第13話 スーパーヒーローズ
とまぁここまでアメリカのヒーロー事情をアベンジャーズ中心に話していた私と都だが、実はこの話の核心はここからである。
アメリカンヒーローの話が一区切りした後、改まり私を見詰めて口を開くは都。
「しかしだ。そんなヒーロー大国アメリカを簡単に凌ぐのが……ヒーロー超大国の日本だ」
だろうな。
「何せ日本は普通の主婦だと思っていた近所のおばちゃんが魔法少女だったり、小学校の二宮金治郎の銅像が自衛戦闘ロボットだったりと……そこら中にヒーローがいて、守るべき市民よりヒーローの方が多いという飽和状態だからな」
つまり言い方を変えれば1人に1人以上のヒーローの護衛がついているのが現状の日本人……と言えなくもないという事か。日本人だがそこまでのヒーロー事情は知らなかったな……どうりで町を歩けばイケメンよりも正義のヒーローの方が良く見かける訳だ。
「それで? そんなヒーロー超大国の日本で注意すべきヒーローとはどんな者達なのだ?」
私が問えば都は右手の人差し指を突き立て。
「そうだな……まず最初に語るべきは日朝だろうな」
「日朝?」
「ああ、毎週日曜の朝1時間半。各30分ずつだけ悪と戦う3組のヒーロー達だ」
ほお? そこだけ聞くと随分手抜きなヒーローのように聞こえるが、逆を言えばどんな悪党でも30分以内に片付けるという凄まじい強さのヒーロー達……とも言えるのか。これは強敵の予感しかしない。……という私の勘は正しかったらしく。
「ダイコンよ君も聞いた事はあるだろう。その枠で戦っているのが、かの有名な
「か、果麺ライダーに戦隊ヒーローだとっ!?」
ヒーロー超大国の日本でもトップクラスのヒーローではないか、これは我々の地球征服の最大の障壁になるのは間違いない……として。
「果麵ライダーに戦隊ヒーロー……となるとあと1組はどんなヒーローなのだ?」
私が当然の疑問を口にすると。
「ああ、あと1組はプリティーで
「プリティーでキュア……つまりそのパンストセイントはプリ、キュアという事だな?」
私の言葉に都は一つ頷き。
「ああ、そう言う事だ。ただし5人の内2人はおっさんだがな」
さすがはヒーロー超大国の日本……まさか5人組の魔法少女の中におっさんを2人もナチュラルに混ぜてくるとは油断ならん。それだけ日朝は要注意という事か。
というところで再び私から口を開く。
「それで他には? まだ要注意すべきヒーローはいるのか?」
私の質問に都はゆっくりと首を縦に振り。
「いる。これも聞いた事はあるだろう……ウルトラマンだ」
ああ、すっかり忘れていたが当然の存在だな。
「因みに今地球にいるウルトラマンの名は『ウルトラの他人』という」
ウルトラの父やウルトラの母はともかく、ウルトラの他人は最早遠い血縁関係者どころかウルトラマンかどうかさえ怪しいぞ?
「一応付け加えるとウルトラの他人はウルトラ市役所に勤めているウルトラ公務員だ」
一言言っておこう。ウルトラマンだからといってなんでもウルトラを付ければ許されると思ったら大きな間違いだ。
……と言わなかった私の心情は無視されて都は続ける。
「あとはそうだな……スーパーロボットも中々に厄介だろうな?」
「スーパーロボット?」
「ああそうだ。マジンガ一乙やゲッタ一口ボなどがスーパーロボットの代表格だ」
「マ、マジンガ
と私は頬に汗を垂らすも都はどこ吹く風で。
「そうか? ウルトラマンやスーパーロボットのような巨大ヒーローは、その巨体を活かしたフィジカルだけでも我々には脅威ではないか?」
という都の台詞に私は両の瞳を閉じると静かに首を左右に振る。
「まるでわかっていないな……」
「……?」
「良いか都。わかり易くウルトラマンで説明するが、ウルトラマンは敵の怪獣がデカイから仕方なく自身も巨大化して戦っているだけで、敵が人間大ならば巨大化はしない。何故なら自分だけが巨大化してフィジカルで押し切ろうとすれば、その巨体故に町を破壊してしまう……敵が巨大化して町を破壊しないのに、ヒーローだけがそんな事をする訳なかろう?」
私の説明に都は満足そうにアゴを撫で。
「なるほど。言われてみればその通りだな? そして私としても無闇に町や自然を破壊したくはない。となれば人間大同士での戦いなら町は安全だし、リキのバフがある我々の方が寧ろフィジカルで圧倒出来る――あのウルトラマンをフィジカルで倒せるという訳か! うむ、やはり君を右腕にしておいて正解だったな。まさかもう巨大ヒーローの攻略が済んでしまうとは思わなかったぞ」
と、都は喜んでいたが――
――巨大ヒーローだけをとってもこんなのは氷山の一角だ。やはりヒーロー超大国の日本は難敵。特に日朝組は我々にとって最大のライバル……場合によってはラスボスとなるだろう。
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