現代ファンタジー

青の境界 ~世界に六名しか存在しない特級異能者の一人、実力を隠し暗躍する~ / 蒼アオイ 様

 作品名:青の境界 ~世界に六名しか存在しない特級異能者の一人、実力を隠し暗躍する~

 作者名:蒼アオイ

 URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330658080910785

 ジャンル:現代ファンタジー

 コメント記入年月日:2023年10月4日


 以下、コメント全文。


 初めまして。

 この度は『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画にご参加いただき、ありがとうございました。主催者の島流しにされた男爵イモです。


 キリのいいところまで拝読したうえでの批評になります。

 本作は、異能力バトルとミステリーを掛け合わせた作品という風に見受けられました。本編を読むにあたり、作者様のプロフィールも拝見致しました。青がお好きということで。そうした嗜好は作品の色彩描写にも反映されていたように思います。特に序盤の青と赤を対比にした戦闘は、頭の中で鮮やかなワンシーンが浮かびました。文体も比較的安定しており、細部にまで盛り込まれた伏線がどう回収されていくのか期待が膨らみました。この手の作品を好む人なら、ほとんどが高い評価をする内容に仕上がっていたのではないでしょうか。


 一方で気になった点としては二つほど。

 一つは設定過多について。注釈にあった理系的なバトル説明はまだ目を瞑れましたが、その他の部分が引っ掛かりました。やはり、開示される情報や設定が多すぎます。少したとえが悪いですが「その人はパーカーを着ていた」という文があったとします。これをわざわざ、「パーカーのブランドは○○で、素材は△△を使って、生産している工場は××に展開しており~」と補足する作家はいないじゃないですか。本作はこれに近いことをしています。仮に作者としては全部必要不可欠な設定の開示であっても、読者からすれば冗漫で必要性を疑う説明が続く印象です。設定は厳選して、そのうえでわかりやすく開示することを推奨します。足し算ばかりでは、設定の後出しや嵩増しと判断されかねません。


 二つ目は心理描写について。これは読者に想像させる暇を与えず、断定しているように読み取れました。「誰がなにをどう感じているか」ということが、事細かに論述されているのが原因かと思います。これも理系の気質が表れている部分かもしれません。小説には、情景や感情を想像させるという側面があります。「○○はこう考えた」だけでなく「○○は頬を赤らめ、手持ち無沙汰に髪先を指で丸めた」や「○○の心境に応えるかのように、一陣の風が通り過ぎて行った」などの外面や情景を用いた心理描写も小説の醍醐味です。論文のように理路整然と述べることも一つの技法ですが、そればかりでは機械的な文章になります。ですので、表現のレパートリーを増やしていくことを意識していただければと思います。


 とはいえ、すでに40万字もある大長編ということで、加筆修正していくのは骨が折れるでしょう。作品に手を加えるかは作者様の判断に委ねます。次回作を作るときの参考にしていただいても構いません。


 最後に目についた範囲で誤字脱字報告を。

 第1話より:「呪詛という能力でモザイクがかかており、」→かか「っ」て

 第2話より:「それでも相手はすぐに体制を整え反撃してくる。」→「体勢」

      :「武器を床に下して、」→下「ろ」して

 第3話より:「この辺のホテルで止まる予定だったので、」→「泊まる」

 第7話より:「持ってくれるのを忘れました。」→「れ」は不要。

      :「単純な字面じづらですよねー」→ルビの編集ミス。

 第8話より:「オレは当たりを見渡しながらKに確認する。」→「辺り」


 以上になります。

 作者様の創作活動の一助となれば幸いです。

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