第53話 魔王はザウスのレベルを知る
〜〜魔王視点〜〜
ブラァアアアアアアアアアアアアアアッ!!
我は最強の魔王ぉおおおおおおおおおおおおお!!
……なんだけどぉ。
あのゴブリン……。ゴブ太郎とかいったか。
レベル560ぅ?
いやいやいや。
我の真の姿はレベル666だよ。
拮抗してるぅううう。
やっべぇえええ! マジやっべぇ!!
ギリ勝ってるけどぉおお! なんか装備次第でいくらでも覆されそうぉおお!!
しかも、主人であるザウスのレベルは、その上の可能性大ぃいいいい!!
このままだと終わる。
魔王さま終了のお知らせぇええ!!
いかぁーーーーーーん!!
最強の魔王がこんな弱気でどうするのだぁ!!
我が勝って魔族どもをひれ伏せさせなければならんのだぁ!!
ブラァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
我は悪のカリスマ!
こんなところで負けるわけにはいかぁああああん!!
こうなったら最終手段だ。
我は魔王城の地下に行った。
そこには強固な封印が施された場所がある。
魔王である、我だけが解くことのできる封印。
我はその封印を解除してその部屋に入った。
中には大きな宝箱があって、その中には禍々しいオーラを放つ、大きな鎌が入っていた。
「ククク。これぞ、最強の武器よ」
この鎌の名前は、残酷な天死の鎌。
これは強力な呪い武器。
装備すれば寿命が半分になってしまうが、そのレベルはプラス333もされてしまうのだ。
つまり、真の姿に戻った
ククク。この世界の最大値はレベル999だからなぁ!
これで
あと、100年は生きれたのだがな。
まぁいい。残りの寿命が50年に減ってしまうが、ここで倒されるよりマシだ。
我はそれを装備した。
ぬぅううう!!
た、魂が吸われるぅうううううう!!
ハァ……ハァ……。
し、しかしこれで……。ふふふふふ。
眼前に光るステータスはレベル999!
「クハハハ! これで
☆
〜〜カクガリィダン視点〜〜
深夜。
私は人目を忍んでハジメ村に来ていた。
元勇者セアからザウスのレベルを聞き出すためだ。
そしてついに、聞いてしまった。
「ろ、ろ、ろく……。6000……」
いや、信じられん。
その数値が脳内で理解するまでに数秒を要する。
やがて、そのとてつもないレベルを理解することができると、大きな声をあげて叫んでいた。
「レベル6000だとぉおおおおおおおおおおおおお!?」
し、信じられない。
規律正しく理解したはずだが、まだ信じられない。
「バ、バカ! 声が大きいんだよぉおお!! 悪魔が起きてきたらどうするんだ!!」
「……信じられん。この世界の最大値はレベル999。その数値を大幅に超えているではないか」
「僕だって信じられないさ。あいつは化け物だ!」
魔王さまのレベルは400……。そこからパワーアップをしたとしてもとても勝てるレベルではない。
「し、しかもな。もっと恐ろしいのが、ザウスの設置スキルさ」
設置スキル。
それは魔力に関係がなく、常時発動している生まれ持って備わった固有の能力。
「ザウスは『ステータス強化2倍』を持っているんだ」
「な、なんだそれは?」
「無条件でステータスを2倍にする。つまり……。本来のレベルの2倍の状態になるということ。ようするに、やつのレベルは実質12000なんだよ」
「げぇええええええええええええええええええ!? バカなぁあああああ!!」
「わぁあああ! バカ! 無能! グズ! 角刈り! 声が大きいだろうがぁあああ!!」
い、い、12000……。
「それだけじゃないぞ……」
「なにぃいい!? ま、まだあるのか!?」
「やつはデーモンソードという呪いの武器を装備しているんだ。その効果は『レベル2倍の攻撃力』つまり、実質レベル24000の攻撃力なんだよぉおお!!」
「ハグヌゥウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!」
「しかもしかもだ。その剣から繰り出される斬撃はダークスラッシュ。通常攻撃の10倍の威力があるという」
「はわわわわわわわわわわ…………」
「つまりだ。いいか。よく聞けよ。そのキモい角刈りをよぉく整えて聞くんだ──」
も、もう勘弁してくれぇええ……。
「ザウスのレベルは実質24万だ」
あ………………………。
ダメだ…………………。
これ……………………。
気を失うやつだ…………。
「はが……はが……」
「お、おい角刈りのキモいおっさん! 目を覚ませ!! こんなところで白目を剥くんじゃない!!」
「う、ううーーん」
「僕を逃すんだよぉおおお!! 角刈りぃいいいい!!」
い、いかん。
こんなところで気を失っている場合ではなかった。
「キモイ角刈り! キモ角! キモ角ぅううううう! いいから起きろぉおおおおおおお!!」
「うううむ。こ、こうしてはおれん。で、では、私は行く」
「おおお! 起きたかキモ角ぅうううううう!! 一緒に逃げよう」
「……そんなことができると思うか?」
「へ?」
「後ろを見ろよ」
「…………え?」
伊達に奇声を張り上げていたわけじゃないさ。
そもそも、私のことをバカにしすぎだろう。誰がキモ角だ。
そこには村長が立っていた。
セアが悪魔と呼ぶ70代の老人。
おそらく、私の声で目が覚めたのだろう。
彼の微笑みは月明かりに照らされて、より一層不気味に見える。
「フォッフォッフォッ。セアや。こんな夜分に勝手に外に出ているとはどういうことじゃ?」
「あ、あ、あああああああ……あ、悪魔ぁああ」
「フォッフォッフォッ。もしかして、逃げようとしたのかな?」
「違っ! 違う!!」
「やれやれ。ずいぶんと生意気な発言じゃのう。敬語はどうした? まるで、以前のおまえに戻ったようじゃ」
「ち、違います! に、逃げようとなんてしていません!! つ、月を見ていただけです!!」
「ああ……。そんなルールはないじゃろう。夜はゴミ置き場で寝る。それがおまえに課せられたルールじゃないか」
「あああああああ……」
「ルール違反は厳しく教育せんとなぁ」
「か、か、角刈りぃいいいい!! ああ、いない!! 角刈りの姿がないぃいいいい!!」
やれやれ。
ザウスの情報が手に入ればおまえなんか用済みなんだよ。
「裏切ったなぁああ! キモ角ぅううううううううう!!」
私の角刈りを罵倒する者は地獄に落ちるがいいさ。
私の背中越しに、雷鳴とセアの叫び声が聞こえた。
「ぎゃぁああああああああああああああああああああああッ!!」
さて、こうしてはおれん。
魔王城に帰るぞ──。
──私はことの顛末を魔王さまにお伝えした。
規律正しく、理路整然と。やつのレベルが実質24万であることもしっかりとお伝えする。
カラン…………。
それは大きな鎌だった。
魔王さまが大事に持っておられた武器だ。
そんな武器を落とすなんて……。
「魔王さま。鎌を落とされまし──」
ハッ!
「ま、魔王さま!?」
「……………………ブ……ブラァ」
「魔王さまぁああああ!!」
白目を剥いて気絶されているぅうううううううううううううう!!
「ホゲッ!」
「ああ! お気づきになられましたか!!」
「う、うむ。ちょっと考えごとをな」
いや、どう見ても気絶していたが……?
「ブラァ……。おまえは
「い、いえ……そんな」
そうとしか考えらん。
「この愚か者がぁあああ!! ブラァアアアアアアア!!」
「ひぃいいい!!」
「
「おおおお!!」
聞いたことがあるぞ!
魔族ではダメージを与えられない無敵の魔法結界だ。
魔王種だけに与えれた無敵の特権。どんな魔法も、最強のアイテムであっても、
「よって! 相手がどれだけレベルが高かろうとぉ! 同じ魔族であるならば、
「おおおお!! ならば、ザウスが雑魚魔族であることは変わりがないということですね!?」
「そういうことだぁあああ!! ダメージが通らなければ絶対に負けることはぬぁあああああああああいッ!! 絶対の絶対に
「おおお!! 無敵でございます!!」
「そういうことだ。ククク。この
「おおおおおおお!!」
「勇者は村長の奴隷なのだろう。ククク。ならば、
「フホォオオオオオオ!! 無敵でございます!! 裏切り者のザウスを地獄に落としてください!! ついでにゴブ太郎もお願いします!!」
「任せておけ!
おおおおおおおおおお!!
流石は魔王さまだ! 希望しかない!!
1000パーセント、勝ちが確定したぁあああああ!!
規律正しく、魔王さまの大勝利だぁああああああ!!
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