囁き・42
花火大会が軒並み開催の危機ですって?
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資材高騰や花火職人不足に、会場の警備員不足など……最近では雷雨による影響で、直前に中止の判断を迫られた花火大会もあったようね。
私は特に興味はなかったのだけれど、薬屋さんが毒の花を観たい……なんて訳のわからない事を言ってちょっと精神崩壊気味だったから、みんなを
どうやら薬屋さんは、毒見役の闇バイトで、相当なヤバい毒をくらったみたいね。その後遺症で少し心が病んでしまったみたいだわ。
花火を観て、治るのかしら……?
今回はフルメンバーよ……炎天下での朝早くからの自由席確保や、有料席を買うなんて事は、しなかったわ。
ここはエカテリアーナさんのエゲつない特権にあやかって、プレミアム・スィート・有料席を全員分、確保してもらったのよ。
凄い席ね……シャンパンにソフトドリンクに、フルコースの料理も堪能できて、スィーツ食べ放題だなんて、さすがはエカテリアーナさんの財力ね。
もっともこの席……私達の為に特別に設置された席だって、さっき聞いたわ。
「数億円の余興ですわ……」
なんて私に笑いながら言っていたわね。改めて彼女はこの世界では凄い人なのね。
しかも今日は酷暑で、観客のみなさんは、うちわやポータブル扇風機で暑さをしのいでいるけれど、私達のブースは、エアコンの涼しい風がなびいて、快適よ。
まぁ、こんな事は普通、ありえないのでしょうね。
フルコースの料理も美味しかったわ……もうすぐ始まるみたいね……アリスはどこに行ったのかしら? 料理を食べてから、どこかに行ったきり、戻ってこないわね。
「超暑い! 超疲れた!」
「ここは超涼しい!」
どこへ行っていたのかしら……? 屋台にエルフさんとお弟子さんと、買い出しに行っていた?
アリスは大丈夫だったの? あなた、この国では有名なアイドルなのでしょう……心配ご無用? エルフさんのお面で超変装してたから大丈夫♡
それはそれで、微妙な……で、なにを買ってきたのかしら……?
大量の焼きそばに……
大量のフランクフルトに……
大量のりんご飴に……
大量のわたあめに……
薬屋さん、大丈夫? 花火大会が始まったわよ……。
なかなかに綺麗で、迫力があるわね。事前に動画で観たのだけれど、その時はたいした事はないな……と、思っていたのよね。
私達の世界には、もちろん花火大会なんて行事と趣向はないわ。
夏の風物詩……なんて言うみたいね。
まぁ、この世界のこの国の、情緒は認めてもいいかしら。
そろそろクライマックスね……。
もの凄い連打ね。
「あれくらい、魔法でどうにでもなるんだけどね……」
エルフさん、お弟子さんと魔法を使うのはやめてね。その杖はしまってね。
私のエッセイ、打ち上げ花火で終わりたくないのよ……読んでいただいている常連さんもいらっしゃるのよ……何度も言っているけど、各方面がピリつくから、黙って花火を観ましょうね。
「火薬をつめた玉を着火させて、上空で爆発させる催しですね……」
薬屋さん……
アリスは、超食べて飲んでばかりいないで、花火を観てね……焼きそばは、
「わたくし……終局の花火もご用意できますのよ……」
エカテリアーナさん……それって、この世界が終わる兵器的なものではないかしら? まだこのエッセイ続けたいから、最終決断はしないでね。
というか、そんな事まで行使できるなんて、凄い地位の人なのね。
また、みんなの世話役になってしまったわ。
夏の風物詩も、終わってみると少し切ない気持ちになるわね。帰りの渋滞が始まったわ……みんな凄まじい人混みの中、電車で帰るのよね?
私達はエカテリアーナさんの送迎で、人混みと暑さとは皆無よ。
夏の空に咲く一瞬の希望……ひととき、すべてを忘れ、見上げる空の花と、響く音に、この世界、この国の人達は、なにを願い、なにを重ねるのかしら……。
無意識に、繋がりを求め合っているのかもしれないわね。
個として独立するには、この世界の人間達は脆弱だから……
一種の精神的共有を体感する行事なのかしらね。
花火大会も、私達のパーソナライザー・イメージリング・アクティビジョナライズ・アステルで、どうにでもなるのだけれど……みんなには黙っておくわ。
それにしても、この浴衣という衣装は、なかなか素敵ね。気に入ったわ。これを着て髪を
さぁこの次も、この世界のダメなところ
あなたのそばで……
囁いて……ア・ゲ・ル♡
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「一般席は、戦場ね……いろんな意味で。さぁ、電車で帰るわよ、リリア……」
「花火? そこそこ楽しかったかな? それで、ずっと気になってたんだけど、あの凄く遠くに見えるあきらかに一般席でも、有料席でもない、エゲつないブースには、誰がいるんだろう、イリア?」
「あのブースは、この世界の一般人とはかけ離れた層の人達がいるところよ……この世界の一般人とは住む世界が違うのでしょう」
「ちゃっかりエリムが、そんな人間達とお友達になってたりして……?」
「リリア……妄想がすぎるわよ」
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