夜宵~トマトと卵のラーメン~ / ゆげ 様
作品名:夜宵~トマトと卵のラーメン~
作者名:ゆげ
URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330662283997497
ジャンル:現代ドラマ
コメント記入年月日:2023年10月25日
以下、コメント全文。
初めまして。
この度は『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画にご参加いただき、ありがとうございました。主催者の島流しにされた男爵イモです。
作品の方は一通り拝読致しました。
大まかな物語の流れが、堅実に組み立てられていた短編だという風に見受けられます。弟の苦悩や、真人間にみえる兄の葛藤など。それらが西紅柿雞蛋麵を通して混ざり合い、結果として互いにある種の救いを得られたのは、綺麗な話の締め方だったと思いました。叙述トリックも見事でした。弟の苦悩が前編の終盤で明かされたあとは、思わず頭から読み返しました。すっかり一人称に騙されていたので、違和感の答え合わせに得心しました。およそ一万字の内容に対して、様々な趣向が凝らされた意欲作だったように思います。
その一方で、惜しさを感じたのも事実です。
本作を一言で表すのなら、「すべての要素がつながっているようで、その縫い目は少し粗い作品」というのが正直なところです。作者様と私の間にある解釈の違いから生じるものと思われますが、ひとまず惜しいと感じた点を二つ挙げさせていただきます。
一つは、兄が「孝志」と口にする場面。ここの台詞で弟の苦悩が明らかになる一方、深読みせずに解釈すると「兄は、部屋を掃除してもらったことを申し訳なく思っている」という風に読み取ることもできます。これでは台詞が十分に機能しない可能性があります。弟の苦悩を明らかにするのなら、掃除の礼と返事を交わしたあと、兄が無意識に弟の本名を口にして、弟が傷付くという流れにした方が良いのではと考えました。
もう一つは、西紅柿雞蛋麵の存在について。作中では、幼い頃に兄に深夜ラーメンを作ってもらっていたから、そのお返しと激励を兼ねて弟が西紅柿雞蛋麵を作るという内容が展開されます。ですが個人的には、西紅柿雞蛋麵そのもので兄弟を表しても面白いのではと思いました。主な材料となる卵が兄、トマトが弟という風に。作中での設定を一旦無視して述べると「兄は深夜ラーメンに、特別に弟のぶんにだけ溶き卵を入れていた」→卵は兄。「それを覚えていた弟は、西紅柿雞蛋麵でその想い出をなぞる」→トマトは弟。これら二つの素材が合わさった料理、西紅柿雞蛋麵。これを兄弟で味わうことによって、二人の絆を暗喩する。という内容です。これぐらいの作り込みがあれば、読み込み要素として作品がさらに映えるのではないかと思いました。とはいえ、これはあくまで個人の好みでのアレンジなので、話半分に流してもらって構いません。そういう書き方もあるのか、という程度に受け取っていただければ幸いです。
最後に、気づいた範囲で誤字の報告を。
西紅柿雞蛋麵より:父は容赦なく私に手を挙げた。→暴力の場合は「上げた」
:兄は薬を煽るとベッドへ向かった。→呷る
深夜放毒より:お湯が湧いているのを確かめたら準備は完了。→沸いている
以上になります。
作者様の創作活動の一助となれば幸いです。
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