タカオタカオの奇行 / なばば☆ 様

 作品名:タカオタカオの奇行

 作者名:なばば☆

 URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330657915871111

 ジャンル:ミステリー

 コメント記入年月日:2023年11月11日


 以下、コメント全文。


 初めまして。

 この度は『熟読&批評します』企画にご参加いただき、ありがとうございました。

 主催者の島流しにされた男爵イモです。作品の方を拝読致しました。


 まずは本作の評価できる点を述べていこうと思いますが、その前に確認と批評の方向性について軽く触れておきます。最初に確認になりますが、本作はまだ連載中ないしは休止中という認識でよろしいでしょうか。連載状況は完結済みとありますが、最終話の段階で物語はまとまっていなかったので。次に批評の方向性。こちらは作品タグに公募名が記されていたので、「公募を想定して作品を書かれた」という認識の下で批評を展開させていただきます。


 それでは早速、本作の評価できる点をまとめていきます。

 やはり作品に込められた熱量には、目を瞠るものがありました。一つのモノを作り上げようとする気概、それを長編小説として形にするための努力。そうしたものが、作中の文章の節々から感じ取ることができました。アイドルと賞金稼ぎの組み合わせや、群像劇の手法を活用した話運び、時事ネタを盛り込んだ登場人物など。実態は伴っていなくとも、そうした気持ちは正確に伝わりました。継続というのは簡単なことのように思えますが、誰でもできることではありません。その過程で挫けることもあるでしょうし、興味すら湧かなくなってしまうこともあるでしょう。長編小説ならば猶の事です。にもかかわらず、ここまでの文字数で物語を展開されたということに敬意を表します。並々ならぬ努力の賜物です。


 熱量は十分。なので、次はそれを「しっかりとした形にする」ことが大事になってきます。文章や物語の構成のレベルから察するに、作者様はまだ小説を書き慣れておられないように見受けられました。Web小説の世界で通じるのかはさておき、公募や一般的な読者を相手取るには現状では力不足です。詳しくは後述しますが、今の作品の状態ではどの公募に出しても九割がた通りません。だからこそ、さらなる研鑽が求められます。以下に気になった部分、改善すべき部分を目次形式で提示します。それに沿って、それぞれ述べていきます。


 ➀基本的な小説のルール

 ➁文章力

 ➂物語の構成


 では、➀から。

 小説というものには、書くうえでの細かなルールがあります。これはWeb小説においては順守する必要はありませんが、破って得をするようなこともありません。公募においては、小説の基本ルールが守られていない時点で「内容以前の問題」として弾かれてしまいます。これでは作品づくりにかけた時間も労力も、すべて水泡に帰すことに。初心者のうちは基本を覚えるためにも、守った方が賢明といえます。作中で守られていなかったルールは、以下に箇条書きにしました。


 ・一文を終える際には、必ず句点(。)を入れる。

 ・文中に半角一マス空けを入れない。

 ・句点(。)を挟まずに、一文を途中で切らない。

 ・改行後の段落はじめは一字下げる。

 ・余韻や含みの表現は中黒(・・・)ではなく、三点リーダー(…)を偶数個で使う。

 ・「」内末尾を除き、感嘆符(!)や疑問符(?)のあとは全角で一マス空ける。


 これらのほとんどは説明を掘り下げる余地はない一方、文中の半角一マス空けには引っ掛かりを覚えました。もしかすると作者様は、ワープロで書いたものをカクヨムにコピペされているのでしょうか。ふと、それによる文字列のズレかとも思いまして。まあ、理由はなんであれ、現状の書き方にメリットはありません。修正された方がよろしいかと思います。


 それに伴い、文章を句点以外のタイミングで頻繁に切っていることも違和感につながりました。おそらく、スマホからの読者への配慮でしょう。コメント返信にも、同様のクセが見られたので。しかし、この書き方はあまりオススメできません。なぜなら文章をぶつ切りにすることは、一連の流れを阻害することにつながるからです。現状の文章の書き方は普段、読書をあまりしない人にとってはありがたいものでしょうが、一般的な読者にとっては違和感でしかありません。読書に慣れ親しんでいる人ほど「基本」にこだわる傾向にあるので、第一印象で稚拙だと思われないために、リスクの元は潰しておくのが無難だといえます。


 続いては➁、文章力について。

 適当に誤魔化す方が失礼だと思うので正直に述べますが、文章力は低いです。意味を伝えるという最低限のことは達成されている反面、作文のように無味乾燥な文章になっています。体言止めの多用やオノマトペに依存した描写など。ラノベには純文学のような文章表現や感性はさほど求められませんが、彩りがあるに越したことはありません。建物や自然の様子がわかる情景描写をはじめ、「その人物を応援したい」と読者に思わせるような人物の掘り下げ、比喩表現や精緻な心理描写など。すべての技法を使わずとも、その作家の得意とするものが生かされれば、それだけで作品は個性的なものになります。是非とも、ご自身の強みとなるものを探していただければと思います。あとはご自身の好みの作品や、プロの作品を読み込むことも効果的です。文章力は一朝一夕には向上しないので、積み重ねが大切になります。他人の書いた文章を読むうえでの発見。「この言い回し、好きだな」や「こんな風に表現できるのか」という小さな発見を蓄え、自分の言葉として昇華されても良いでしょう。


 そして➂、本作の最大の弱点です。

 これに関しては支離滅裂なものになっています。冒頭でアイドルやピアノ、毒親の話が展開されたかと思えば、急に脈絡もなく賞金稼ぎや風刺とも取れる時事ネタが挟まれ、ついには大勢の登場人物を巻き込んだ戦闘に発展。おまけにそれらに関する詳しい説明がないため、読者は完全に蚊帳の外です。相容れない要素を複雑に混ぜ込んだ結果、作者にしか理解できない不思議な世界が出来上がってしまったという印象です。


 このことについて、まず作者様に認識してもらいたいことは、「世界観は細かく説明する」ということです。この前提がなければ、どんなに設定や情報を仄めかされても、「そもそも、どうしてこんな状況になっているのだろう」という疑問が読者には付き纏います。それは悪い意味での疑問であり、先の物語への興味を引くようなものではありません。全容を教えられないままに、込み入った話をされているようなものです。このことを解決するために、国連ハンターとUNReのことは掘り下げるべきです。運営理念は大まかには説明されているので、あとはターゲットや勢力のことですね。なぜ、作中での人物たちはターゲットにされたのか。両勢力の真意はなにかなど。それらを「嫌われ者」という抽象的な説明ではなく、尤もらしい理由を加えて伝えることがポイントです。風刺が目的であっても、安直な考えで物語を作るようなことをしてはいけません。


 それに関連して、主人公の設定も違和感がありました。通読して感じたのは「アイドル設定は必要なのか」ということです。明らかに賞金稼ぎと噛み合っておらず、裏稼業については失踪した父を探す手がかりになることも文中では読み取れません。設定や物語が次々と足されていくあまり、根本のテーマが消えてしまっています。いっそのこと、ただの賞金稼ぎにした方が整合性はあります。毒親に搾取されながらも、失踪した父を探す。そんな中で、主人公は父が過去に賞金首になっていたことを知る。伝手を使い、真相に迫っていく主人公。やがて、消えた父と自分の本当の関係が明らかになる。といった風に。即興なので粗いですが、こういった王道路線の物語でも悪くないのではと思います。確実にいえるのは、現状の物語の構成は破綻していることです。まだ個人の趣味の範囲であり、他人に読ませるための配慮に欠けています。


 最後に、気づいた範囲で誤植の報告を。詳しくは羅列していますが、話(名詞)と話し(動詞)の混同が目立ちました。


 第1話:話しを、しようと呼び止める→話

 第11話:ああ つのる話しも あるだろ→積もる話

 第12話:話しの、つじつまが合わない。→話

 第16話:ずっと話つづけて 仲良くなった。→ずっと話しつづけて

 第17話:言葉を、額面通り捕らえず→額面通りに捉えず

 第18話:オレが 聞いた話しによれば→話

 第21話:タケジュンと つき合ってるって 話しの→話

    :朱礼門で、記念撮影をして→守礼門

 第23話:朱礼門で、待機していた 凡城が→守礼門

 第28話:オレたちは 金杯の テロドスを狩に来ただけだ→狩りに

 第30話:あたしは ちょっと 込み入った話しが→話

 第32話:話しだったけどぉ→話

 第38話:こっちの話しだから→話

 第42話:話しを、振ってみる。→話

  :社長にも 会って話し しとく??→話

 第44話:あないして 欲しいのよ→あんない

 第48話:なぜか、おかしな話しを はじめる→話

 第50話:話しをしている。→話

 第51話:やはり、話しが すれ違っている。→話

    :話しが かみ合わないんだな→話

 第52話:てか 普通に 話しを持って行ったら→話

 第53話:一瞬、分け前の話しかと思ったが→話

 第54話:だいたいの話しは→話

 第55話:メフーストと、電話で話しをしている。→話

    :さっきの話しの続きだけど→話

 第56話:ちょっと、話しを聞くと言って→話

    :詳しい話しは 署で→話

    :わたくしが聞いた話しと→話

 第59話:突っ込んだ話しをする かななん→話

 第63話:CIAの者に、向きなおし 話しをする。→話

 第67話:これと言って、そういう話しも→話

 第68話:合いたいです→会いたい


 批評に関しては、これで以上になります。

 少々厳しい内容になりましたが、あくまでも「現状では」という話です。課題点が改善されたり、鍛錬を積まれて文章力がレベルアップしたりすれば、作品への印象はまた違ったものになることと思います。なにも作者様の心を折ろうと思って、批評しているわけではありません。ですので、批評内容は前向きに捉えていただければ幸いです。もしも批評に関してご不明な点や不備があれば、私の近況ノート『11/3開催 自主企画専用ページ』にて対応致します。ご要望に応じて批評内容の解説も致しますので、気軽にご活用ください。少しでも作者様の創作活動のお役に立てたのなら、それ以上に嬉しいことはありません。

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