ラゴ・エスト ー天空の娼婦-

さいとう みさき

第一話:娼館


 ここは地球と月の間にある宇宙ステーション、通称「エデン」と呼ばれる場所。


 西暦2523年、人類は宇宙へとその活動範囲を広げ、各惑星から資源調達をおこなっていた。

 ここ「エデン」はそんな資源を運び込み、精製する場所。

 そしてその貴重な資源は各コロニーや地球へと送られていた。




「何だい、これっぽっちかい!? まったく、これだから下級労働者はダメなんだよ。こんなんじゃセクサロイド人工娼婦は回せないよ!!」



 人類は天翔あまかける力を手に入れても、結局は労働力として使われていた。

 富と権力はわずかな者が握り、国益も何も全ては彼らの為に。

 鼠のように増える人間たちは、高価な部品を使うアンドロイド以下として使いつぶされていた。



「うるせいな! この娼館にあるセクサロイドなんか三世代も前のじゃねーか! そんなもんより人間でいい。若い子はいるか?」


「ふん、人間なんざ山といるよ。若いのって言やぁ、このはどうだい?」



 目の前の空間に映し出されるディスプレイの女性の写真を見て男はにやけた。



「ほう、なかなかじゃねーか? ま、今晩はこいつで我慢するか」


「あいよ、エスト! お客だよ!!」



 この時代になっても、こんな場所でも男たちの欲望はれる事無かった。

 そして、少女たちもその身を売って生計を立てなければ酸素さえ売ってもらえない。




 所詮人類は天翔あまかける力を手に入れても進化する事無いケダモノのままだったのだ…… 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る