ちっち と もっぴ

来ノ宮 志貴

 ちっちともっぴ いいとこさがし




「カフェ ひなたぼっこ」は

ねこさん一家いっかが いとなむ 喫茶店きっさてんです。


あたたかな ひるさがり。

ひき子猫こねこ

お店のイスで、まぁるくなっています。

ふたごの 兄妹きょうだい

しろねこの ちっち と 

みけねこの もっぴです。


ひきはそろって、大きなあくび。

きのうの よるは、

ねむれませんでした。

毛布もうふにくるまっても、かたじても、

まったくねむくならなかったのです。


そうしたら、

今頃いまごろになって、ねむいねむい。


「このイス かたいなぁ」

「もっと いいとこ、さがしにいこうよ」


ちっちともっぴは、

昼寝ひるねするのに もっと場所ばしょ

さがしに 行くことにしました。




お店の キッチンに ました。


お父さんが

背中せなかまるめて

コーヒーを いれています。

ちっちともっぴは おとうさんの背中せなか

ぴょん ぴょんと とびのりました。


うん、なかなか いいかんじ。

ここで お昼寝ひるね しようかな。


でも、

「おじゃまですよ」

ちっちともっぴは 

とうさんにつままれて、

ぽい ぽい、と

おろされてしまいました。


ざーんねん。


でも、ちょっとって。

かあさんが

オーブンで アップルパイを いています。

おおきなポケットのついた エプロンをつけて。


ちっちともっぴは

お母さんの おおきなポケットに

ひょい ひょいと もぐりこみました。


うん、すっぽり いいかんじ。

ここで お昼寝ひるね しようかな。


でも、

「おじゃまですよ」

ちっちともっぴは 

かあさんに つままれて

ぽい ぽい、と

されてしまいました。


ざーんねん。




テラスに でました。


お客さんが いました。

ヤマアラシのおばあさんです。

ぽかぽかと 気持きもちのいテーブル席で、

紅茶こうちゃとクッキーをおともに、ものをしています。


ちっちともっぴは、

ヤマアラシのおばあさんの ひざに

ぴょん ぴょんと とびのりました。


「あら、いらっしゃい」


ヤマアラシのおばあさんは にこにこ。  


うん、おひさま ぽかぽか。

おひざは やわやわ。

とっても いいかんじ。

ここで お昼寝ひるね しようかな。


でも、ヤマアラシのおばあさんが 

ものするの動きににわせて、

毛糸けいとが くいくい くいくい、と

ちっちともっぴのヒゲを くすぐります。

これでは、

くすぐったくて ねむれません。


ちっちともっぴは

しぶしぶ ヤマアラシのおばあさんのひざから おりました。


「おばあちゃん、またね」

「はいはい、またね」


ざーんねん。




にわに きました。


ここにも、お客さんが いました。

クマのおじいさんです。

やさしいかぜがふく こかげのテーブルには、

空っぽになった コーヒーカップがおかれ、

その横の ハンモックで、

クマのおじいさんが

ねむっています。


ちっちともっぴは

クマのおじいさんの おなかに

ぴょん ぴょんと とびのりました。

クマのおじいさんは すやすや。


うん、かぜは そよそよ。

おなかは もこもこ。

とっても いい気持きもち。

ここで お昼寝ひるね しようかな。


ちっちともっぴは まぁるくなって、

クマのおじいさんと いっしょに 

ねむりました。


しばらくして、


「おやおや?」


クマのおじいさんが 目を覚ましました。

それでも、

ちっちともっぴは ぐっすり。

クマのおじいさんに つまみ あげられても、

やっぱり ぐーっすり。

ハンモックにかされても、ちっとも きません。


クマのおじいさんが かえりました。

ヤマアラシのおばあさんも かえりました。

あたらしいおきゃくさんがきて、

コーヒーと サンドイッチをべて かえりました。

また あたらしいおきゃくさんがきて、

自家製じかせいジンジャエールと

アップルパイをべて かえりました。

きゃくさんは 次々つぎつぎやってきて、

とうさんと おかあさんは おおいそがし。


けれども、

ちっちともっぴは ゆめのなか。



やがて、西にしそら

ゆうやけに まるころ

ちっちともっぴは、

ようやく をさましました。

いっぱい ねむって、

とっても スッキリ。


でも、


「どうしましょ」

「また夜、眠れなくなっちゃう」


そんな ちっちともっぴを

一番星いちばんぼしが わらいました。


 


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