Arco iris~この世界から魔法たちが消えるまでの物語~ / Lemon 様

 作品名:Arco iris~この世界から魔法たちが消えるまでの物語~

 作者名:Lemon

 URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330649284214297

 ジャンル:異世界ファンタジー

 コメント記入年月日:2023年10月4日、10月8日


 以下、コメント全文。


 初めまして。

 この度は『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画にご参加いただき、ありがとうございました。主催者の島流しにされた男爵イモです。


 一万字ほど拝読致しました。

 七人もの人物を主役にした作品ということで、中々に類をみない試みだと思いました。そのうえで、それぞれの人物の無個性化を脱却しており、生き生きとした筆致で物語が書き進められていたように見受けられます。その熱量と努力には頭が下がるばかりです。物語としても独創性があり、とりわけ幕間のように語り手を登場させる構成は興味深かったです。作者様の気持ちのこもった意欲作だったように思います。


 反面、いくつか課題が残ることも確かです。大まかには二つ。

 一つは、一場面で登場する人物が多いことです。七人もの主役なので当然ともいえますが、人物たちの動きが渋滞を起こしていました。そのために序盤で、それぞれの人物の性格や人となりを把握することが儘なりません。なので、まずは先に語り手にこれから起こる出来事を説明させることが重要になるかと。どんな人物が、どんなことのために、なにをするのか。この三点を掻い摘んで、具体的に記してください。そうすれば序盤で読者が躓くということは減ると思います。


 もう一つは、話の進め方について。これは前の内容とも関連しますが、本作は全体的に作者主体で、読者を置いてけぼりにしている色が強いです。原因としては、作品への思い入れの違いが挙げられます。創作物全般にいえることですが、作品への愛着や熱量には、作り手と受け手の間で大きな隔たりがあります。受け手は作品への愛着はおろか、はじめは興味すらない場合も珍しくありません。そうした中で作り手が作品の魅力を次々と語ろうとも、受け手にはまったく響きません。むしろ逆効果です。では、どうすればいいのか。順序立てて、感情移入させることが大切です。「どんな人物がいて、どんな境遇で、なにを想いながら生きているのか」そうしたことを順に明かし、作品や登場人物に深みを演出します。


 そのうえで本作の序盤の話をもってきましょう。きっと見え方が変わるはずです。読者目線では「よくわからない人物たちが試験を受けている」から「それぞれが自分や身内、目指すもののために奮闘している」と。好きな場面を書くだけでなく、その動機や背景も書くことが大切です。一人で先頭を走らず、読者と二人三脚で進んでいくイメージの下、作品を書き進めていただければ幸いです。


 以上になります。

 創作活動のヒントにつながったのなら、なによりです。




 コメント失礼します。

『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画主催の島流しにされた男爵イモです。

 前回いただいたコメント返信への返信になります。


 それぞれの人物の過去に重きをおきたいとのことで、その点を念頭に置いた提案をさせていただきます。そうですね、過去への言及を避けるのならば、語り手の台詞は「匂わせ」や「概要説明」に留まらせることが無難かと思います。たとえばプロローグの「さぁ、どこから話そうか……」のあとに「そうだ。あれは彼らの人生を変える起点となる出来事だった。一言で言えば試験だが、そんな陳腐な言葉では表せないものだったよ」と添えてみるなど。


 このように後に起こり得る話への導入をして、次の話に移行。そうすれば読者は心の準備ができるので、場面転換で困惑することは少なくなるでしょう。人物たちの内面は追い追い明かすとして、まずは作中での時間や場面の流れを読者に伝えることが肝要です。その点を押さえれば最低限、読者が話の方向性を見失うことはなくなるので。そうした場面と場面の「つなぎ」を丁寧に作ることを心掛けてみてください。


 以上になります。

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