第27話 VSごはん戦隊おかずファイブ
我々のヒーロー抹殺計画は残すところ日本だけとなっていたが、はっきり言ってここからが正念場である。理由はもちろん日本にはアレンジャーズのような奴等がゴロゴロ居るからだ。
つい昨日もコンビニでプロテイン味のおにぎりを買った帰りに、知識だけの童貞(魔法使い)と新鮮な変態が戦っているのを見かけた。日本ではそれぐらいヒーローがゴロゴロしているのだ。
なのでそのヒーロー達の筆頭格であろうニチアサ組を避け最後に回し、比較的雑魚である知識だけの童貞や新鮮な変態から片付けていこうかと私は考えていたのだが――
都の
「果麺ライダーやパンストセイントは後回しでも構わない。だがスーパー戦隊ヒーローは最初に叩くぞ。何故なら今のスーパー戦隊ヒーロー『ごはん戦隊おかずファイブ』はただの前座だからだ。真打ちは別に居て、その真打ちである『おかず戦隊ごはんですよ』を引きずり出すにはまずおかずファイブを叩く必要がある。なので最初におかずファイブを叩いておいて、後は他を叩きながらごはんですよが出てくるのを待つ!」
と言われてしまったらそうするしかないので、我々はまず最初に戦隊ヒーローおかずファイブを叩く事にした。
しかしまあ、都にはっきり前座と言われてしまったので我々は本気を出さずに肩慣らしのつもりでリキ、シコナ、ヨネの3人だけを派遣して私と都はモニタリングだけする事にしたのだが――
――弱い。
なんだこいつら? 本当に戦隊ヒーローなのか? 弱過ぎるだろう?
「というかなんでこいつらは5人組の戦隊ヒーローなはずなのに、常に4人しかモニターに映っていないのだ? あと1人はどこに居る?」
と、これを言ったのはもちろん私だ。
今、私と都は会社のモニター室でプロテイン味のおにぎりを頬張りながら熱いお茶を啜りつつモニタリングをしていた。
そして私の質問に答えたのはもちろん都で。
「いや、それは君が気付いていないだけで先程からチョロチョロと映ってはいるぞ? まあいい……」
と都はそこまで言うと宙に向かい。
「おい、引き気味のカメラに映像を変えてくれ!」
というと映像が切り替わり、おかずファイブの4人とリキ、シコナ、ヨネの3人がかなり遠め――カメラがかなり引いて撮っている画が流れているが……?
「ホラわかるか? 今画面の端っこの方にちょっと見切れてるブルーが映っているのが?」
なっ? ほ、本当だ……何故かこの世の全てを恨んでいるかのような負のオーラを出して体育座りしているブルーが画面から半分以上見切れているが確実に居るのは確認出来る。――が?
「実はおかずファイブのブルーは元は『陰キャ戦隊ソロボッチ』という1人で戦隊ヒーローをやっていたのだ」
それは戦隊ヒーローの定義から外れているのでは? と考えていると都は続ける。
「そのせいかおかずファイブに入っても基本1人だし、体育の授業などで2人組を作る時も必ず1人余っているらしい。そして本当は自分以外の仲間に強力なバフをかけられるのだが、ご覧の通りの距離感でな? 仲間にバフが届いた事は1度もないそうだ」
いる意味ないだろう? 角度によってはたま〜に画面奥の方でボヤけて映ったり、常に半身以上が画面から見切れてて全く戦わない戦隊ヒーローは最早ヒーローとは呼べんぞ?
「これほど性格と能力の合っていない戦隊ヒーローは初めて見たな……ん? いやちょっと待て。戦隊ヒーローと言ったら怪人にトドメを刺す時に5人の武器を合体させて必殺技を撃つのがお決まりだろう? ならこいつらはどうなのだ? 流石にトドメの時はボッチも近くに来るのか?」
という私の質問に対して都の答えは。
「ん? あぁ、それなら心配ない。実はごはん戦隊おかずファイブはソロボッチが絶対に仲間と接触しないので合体武器での必殺技はなく、仕方がないので4人と怪人が戦っている真っ最中に、怪人がやられなくてもいきなり巨大化するのがお約束なのだ」
「や、やられる前から巨大化するのか? 突然過ぎるだろう?」
「ああ、なんの前触れもなく4人と怪人が戦っているといきなりソロボッチが巨大化するのだ」
「ソロボッチがだとっ!? どういう理屈だっ!!」
「成長期」
「ああ、それは仕方ないな」
しかしまあアレか……ソロボッチが巨大化すれは合体ロボも必要ないから接触しない戦隊ヒーローとしては合理的といえば合理的……なのか?
「因みに余談になるがソロボッチの二つ名は『良い匂いのするトイレットペーパーの芯』という……」
いきなり今度はなんだ?
「これは『良い匂いのするトイレットペーパー』の芯……という意味ではなく、良い匂いのする『トイレットペーパーの芯』という意味だから注意しろ」
注意してどうしろと?
……とまあこんな会話をしている内にもシコナ達は実質4人しかいないおかずファイブ達を圧倒。まあ、こんなチームワークの欠片もない戦隊にウチの実動部隊が負けるはずもなく、リキのバフもなし、ヨネは戦闘に参加しなくても――というよりシコナ1人でほぼ完勝だった。なので私は音声スイッチを押しマイクへ向かい。
「シコナ。もう十分だ。さっさと倒して楽にしてやれ」
『御意』
とシコナからすぐに返答がきた。そしてシコナは腰の刀に手をかけると――静かに鯉口を切った。
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