第2話
Y氏の行動をモニター越しに監視していた宇宙人は、八本の手を大きく上に伸ばした。扉を開けて入ってきた二匹目が、まん丸の頭に軽く頭突きする。
「ニホン種の飼育は順調か?」
「えぇ、すっかりAIからの命令だと信じ込んでますよ」
そう言いながら手元のレバーを動かし、画面を次々と切り替える。表示されたニホン人たちは皆、就寝中か食事中だ。
「こいつらは労働させると味が落ちるからな。脂肪をつけ、等級を上げるにも、この方法が一番だ」
「ジン種によって飼育法を変えているのですか?」
手のうち四本を絡めた“問い掛け”を意味するポーズを一匹目がすると、相手はそれを叩き“肯定”の意を示す。
「ここより西の大陸では、筋肉質になるよう、品種を問わずスポーツをさせているそうだ。脳を肥大させるための飼い方も研究されているな」
その返答に「ふーん」と返すと、一匹目はまたモニターへ視線を移した。
「まぁ、ニンゲンなんて高級品、オレたちの口には、滅多に入らないんですけどね」
労働禁止法 @rona_615
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