第86話「地下アイドル達の長!その名は虹覆戒晴」
想武島へ奇襲を仕掛けてきた自らを
隼人は自我を奪われ、聖愛は心を折られてしまい達樹達の抵抗虚しく地下アイドル達に連れ去られてしまう。
地下アイドル達と共に空間転移しか先に待ち受けていたのは想力と憎力を使いお台場を模造された擬似空間だった。
聖愛は魔虞無達と共に地下アイドル達を率いるボスの元へと向かう。
――――――――――
魔虞無達に連れられ聖愛達が向かっていたのは現実の世界で東京ビッグサイトに当たる場所。
外観に面影こそあれど大幅な改修がされており中身は似ても似つかない、広大な敷地面積を誇る要塞と化していた。
そんな東京ビッグサイトの深部。「玉座の間」にて地下アイドル達を束ねる長。黒髪の刺々しいヘアスタイルが特徴的な「
そんな戒晴の元に最初に帰還したのは重要物厳重保管室から「
「戻ったか、
「当たり前でしょ」
そう言って抱えていた重厚な保管庫を戒晴へ手渡す。
戒晴は予め割れていた解除コードを入力し更に身に宿す莫大な量の想力を認識させる事で保管庫の解除に成功し陽毬因子を宿した宿幻輪を早速指へと嵌める。
「!!っ」
身体中に陽毬の力が浸透していく。戒晴は陽毬の力の本質を理解し、自らの従来の力と陽毬の力が絡み合いみるみると適応されていく。その溢れ出てくる想力を全身で感じ取った雫奈はその圧巻の想力の前に身震いする。
「ふはははは!こいつはいい!よく馴染むぞ!!とめど無く力が溢れてきやがる!!」
凄まじい力を手にした事で興奮が止まない戒晴は適当に目についた部下の男に提案する。
「おいお前」
「?……なんですポン?」
「そこを動くな」
彼は関西を拠点として活動するメンズ地下アイドル「
「ぽ?」
ズゴオオォォォォォォ!!!
戒晴の掌から太陽が如き熱を帯びたエネルギー波がポンポコに向けて勢いよく放出される。そばに居た地下アイドル達も複数人巻き込まれ彼ら彼女らは一瞬にして消し炭になってしまった。
一瞬にして同胞が上司によって消し炭にされた光景に他の地下アイドル達は唖然とする。
「な、なんのつもりだボス!約束が違うぞ!あんたに着いていけば俺たちみたいな無名地下アイドルでも脚光を浴びる陽だまりに連れてってくれるって話だったはずだ!!」
「でけぇ声で喚くな」
「!?」
戒晴は想力を捻出、解放し自らの武器である二丁拳銃を手に取る。右手には入夏陽毬の力で形成された燦々と照らす太陽の如き塵炎の力を秘めた「ミュゼソティリア」、そして左手には戒晴が自身に宿す虹霓世界のアイドル因子「
「うっひゃ〜〜ド派手にやったなまた!こんなに殺しちまって大丈夫なのかぁ?」
戒晴の側近に当たる叛逆者達の上位権力者。「
「変えはいくらでもいる。計画に何の差し支えもねぇ。むしろ俺の力を身を持って味わえた事に感謝するべきだ」
「はっはっ!それもそうだな!」
豪快に笑い飛ばす晩璃。そこに丁度魔虞無達が帰還し扉を開けて事後報告の為入ってくる。
「ォェッ……
(あいつが地下アイドル達のボス……なんて馬鹿でかい想力だ……瞬きひとつするのにも躊躇しちまう……!)
聖愛は戒晴から放たれる圧の前に完全に萎縮してしまっていた。
「魔虞無……虹霓因子は奪ってこれたんだろうな」
「見ての通りだ。この紫髪のTHEクズ男みてぇのがライア・ソルシェールを宿してる男だ。で、こっちのへばってるのが灯野優菜を宿してる」
「……反応が弱ぇようだが」
「あー……実はちょっとしたハプニングがあってな。自我を沈める直前でアイドル因子が移っちまってよ……まぁこいつに蓄積された記憶とか因子の残りカスとかを使えばそこまで問題は」
ズドオオオォォォォォ!!!
「がぁっ!!」
戒晴の拳銃から放たれた弾丸が魔虞無の身体を射抜く。
余りに速すぎる攻撃速度に聖愛は全く反応できなかった。気がつけば魔虞無が射抜かれ絶叫し倒れ込んでいた。
「意気揚々とこいつは俺がやると一人で突っ込んで行ったにも関わらず肝心のアイドル本体は逃し、中には残りカスしかねぇだと?散々粋がった結果がこのザマとは……カスアイドルはてめぇだろうが」
「んだとっ!?」
「てめぇが評価されてるのは自分の欲を満たす為なら誰が傷付こうが全く動じない貪欲さと残虐さだ。それだけを俺は評価し皆森真夏の宿幻輪を与えた。それを除けばお前はそこらのモブと何ら変わりはしねぇゴミだ。あまり自惚れるなよ」
「ぐっ……」
「……
「そいつは
「隷舞様は
「……くだらねぇ。見かけたら伝えろ。死にたくなきゃなすぐに来いってな」
入夏陽毬の力を得て更に驚異的な力を得てしまった戒晴。彼らの叛逆の狼煙が上がる瞬間は少しずつ確実に近づいていた。
―――― to be continued ――――
あとがき的な補足
阿久津快晴が本名で虹覆戒晴は芸名や源氏名みたいなノリです。
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