く。


「アストレア行きます!」


『ありがとう。頑張ってね』


 アストレアは宇宙に潜るように“ライトハウス”から離れる。


〈敵を感知。戦艦一隻。カークス推定十二機。……“ライトハウス”の反応が消失しました。〉


「えっ!?なんで!?」


『驚かせてすまない、セーマ君』


 アストレアのそばに一機のカークスがやってくる。それはセーマが見た重装型のカークスだった。


『ライトハウスにはステルス機能がある。……君の言いたいことは分かる。君の出撃を止めず、俺も出撃したのはライトハウスのステルスは完璧じゃないからだ』


「それじゃあ敵を可能な限り引きはがせばいいんですか?」


『そうだな。それができれば最善だ』


「……一人の時はどうしてたんですか?」


『狙撃可能な武器を持ち、敵艦の大事なところに打ち込む。運が良ければ一発で終わるし、たとえ一発で終わらなかったとしても、混乱の中でウチの機体に追いつける奴はいない。そうやって何とかまいてライトハウスに戻れば任務完了だ』


「なるほど…」


『だが、今回どうやるかは君に任せよう。俺のやり方は少なくない犠牲が出る。それは君が望むことじゃないだろう?』


「なんで、分かるんですか?」


『君の様子を見ればわかる。私は君のサポートをするから、暴れまわっても良い。……さあ、時間は無いぞ。行動開始だ』


 セーマはスッキリしない気持ちを抱えながらもアストレアを敵艦の側面に回り込ませる。


〈敵のレーダー検知範囲内です。敵はこちらを発見していると思われます。〉


『あの機体は“エクスマッド”だ。これといった特徴が無いのが弱点であり、強みでもある。気を抜くなよ』


「分かってます!」


 エクスマッドがビームライフルの銃口をアストレアに向ける。


「アストレア、ビームを細くできる?」

〈可能ですが射程距離は落ちます。実行しますか?〉


「お願い!」

〈調整完了。〉


 エクスマッドがこちらに向けてビームを放った瞬間、アストレアもビームを放つ。


 両者が放った光は衝突することなく進み、片方は宇宙の闇へ、片方は武器を持つ右腕に吸い込まれる。


「次!」


 アストレアのビームライフルが一発、また一発と光を放つ。


『すごいな。武器を持つ腕だけ破壊するとは』


「このまま終わらせる!」


 アストレアは敵の戦艦に急接近し、主砲の砲身をビームソードで切り裂いた。主砲を失った戦艦は悪あがきなのか、諦めていないのか、ミサイルを放つ。


「アストレア、ビームライフルを拡散できるように!」

〈調整完了。〉


 アストレアのビームライフルから放たれた光がミサイルを包み込み、大爆発が起きた。


(多分これでこの人たちは混乱しているはず。増援を呼ばれる前に撤退しないと)


「アストレア、離脱します!」


『どうやら、援護する必要は無かったみたいだな』


 二機のカークスは攻撃すらしてこなくなった戦艦に背を向け、そこから離脱したのだった。


 ―――――

 ―――

 ―


 セーマはヘルメットを取り、アストレアのコックピットから出る。


「いやーセーマ君、助かった」


 いつの間にかアストレアのそばまで来ていた男が、セーマに話しかける。


「いえ…本来は僕が出る必要もなかったようですし……」


「そうかもしれないが、君も出てくれたおかげで俺はかなり安全に行動できた。こうして無事に帰ってこれたのも、君のおかげと言っても過言ではない」


「ハハ…過言ですよ」


「……さて、君にあれを見せる時が来たか」


 雰囲気が変わった。セーマはそう感じた。


「ついて来てくれ、セーマ君」


 セーマはその言葉に従い、カークスの格納庫を進む。


「着いたぞ、ここだ」


 男が立ち止まったのは重装備仕様のカークスの目の前だった。


「えっと、これはさっきあなたが乗っていた?」


「それとは違うものだ。これの外装はさっき私が乗っていた機体と同じだが、中身が特殊でね。……中身を見せる前に、俺たちは君に謝らないといけない」


「謝る?なにをです?」


「俺たちは君のことを知ったうえで君と接触した。その上、君一人に戦闘を任せ、試すような真似をしてしまった。本当に申し訳なかった」


 そう言って男は頭を下げる。


「そ、そんな!謝らなくても良いですって!結果的に僕は無事なんですから」


「そう言ってもらえると有難い」


「それより、僕のことを知っていたってどういうことですか?」


「その理由を説明する為にも、コイツの説明をした方が良いだろう」


 男は通信機のようなものを取り出し、何か指示したようだ。格納庫にあるアームが動き始め、目の前の機体の外装が取り外される。


「これは…?」


 現れたのは、一つの巨大なと言って差し支えないものだった。見た目からそれが何らかの鉱物でできていると分かるが、セーマは既視感を覚えつつもどんな名前だったか思い出せない。その人形には関節部があるものの、動力が通っているようには見えず、動かせるのかさえ定かではなかった。


「これは俺たちが隠し続けているもの。これ一つで国が滅びかねないと危惧され、四百年以上守られてきた。歴史の生き証人とも呼べる代物だ」


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


〈機体等紹介〉


 オルターミット


 戦艦“ライトハウス”にて運用されている二機のカークス。装甲を外したり着けたりすることが可能で、様々な局面に対応できる。製造国不明。“ライトハウス”には全身を覆い、防御を重視した重装備(重装甲)仕様と、機動力を重視した軽装備(軽装甲)仕様の二種類が主に使用される。


〈装備〉

 ビームライフル、ビームソード、バズーカ、狙撃用ビームライフル、シールド、内蔵式ガトリング、ビームマシンガン、外付けエネルギータンク、スラスターユニット



 ライトハウス


 高性能なステルス機能を持っている戦艦。製造国不明。カークスを収容可能数は六機。内部はまるで家の様な生活のしやすい環境となっている。現在の乗組員は数人しかいないようだが、十分運航可能らしい。攻撃性能は比較的低い。


〈装備〉

 二連装中型ビーム砲×3、二連装対空砲×4、高性能ステルス装置



 ???


 戦艦“ライトハウス”に格納されていた。関節部など動きそうな見た目ではあるが、動力を生み出したり供給したりする装置は見えず、実際に動かせるかは不明。オルターミット用の装甲を被せることができるようだ。


〈装備〉

 なし

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