【サッカー】浦和レッズ対マンチェスターシティ 世界との差

武藤勇城

1、前置き 試合の概要

 2023年12月20日、日本時間の午前3時 (19日の27時) 、サッカークラブワールドカップ準決勝が行われました。結果から言えば、Jリーグから日本中の期待を背負って出場した浦和レッズは、0-3でイングランドプレミアリーグに所属するマンチェスターシティ (以下マンCと表記) に敗れました。シュート数で比較して、浦和レッズが2本のみだったのに対し、マンCは25本。ボール支配率は26対74で、パス本数は約3倍。パスの成功率で見ても、浦和レッズが77パーセントだったのに対し、マンCが93パーセントという、まさにワンサイドゲームでした。一方的な内容で、手も足も出なかったのがデータからも読み取れます。マンCといえば、現在、世界サッカークラブランキングで堂々1位につけており、昨年のUEFAチャンピオンズリーグでも優勝した、名実ともに世界最強のクラブチームです。両者の力の差は歴然でした。メンバーをだいぶ落としていた1.5軍のマンCに対し、浦和レッズは右サイドバックの元日本代表・酒井宏樹選手が出られなかった以外、現状のベストメンバーに近いイレブンを揃えたにも関わらず、です。


 因みにマンCのスタメンには、現在、世界最高のストライカーと呼ばれる、ノルウェー代表のアーリング・ハーランド選手。FIFAランキング1位のアルゼンチン代表でも、エースストライカーとして活躍するフリアン・アルバレス選手 (途中出場) という自慢の攻撃陣の名前がありませんでした。その他、FIFAランキング現在4位、2021年まで世界1位だったベルギー代表黄金世代の中心選手であり、世界屈指の司令塔であるケビン・デ・ブライネ選手が怪我の手術で長期離脱中。更には守備の中心で、ポルトガル代表でも守備陣を統率するルベン・ディアス選手。先の2022年ワールドカップで、元日本代表・宮本恒靖選手が着用していた物と同じ黒のフェイスガードを着用し、『バットマン』と呼ばれたクロアチア代表のヨシュコ・グバルディオル選手 (途中出場) らの名前もありませんでした。自慢の攻撃陣、ハーランド選手とアルバレス選手を欠いただけでも『飛車角落ち』と言って過言ではないのですが、更には司令塔と守備の中心選手までいないのですから、『飛車角桂香6枚落ち』ぐらいのハンデマッチだったと言えるかも知れません。もちろん、将棋のように相手の駒だけが減って枚数が違うハンデではなく、代わりの選手が出場していますから、本当にそこまでの差があったとは思いません。それでも『飛車角落ち』ぐらいのハンデ戦だったと言えそうです。


 さて、前置きが長くなりました。浦和レッズとマンCの違い。日本サッカーと世界との差。単純なスピードやパワーといったフィジカル面等、色々あると思いますが、自分が考える一番の違いはパススピードです。もちろん、ただ速ければ良いという話ではなく、正確なパスを出せる中での最大速度でなければなりません。この試合を通して、浦和レッズの選手の中でパスが通用していたのは、自分の見たところアレクサンダー・ショルツ選手だけです。2023年のJリーグベストイレブンにも選ばれた、国内屈指のサッカー選手です。チャンピオンズリーグ出場経験があり、ディフェンダーながらゴールも決めていて、世界と渡り合えるハイレベルな選手です。

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