最強魔王様に取り憑かれた底辺ダンジョン配信者、無限の魔力でS級モンスターをワンパンして美少女配信者を救ったら、あまりにも強すぎると話題になり大バズりしてしまう。
#001 底辺配信者、最強魔王様に体を明け渡す。
最強魔王様に取り憑かれた底辺ダンジョン配信者、無限の魔力でS級モンスターをワンパンして美少女配信者を救ったら、あまりにも強すぎると話題になり大バズりしてしまう。
イルティ=ノア
覚醒、冱てる魂と運命の境界線
#001 底辺配信者、最強魔王様に体を明け渡す。
何をやってもダメダメな駄目人間。
馬鹿で運動音痴な高校一年生である。
「あいつ何やってもダメじゃね?」
周りの人間はそう言って僕のことを馬鹿にするが、僕自身まったくの正論だと思っているので何も言い返せません。
流石にそれは言い過ぎじゃないかな?
そう思ってる時期が僕にもありました。
しかし歳を重ねるごとに、周りの人間と比べて明らかに自分の能力が劣っているのを理解して、どうしようもないやるせなさに胸を打ちひしがれている。
自分のダメさに嫌気が差して、訳も分からず涙が溢れ出るのなんてしょっちゅうだ。
そんなクソみたいな人生を送ってきた僕に突然の転機が訪れた。
そこは見知らぬ真っ黒な広い空間の中。
中央の玉座にふんぞり返る、赤い着物を着た男が告げる。
「小僧、このままだと貴様は死ぬぞ?」
唐突な死の宣告。
いきなりの出来事に頭が混乱してどうにかなりそうだった。
「貴様如きの”魔力”では万が一にも勝ち目はあるまい」
威厳に満ちた、艶のある声で男は続ける。
「だが俺は”魔王”だ。この程度の相手、赤子の手をひねるより容易く仕留めて見せようぞ」
男は立ち上がり、ゆっくりと僕に向かって歩いてきた。
大きい……。
向き合ってハッキリと体格差を理解する。
その鋭い眼光で見下ろされたら恐怖するしかない。
魔王という話もあながち嘘ではないと思わせる、圧倒的威圧感。
「当然の反応だ。怯えるのも無理はない」
そう言って男は僕の頭に手を置いた。
「これは”契約”だ。俺が貴様の願いを叶えてやる。代わりに貴様は肉体を寄越せ」
「僕の、願い……」
僕は今までに起きたことを必死に思い出して、考えた。
僕が死にかけている理由……。
それは簡単なダンジョンの探索中、凶悪なモンスターに襲われたからだ。
本来ならそこには出現しないはずのモンスターだった。
そんな相手に勝てるはずもなく、無様に致命傷を負った僕。
ちょっと前までなら、死んでも悔いは何一つ残らなかったはずだ。
けど、今だけは違う。
初めて僕は誰かに優しくされた。
初めて僕に優しく微笑んでくれる人がいたんだ。
その人は今、僕と同じモンスターに襲われている。
そしておそらく敗北し、僕と一緒に死んでしまうだろう。
「そんなことあってたまるものか……”彼女”は、こんなところで死んでいいような人じゃない……」
「ほう、貴様の願いは”女”か」
愉快そうに笑う魔王。
魔王の言う通りだ。
僕は非力で何もできないまま死ぬところだった。
しかし僕の体を魔王に捧げれば結果は変わる。
僕一人の犠牲で彼女が助かるなら、何を迷う必要があるだろうか?
「……僕の体は差し上げます。代わりに、彼女のことをいつまでも守り続けてください」
「心得た」
そう言うと魔王はフッと笑い、僕の体と魂を入れ替えた。
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