第90話  レッドとブルー ファイナルラストEnd

 これがいつの話だったかは良く覚えていない。けどまあ少なからず忍転道との最終決戦よりかは前だったのは確か……。

 んでなんの話かって言えば――私がいつものファミレスにランチをしにいったら、やっぱりいつも通りレッドとブルーが居た時の話である。


 で、まずはレッド。

「ブルーよ。『貞子VS伽椰子』という映画は知っているか?」

「無論、存じ上げています。リングと呪怨という和製ホラーの2大巨頭が直接対決するという――化け物に化け物をぶつける映画ですな?」

「そう。その映画だ。だが俺は個人的にその『化け物に化け物をぶつける』ならば『貞子VSゴジラ』が見たいのだがブルーはどう思う?」

「ほぅ……それは非常に興味深いですな?」

 確かにね。映画として成立するのか非常に興味深い。


 しかしブルーの興味はそこではなかったらしく。

「貞子VSゴジラ。化け物同士の日米頂上決戦……非常に興味深いですな?」

 うん。それさぁ……どっちが日でどっちが米なの? てゆーかどっちも日本発でどっちもハリウッド版ありますけども?

 という私の疑問は些細な問題らしく、レッドはもっと大きな問題を勝手に懸念していた。

「だがこの映画――仮にハリウッドで製作した場合。確実に貞子の名前がシンディとかに変更されると思わないか?」


 シンディVSゴジラ。誰が見るのよ……


 としているとブルー。

「う〜む。『貞子』の名で慣れている我々からすれば主役である貞子殿が『山村シンディ』に変わるのは違和感しかないですな?」

 山村は残すのっ!? だったら貞子の方を残した方が良くないっ? サダコ・スミスとかでいいじゃん!

 とか私は考えているけどレッドは続ける。

「実際その程度で済めばまだいい。だが恐らくだが主役である貞子シンディはスクールカースト上位のアメフト部の花形チアガールとかに改変され、週末にはアメフト部のエースや仲間とホームパーティーをしているような1軍女子になってしまう事もなくはない」

 いや、ないわ。……って言いたいところだけどハリウッドだとちょっとありえそうだからそっちの意味で恐怖ホラーだわ。

 としているとブルー。

「なるほど。そしてそのアメフト部のエースがゴジラ殿なのですな?」

「そうだ」

 そこゴジラなのっ!? じゃあ日米頂上決戦じゃなくてアメフト部頂上決戦じゃん!! ってかチアに貞子が居てエースがゴジラってそのアメフト部負ける要素なくない?


 でも実際にはその貞子とゴジラが直接対決するからアメフトは関係ないとして――。今度はブルーが続ける。

「うむ。しかしだからといってハリウッドではなく、日本で制作した場合はまずゴジラ殿が美少女化されるでしょうな?」

 やっぱそうなの?

「そして名前もゴジラからキャサリンとかに変わるのでしょうな……」


 じゃあ『シンディVSキャサリン』? ……ってなんの映画よっ!


 あ、でもそれ言ったら『貞子VS伽椰子』もタイトルだけなら同じか…………えっ? じゃあもしかして『貞子VS伽椰子』ってホラー映画じゃなかったらアメフト部の内輪揉め映画だったとか?

「いや、それは違うな……」

 レッドだった。

「それは違うなブルー。日本だったらゴジラはそのままで貞子の方をデカくするはずだ」

 そうきたか……。

「あ~なるほど。確かにゴジラ殿と同じ大きさのテレビを用意すれば、そこに映し出された貞子殿は必然的に大きくなり、そしてそのまま這いずり出てくれば貞子殿もゴジラ殿と同じ大きさになると!」

 そうきたか!

 ってゆーかそれだと貞子は呪いとかで戦うんじゃなくてゴジラに肉弾戦を挑むって事?

「そうだな。もしくは貞子、伽椰子、シンディ、キャサリン、俊雄の5人がそれぞれマシンに乗り。1体の巨大ロボットに合体してゴジラと戦うというパターンだろうな?」

 なんでその5人っ! てかいつの間にか俊雄君が加わってるし、貞子とシンディは同一人物だしキャサリンはゴジラじゃなかったのっ?

「つまり『ゴジラVSメカゴジラ』という事ですな?」

 そうなんのっ!?

「もしくは『ゴジラVSメガブリーフ』ですな」

 いやブリーフ要素俊雄君しかないじゃん! なんでここにきて一気に俊雄君が主役に躍り出るのっ!?


「ところで話は変わるが最近の物価上昇に伴う実質値上げをどう思うブルー?」

 急に話変わり過ぎじゃないっ? 脈絡なさ過ぎて脈拍なくなりそうなんですけど……俊雄君の。

 しかし既にないであろう俊雄君の脈拍の話は当然シカトされてブルー。

「実質値上げというと――あのドリンクやお菓子等の、値段はそのままで内容量を少々減らすという手法の事ですな?」

「ああ、その実質値上げだ。だが、俺が思うにそこは素直に普通の値上げで良いと思わないか? 例えばの話――値段はそのままで映画のラスト10分という内容量を減らすのは詐欺に近いと思うのだが?」

 思うというか、違法かどうかは置いといてたぶんそれ詐欺よ。ってゆーかそこに着地したかった話題転換なのね。

 で、ブルー。

「う~む確かに映画でラスト10分がないとなると、はっきり申しまして殆どの映画がオチがわからない事になるでしょうな? つまり貞子VSゴジラもまさかの10分映画なので冒頭からストーリーが一切わからずそのままエンディングですな?」


 や る 意 味 あ る の か そ の 映 画 ! !


 ホントに詐欺じゃん!!

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