第53話
「だいたい能力ないルナが私を入れ替わって何ができるって言うのよ!」
「力自慢するなら、儀式の時も自力で守れたでしょ!?それができなかったのが全てじゃない!!」
「だから!」
言い合いをしていると、ただでさえ大きな声で叫んでいたリイナが、もう一段大きな声を出した。
私はそれにびっくりして、リイナのほっぺから思わず手を離してしまった。
よく見ると、リイナは静かにツーッと静かに涙を流していた。
「儀式の時は確かに何の準備もないからどのみち私一人じゃ防げなかったから、今回は自分で何とかしたかったんだよ。なのに勝手すぎるよ!そんなに私のこと信頼できないの?」
そう言いながらポカポカと私の胸を殴るリイナ。
私はそれを見て呆気に取られる。
もちろん、信頼してないなんでことはない。
でも、心配だったから……守りたかったから……それだけで……。
あぁ、でもそれはお互い様か。
リイナも同じ気持ちだたから、同じことしただけなのよね。
「まったく、そっちだって私のこと閉じ込めたくせに。体は大丈夫って話も聞いてくれないし。」
「……それは」
「なんてね。ごめん、これでも一度反省したんだけど、またやっちゃった。もう閉じ込めたり薬盛ったりしない。」
「ルナ……」
「その代わり、私も外出させて。まだ体何にもないのに、部屋に閉じ込められて動けないのはきついわ。」
私がそういうと、リイナはグスグズとしながら涙を止められずに、わかってくれたことに安堵したのか、少しだけ笑顔になったのだった。
まぁ、そんな様子を外野は理解できるはずもなく
「ねえ、あの二人本当に何があったの」
「わからん」
クロウとフィリックは頭にはてなを飛ばすのだった。
さっきまで喧嘩していた女子2人が、急に抱き合って泣いているのだから、男性人事は意味がわからないだろうが、興味すらないだろう。
彼らにとって大事なことはこの場で何があって、どう感情が動いたかではない。
どうしてこうなったのか、結果現在どうなっているのかという事実だけが重要だ。
なので、彼らにしてみたら……
魔女ロベリアを捕まえたと言うことだけが分かれば十分だ。
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