このクソ嫌なお嬢様を落とします
@kminato11
第1話
「私と付き合ってください!」
「ごめんなさい……私、
渾身の告白と共に玉砕され、告白相手は私の目の前から去っていく――。
ダメだったか……これで十人目。
一人取り残された空き教室で項垂れながら、私は次に向けてメモを取る。
今回告白した相手は、まあまあ大きい会社の幹部の娘だ。
クラスも同じで、よく一緒に昼ご飯を食べたり、放課後に遊びに行ったことがあるほどの仲だったけど……二人きりで出かけたことはなかった。少し急ぎすぎたか。
なぜそれほどショックを受けていないかって? だってこの一ヶ月で十人目だし、それにショックを受けている暇は私にはないのだ。
去年のことだ。通帳を見ると私の残金はもうほとんど底をついていた。理由は学費。
最初は金持ちなんだから仲良くしていれば学費ぐらい払って貰えると思っていたが……甘かった。ここの学校はお嬢様学校なのだ。学費だって馬鹿にならないほど金がかかる。ぽっと出の人が出してもらえるなんてことなかった。
もう三ヶ月後には後期の学費の支払書が来る。普通にヤバい。
それでも仲良くして、なんとか出してもらおうとクラスの人に付き合ったりしたんだけど、ここの学校の生徒は普通の女子高生とか規模が違う。
移動はリムジンだし、ファミレスでお茶とかじゃなくて、ちゃんとドレスコードして入る個室の高級料理亭とか、シャトーブリアンが出てきたりとか……女子高生ってなんだろうと思ったほどだ。
流石に出してもらったらお返ししようとは思ったど、学生で高級レストランのフルコースのお返しって分かんないよ。
そんな日々を過ごしていたとしても、刻々と学費を払う時間は迫ってきていた。
仲良くなっただけではお金を払ってはくれない……ならばどうするか? 決まっている。
落とすしかない。この金持ちの誰かを。
メロメロにするしかないのだ。付き合わなくてもいいけれど、最低でも学費を払ってもいい奴と認識させられなければならない。
流石に付き合って卒業したら捨てるなんて酷いことをするつもりはない。というかちゃんと大事にするし、出させる分望むことをさせてあげる。
そう決意を思って、私は仲が良かった相手から順に告白していったけど、一向にどの女の子も落ちる気配はない。
やっていることは最低だけど、私の青春がかかっている。もう後先考えている暇はない。
温存していたこの学校でもトップレベルの金持ち。
もう、あいつしかいない。
私は彼女がいるだろうテラス席へと足を進めた――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます