同期会
勝利だギューちゃん
第1話
暮れも押し詰まったころ、僕に一通の手紙が届いた。
『来年の旧成人の日に、我が学年の同期会を開きます。
高校時代にタイムスリップできる、貴重な日。
ふるってご参加ください。
〇〇高校 平成〇年度卒業生 幹事 結城聖羅』
結城聖羅。
学園のアイドルだった女の子だ。
高嶺の花で、見ているだけで満足。
そういう方が多かった。
だが、とても大人しかった。
こんなお祭りには率先してやる子ではない。
「あなたのところも来た?」
「ああ」
「私にも」
妻から声をかけられる。
「夫婦なんだから、まとめて送ればいいのにな」
「まあ、そこは同窓会だしね。で、あなたはどうするの?」
「パス。お前は?」
「私は行こうと思う。久しぶりに会いたい子もいるし」
「そっか・・・」
説明しなくても、わかると思うが妻は、高校時代のクラスメイト。
当時は、特別仲は良くなかったが、仕事で再会して意気投合して、今に至る。
何がおこるかわからない。
あっ、さっきの聖羅さんではないので、念のため。
「じゃあ、行ってくるね」
「ああ、気をつけてな。皆によろしく」
「あなたも、お仕事がんばってね。締め切り近いんだから」
「お前も、明日からまた仕事だろう?」
「うん。私も在宅だったけど、ようやく落ち着いたからね」
妻は同窓会に出かけて行った。
楽しんでくれたらいいな。
夜
「どうだった?同窓会」
「うん。よかったよ」
「聖羅さんは?」
「成りすましだったよ。犯人は担任」
あいつか・・・
大人気なかったからな。
「あなたも気が付いていたんでしょ?」
「そりゃあな」
「当の聖羅さんは来なかった」
「彼女も仕事だからね」
皆、多方面で活躍している。
嬉しい限りだ。
「仕事は?」
「ああ。出来たよ。そろそろ来る頃だ」
インターホンが鳴る。
「私出るね」
「ああ」
「あつ、聖羅さん、いらっしゃい」
「こんばんは。先生の仕事出来てる」
「みたいだよ」
妻は聖羅さんを、招き入れる。
「今日、同窓会だったけど」
「犯人は担任」
「やはりね」
結城聖羅。
今は、出版社で雑誌の編集者をしている。
そして、作家となった俺の担当。
そして、妻は役者。
俺の作品がアニメになったときに声優として抜擢されて再会。
そして、意気投合した。
「聖羅さんは、結婚は?」
「もうしき」
「担任か・・・」
「うん」
同期会 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます