第82話「疾風と灼炎!達樹vs魔虞無」
かつての地下アイドル仲間。溺愛魔虞無と交戦を開始する隼人であったが敗北を喫してしまい自我を奪われかける寸前輝世達樹が通りかかる。
隼人は自我を失う寸前灯野優菜を輝世達樹へと託すも突如入り込んできた存在に本来の力を出力出来なくなり劣勢を強いられるも上半身に灯野優菜による炎、下半身に春風大我による疾風の力を二分化。
二つの力の制御に成功し溺愛魔虞無との第二ラウンドが始まる。
――――――――――
(明確なイメージを持って二つの力を二分化する意識する!へそを中心核にして上が炎で下が風。完全に別物だって意識を持てばさっきみたいに振り回される事も力を発揮でき無い事もない!)
達樹は灯野優菜による炎を宿した拳と大我の疾風を宿した蹴りによる連撃で魔虞無へ猛撃を仕掛ける。
だが守りに割いていた想力分も先ほどのように振り分けれるほどの繊細な想力コントロールは突貫工事で戦っている現状難しく、魔虞無の岩礁腕からの熱気で全身焼けるような痛みを味わうも達樹はアドレナリンと攻勢を一切崩さ無いような立ち回りを強く無理矢理意識する事で凌いでいた。
(俄然動けるようにも戦えるようにもなった。でもやっぱり互いの力が中途半端になってここぞって時に攻めきれない!この戦闘スタイルに適した動きを見つけださねぇとダメだ!)
今大我と優菜の力はそれぞれ100%引き出しているわけではない。互いの本来ある力の内それぞれ半分の50%に抑える事で制御を可能としている。またそれらを一定に保つ集中力を保つ必要もある。
「かなり動きは良くなったが喰らいつくだけで必死って顔だ。対抗しうるだけで勝てるわけじゃあない。それじゃ俺には届かない」
「うるせぇ!それでも勝てるようになんとかすんだろうが!!」
「アイドル因子の力を引き出す上で重要なのは理解度だ。一人の人間の価値観、人間性、こだわり、思考、その他諸々を理解し許容し心を通わせる事でアイドルの力を十分に発揮できるようになる。たかが数分話しただけの人間と親友になれるか?所詮今のお前の力は付け焼き刃に過ぎねぇ。諦めろ」
「何も知らない訳じゃねぇ。隼人を通してたくさん見てきた。優菜ちゃんの誰かを想う熱い情熱を……今だって感じてる。そしてその想いは俺だって同じだ。大切な
再び二人の拳が勢いよくぶつかり合う。ジリジリと灼熱と獄熱の炎が拮抗する音が鳴り響く。
「そんなにこの純潔マンが大事か?こっちだってこいつが勝手するせいで色々迷惑被ったんだぜ?俺から言わせりゃこっちだって被害者だ」
「人の自我を平気で奪おうとするような奴に言われてもお前の人格に問題があるとしか思えねぇな」
「ちょっとくらい人格に難がある男の方が人生生きやすいんだよ。金も女も自然と寄ってくる。お前も味わってみろよ。そうすりゃ人生薔薇色だ」
「自分の信念に背いてまで得たい物じゃねぇ」
「はっ……とことん相容れなそうだなお前とも!!」
魔虞無は両腕から達樹目掛けてマグマを放出。達樹は両脚に宿す疾風の力を放出し空高く舞い上がる事でそれらを回避する。
「確かこんな感じだったろ!!!」
達樹は以前隼人の繰り出していた技を見よう見まねで思い描き出力。隼人の技をなぞる形でバニシングレインを繰り出す。上空から無数の火の弾を射出しそれらは豪雨のように魔虞無へと降り注ぐ。
「小賢しい!!」
魔虞無は豪快に岩礁腕からマグマを噴射し火の雨を無効化する。
攻撃を塞いだ一瞬の隙を狙い一気に頭上へ向けて両手から炎を勢いよく射出し魔虞無目掛けて突き進んでいく。
更に空中で高速回転し炎による速度上昇を踏まえて右踵へ疾風の想力を凝縮、二つのアイドル因子の力を組み合わせた渾身の踵落とし。『ブレイムエアデストロイ」を魔虞無の脳天へ叩き込む。
凄まじい勢いで魔虞無の顔面が地面へと叩きつけられる。強烈な一撃となり得る威力を秘めていたが手応えを感じない。
「おい……あんま手こずらせんなよ。憎力の同時併用は負担がかかんだよ」
魔虞無は咄嗟に再び憎力を消費しグリプトドンを再度顕現させていた。踵落としが炸裂する寸前でグリプトドンによる装甲を展開しダメージを軽減。装甲の展開部を低範囲で済ませた事で装甲もより強固となり短期間で二度目のグリプトドンの顕現を可能にしていた。
「やばいって時はすぐこれに頼っちまう。悪い癖だな」
魔虞無の頭部からは撃破には及ばない程度の流血。渾身の一撃で仕留めきれなかった達樹は再び劣勢となってしまう。
(こんな隠し玉が……!今ので想力もほとんど使いきっちまった……どうする!?)
――――――――――
同日 想武島 中央区域東部
一方その頃昇斗達のいる想武島本部を目指す和斗、駆、未萌奈を上空から見下ろす
「みぃつけた。日輪の系譜。姫村和斗……私達の夢のハッピーライフの為にはあいつが必要。勿論協力してくれるよね?聖くん?♡」
「……あぁ」
自分の意見を一切否定せず賛同してくれた聖愛に対し血病は嬉々としてとろけ顔で聖愛を愛おしく見つめ高揚する勢いのまま包丁を取り出し自分の左腕を斬りつける。
「
「!?っ……みんな避けろ!!」
三人に血みどろの液状で出来た自傷愛猫が襲いかかるもギリギリのところで三人とも分散して回避。
だが怒猿を背負い動きが鈍くなっていた駆は飛散した自傷愛猫の血に微かに触れてしまいそのまま地面に落下し突っ伏してしまう。
「重!!なんだこれ!?動けないっ!?」
血病の能力
数的であれどその効果は絶大であり身体の自由を根こそぎ奪う。
「あの血、憎力を帯びてる……敵襲ね」
「見てえだな……!いた!上だ!!」
上空に憎力を感じ和斗と未萌奈は上空を見上げる。そこに映し出されていた二人の人物。一人には明確に見覚えがあった。
和斗は自体が飲み込めず自分の目を擦り再び敵の姿を確認する。
何度見てもそこに佇んでいる男はこれまで高め合い絆を深め合った自分の隊の仲間である石動聖愛であり和斗は激しく動揺する。
「一人だけしか当たらなかったかぁ。残念。でもやる事は変わらないよ。わかってるよね?」
「何度も確認しなくても自分のやる事は理解してる」
「さっすが聖くぅん♡頼りになるぅ♡」
二人は降下し和斗と未萌奈の前に立ちはだかる。
「聖愛……その女は何モンだ」
「元カノだ。ついさっきヨリを戻した」
「なんだよそりゃ……自慢の彼女をご紹介って訳か?」
「和斗。俺達と一緒に来い。逆らえば身動き一つ取れねぇくらいには痛めつけてから連行する事になる」
目を疑いたくなる状況。何かの冗談であって欲しいと心の奥底で願う和斗だったが聖愛の眼差しがこれはまごう事なき現実だと突きつけてくる。
「……何が何だかわけわかんねぇけどよぉ。俺らもそこそこ長い付き合いだ。俺の事もだいたいわかってるよなぁ聖愛」
和斗は幻身し頭髪の一部が橙色に染まり大刀『
「俺はダセー男の言う事はゼッテー聞かねぇぞ。どんだけ一緒に戦ってきた仲間だとしてもな」
「……ちやはツインテールの子を相手してくれ。あいつは俺がやる」
「♡……わかったよ聖くぅん……♡」
未萌奈も状況を把握し倒すべき対象だと割り切る。宿幻輪に想力を込め漆黒の太刀『
―――― to be continued ――――
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