第8話 異世界の洗礼
「いよいよ異世界っぽくなってきたな」
俺はゴブリンの死体を見ながら笑う。
特殊メイクや着ぐるみではない。
紛れもなく本物であった。
異世界に転移したこのアパートは、現地生物であるゴブリンの襲撃を受けたのだ。
ギャングどもはこいつらに慌てて銃を乱射したのだろう。
そうして互いに死傷者が出たというわけだ。
「最高の洗礼だな、クソッタレ」
俺はゴブリンの死体を踏み付けながら悪態を洩らす。
異世界の生物とは初めて会うが、鉛玉で死ぬと分かっていれば別に怖くない。
いつもの仕事と同じことだ。
相手が死ぬまで引き金を引き続ければいい。
「お前ら、ゴブリンは気にすんな。知能レベルはギャングと同じだからな。つまりゴブリンはギャングだ」
不安そうな隊員を叱咤しつつ、俺はガスマスクを外して煙草を吸う。
戦いが続くと一服する暇さえなくなる。
今のうちに楽しんでおかなくてはならない。
隊員達は前後に分かれて廊下の先を警戒し始めた。
銃を向けながら陣形を維持する。
俺はハンドサインで待機するように伝えると、その場で耳を澄ませた。
(他のフロアはどうなっている?)
上階は騒然としているが、銃声は聞こえない。
もう戦闘は終わったのだろう。
つまりゴブリン達を全滅させたのだ。
まあ、別に不思議なことはない。
銃火器があれば殺せるモンスターである。
ド派手にぶっ放して蜂の巣にしてやったのだろう。
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